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l 2011年(H23)8月16日、第一審「判決」(5月31日)で、原告(住民)が勝訴したあと、被告(両備)が即刻控訴し、控訴人(両備)から「控訴理由書(7月21日付)」が届く。
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知る限りでは土壌汚染事件で「全国初」の被害住民勝訴判決となりました。
マイホーム土壌汚染被害民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!(10)
【第二審】
控訴人 ;(両備ホールディングス株式会社)
被控訴人;(小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
「小鳥が丘団地」土壌汚染第1次訴訟(3世帯)裁判は、2011年5月31日に「判決言い渡し」があり、岡山地裁は、被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりました。
被告(両備)は、翌日(6月1日)即刻控訴しました。
引き続き行われる裁判で証拠提出するため、新たに、被告会社(両備)作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」の写しを入手しました。
この文書には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする。」と付記されていて、本件団地の給水管は、ポリエチレン管でなく当時使用中止になっていた鉛管(水道水による鉛中毒が問題になりポリエチレン管に切り替えられた)が実際に埋設されていました。
また申請者名欄には「両備バス株式会社」代表取締役社長印が捺印されています。
申請者である被告会社(両備)が主張する「土壌汚染を認識し得なかった」ということはあり得ないと思います。
「控訴審」にあたり、控訴人(両備)作成の「控訴理由書」が届きました。
「控訴理由書」の続きです。
第6 原判決の誤り
原判決が控訴人の責任を認めたのは判示事項3−1から3−3までにおいてであるが、これらは、判示事項1及び2に記載されていることを前提としており、判示事項1及び判示事項2についても判示事項3−1から3−3において見られる誤りと同種の誤りが見られるので、以下、合わせて論じることにする。
1 判示事項1について
原審は、判示事項1において、廃白土、汚泥、ベンゼン、トリクロロエチレン、油分を並列に並べているが、まず、ベンゼン及びトリクロロエチレンは化学物質の名称であり、その他はさまざまな物質を含みうる物の呼称である。
ベンゼンやトリクロロエチレンは、土壌汚染対策法で定める特定有害物質であるが、その他はさまざまな物を含みうるため、特定有害物質を含むことも含まないこともある。
したがって、これらは分けて考える必要がある。
まず、ベンゼンやトリクロロエチレンであるが、原判決はこれらの存在の可能性を疑いうる根拠として、「旭油化は、当時、廃白土を原料として石けんやペンキの元となる油を生成していた会社であり、溶剤や洗浄剤、脱脂剤としてベンゼンやトリクロロエチレンを使用していることは一般的に容易に予測し得ることであるから、同社の工場内にあった廃白土や汚泥にこれらの物質や油分が含まれていたことについては、認識し得ることである。」と述べている(原判決23頁)。
しかし、旭油化が溶剤や洗浄剤や脱脂剤としてベンゼンやトリクロロエチレンを使用していたことは、当時、一般人の知識や経験からは予測できなかったことは明らかである。
宅建業者もこの点では同列であって、宅建業の免許を取得するにあたって、工場跡地にいかなる土壌汚染があるのかについて特別の知識が問われることはなかった。
工場跡地を売却したり媒介したりする場合に、工場での作業工程を確認し、そこから生じうる土壌汚染の発生可能性を調査する義務があれば、かかる予測可能性を認定できるであろうが、当時においても現在においてもかかる義務が宅建業者にないことは本書面「第4 土壌汚染に関する取引関係者の意識と取引慣行」で詳述したとおりである。
宅建業者の重要事項説明義務に土壌汚染対策法上の指定区域の指定の有無が挙げられるに至ったのは、同法成立の翌年である平成15年からであり、しかも、重要事項説明義務として宅建業者に求められていることはその指定の有無のみであって、現在でも過去の土地の履歴を探求してその可能性のある土壌汚染を調査し説明する義務はない。
一方、廃白土、汚泥及び油分がかつて存在していたことは、もともとそれらが旭油化の工場内で放置されて社会問題化していたのであるから公知の事実であったというべきである。
ただし、それらを宅地分譲に適するように必要な範囲で除去し、また消臭するという作業が必要であると控訴人が自主的に判断し、これを行ったものである。
原審の判断が、仮に地中の廃白土や油分の存在を認識できた場合は、それゆえに宅地造成として不適当であるとの判断をすべきだったというのであれば、かかる判断には理由がない。
当時、控訴人だけでなく岡山県も岡山市も、旭油化の問題は、悪臭を発する操業と悪臭を発する工場内堆積物の工場内の堆積の問題と理解していたのであるから、旭油化が移転した以上、あとは、堆積していた工場内堆積物の除去を含めて、どれだけの作業を行えば悪臭が除去されるかだけが問題関心であり、その除去と消臭が確認されれば、十分であったものである。
開発して分譲することが不適当な土地であったのであれば、岡山県や岡山市が控訴人に対して宅地分譲を前提に買取りを依頼すること自体ありえないことである。
2 判示事項2について
ここでは、作業後に本件分譲地に残ったベンゼン、トリクロロエチレン、シアン化合物(なお、原審判決は本件分譲地中にシアン化合物が溶出量基準を超えて存在すると認定しているが(原審判決18頁)、これは誤りである。甲第4号証の1で検出されたシアン化合物は0.01mg/1であり、シアン化合物の報告下限値は0.1mg/1であるから、これ以下は検出されていないことと同じ扱いで(乙第31号証の1、2)、基準値を超えているものではない(被告最終準備書面6頁))及び油分等について言及がある。
地中のベンゼンやトリクロロエチレンやシアン化合物を認識できなかったという原判決の指摘は正当であるが、これらの物質と油分とは質が異なる問題である。
前者は予想可能性もない問題である。
しかし、油分については、いかなる消臭作業によって悪臭を消せば、当時分譲業者の義務を果たしたといえるかという問題である。
この点について控訴人の義務違反を否定した原審の判断は、もとより正当であるが、以上のとおり、油分とそれ以外とは質的な違いがあることを何ら意識していないことは不当である。油分については、当時、それが悪臭をもたらす程度である場合に、生活環境の快適性を阻害することが問題であったのであって、何が適切な消臭作業かが問題になるだけだったからである。
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年9月18日
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!その10
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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2012年05月14日
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