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「小鳥が丘団地」土壌汚染第1次訴訟(3世帯)第一審判決は、原告(住民)勝訴となりましたが、被告(両備)が控訴し、「控訴審」初回口頭弁論は、2011年(H23)9月22日に行われました。
前回掲載した控訴人(両備)からの「控訴理由書」を受けて、弁論期日前に、被控訴人(住民)から「控訴答弁書」を提出しました。
この住民提出「控訴答弁書」を掲載します。
「控訴答弁書」の中の「団地給水施設申請及び設計書」とは、被告(両備)が約20年前に宅地開発する際に、被告(両備)が作成した文書の写しで、引き続き行われる「控訴審」のために、住民が新たに入手した証拠資料のことです。
平成23年(ネ)第218号 損害賠償請求控訴事件 直送済
控訴人 両備ホールディングス株式会社
被控訴人 藤原 康、岩野敏幸、○○○○
答 弁 書
平成23年9月13日
広島高等裁判所 岡山支部第2部 御中
〒700-0817 岡山市北区弓之町2番15号弓之町シティセンタービル301
河田英正法律事務所(送達場所)
被控訴人ら代理人弁護士 河 田 英 正
電 話 086−231−2885
FAX 086−231−2886
第1 控訴の趣旨に対する答弁
1 本件控訴を棄却する
2 訴訟費用は控訴人の負担とする
との判決を求める。
第2 平成23年7月21日付控訴人控訴理由書について
1,原判決の事実認定について誤りはなく、控訴人主張の控訴理由はいずれも原判決が棄却されるべき理由とはならず、本件控訴は直ちに棄却されるべきである。
2,本件造成地においては「廃白土を原料として石鹸やペンキの元となる油を生成していた旭油化が操業しており、同工場の操業が原因で生じる悪臭や水質汚濁等が問題視されていたこと、同地の近隣を団地として宅地造成し販売していた被告には、同団地の住民から苦情が寄せられていたこと、岡山県や岡山市の公害課が同社に対し、再三にわたり行政指導を繰り返していたが、それに従う対策は講じられなかったこと、上記問題を解決するため、被告が本件分譲地を購入するに至ったこと、本件分譲地が被告に引き渡された際、同地には悪臭が残存しており、同地の表面には灰色がかった土が存在し、第2期の宅地造成後に建物を建築する際には、本件分譲地から部分的に乾いた黒色がかった土がでてきたことがあり、臭いも残存していたこと等」(判決書26ページ)について、控訴人は認識していた。この事実関係について争いはないはずである。
被告会社作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする」と付記されていて、このことからも控訴人は本件団地の土壌の汚染状況を明確に認識していたことが明白である。
原判決はこのような前提事実がある以上、「安全性、快適性に関するより詳細な情報を収集すべく調査をした上で、その調査内容を説明するか、このような調査をしない場合には、少なくとも、認識していた上記(ア)各事情の外、同地中に廃白土、ベンゼン、トリクロロエチレン及び油分が存在する可能性があり、これらは、居住者の安全を害し得るものであり、また、生活に不快感・違和感を生じさせ得るものであることについて説明すべき義務があった」(判決書27ページ、28ページ)としていて、その判断に誤りはない。
3,原判決の説明義務に関する判断は、一般的に宅建業者として不動産取引に関してどのような説明義務があるかを判断したものではない。一般的に宅建業者にどのような説明義務があるかについていくら論じても意味がない。
原判決は、すさまじい土壌汚染の可能性を認識したうえで、あえて宅地造成してこれを販売していた事実の存在を前提に、本来であれば宅地造成するときにその汚染の実態について十分に調査すべきであるがそれをしないで販売する以上は当然にその危険性を説明する義務があるとしたのである。
契約当事者間に情報格差等がある場合に、契約締結過程ないし契約内容等に関して、優位者に信義則上の説明義務を課し、説明を受けられないために適切な契約判断等の機会を失った損害の賠償責任を認められるのは当然である(最判平成16年11月18日、判時1883号62ページ参照)。
本件の場合は、かたや控訴人は資本力のあるデベロッパーであり、本件土地取得の経緯から土壌汚染の経過とその実態を熟知していた会社であり、一方、被控訴人らはこれらの事情については知る由もなく、一消費者として、自然環境に恵まれた団地であり、臭いに関しても「石鹸の香りがする」などとの汚染を隠すような説明を受けて購入するなどしたのであり、その情報格差、経済力格差は歴然としている。
このような場合に控訴人側に信義則上の説明義務違反が認められるのは当然である(東京地判平成18年9月5日判時1973号84ページ)。
4,原判決は、本件土地を控訴人が取得した経過からまず「安全性、快適性に関するより詳細な情報を収集すべく調査をしたうえで」と指摘し、調査義務を認めている。これは控訴人と被控訴人らが直接的に接触があった場面において直近の注意義務違反の過失を捉えたものと思える。
しかし、この調査義務は販売の段階で初めて問題になるのではなく、本件土地を宅地造成する際に調査すべき義務として捉えることができる。
控訴人は、激しい土壌汚染が懸念されていたにも関わらず、汚染の実態を正確に把握するための調査はしていない。この調査さえもしないで「ベンゼン、トリクロロエチレン、シアン化合物及び油分等が存在したことを認識することができなかった」(控訴理由書25ページ)などと控訴人が主張することはできない。
この調査がなされていれば、土壌汚染の実態が把握され、本件油汚染対策が適切になされることが期待されたはずである。そうすれば、本件のような損害は生じることはなかった。
控訴人が、本件のような激しい土壌汚染の存在した廃油処理工場跡地に宅地造成を始めるに際に、正確な土壌汚染の実態について調査をして正確に知ろうとしなかったこと自体が一番の問題である。
原審平成22年12月17日付原告準備書面第6、2項、3項の被告の責任に関する記述はこの趣旨を明らかにする主張である。
5,原判決は、原告の請求した損害額の一部しか認容していない。慰謝料については認められなかった。被控訴人は、この損害額の判断については不服であり、この点については附帯控訴の予定である。
以上
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が控訴し、引き続き第二審で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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住宅団地の土壌汚染
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「小鳥が丘団地」土壌汚染訴訟(3世帯)の「控訴審」にあたり、控訴人(両備)作成の「控訴理由書」が届きました。
控訴人(両備)は、東京の弁護士を増員し、科学者などの専門家の意見書など徹底的な反論を準備しているようです。
第一審判決で、岡山地裁は、被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりましたが、被告(両備)が即刻控訴し、初回口頭弁論は、2011年(H23)9月22日13時30分から、広島高等裁判所岡山支部で行われます。
引き続き行われる裁判で証拠提出するため、新たに、被告会社(両備)作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」の写しを入手しました。
この文書には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする。」と付記されていて、申請者名欄には「両備バス株式会社」代表取締役社長印が捺印されており、申請者である被告会社(両備)が主張する「土壌汚染を認識し得なかった」ということはあり得ないと思います。
次に、「控訴理由書」に付属している別紙「裁判例一覧」は、不動産の説明義務違反に関する裁判例(不法行為、債務不履行)No1〜No51まで列挙してありますが、省略します。
次に、「控訴理由書」の別紙「証拠説明書」は、乙33号証から乙40号証までありますが、一部を掲載します。
[副本]
平成23年(ネ)第218号 損害賠償請求控訴事件
(原審:岡山地方裁判所平成19年(ワ)第1352号)
控訴人 両備ホールディングス株式会社
被控訴人 藤原 康 外2名
証拠説明書
平成23年7月21日
広島高等裁判所岡山支部第2部 御中
控訴人訴訟代理人弁護士 小澤英明
同 根岸 洋
同 菊池捷男
同 渡邊典和
(本件連絡担当)
同 國友愛美
同 笠野さち子
同 谷 英樹
同 首藤和司
同 森 智幸
同 大山 亮
以下省略
控訴人(両備)からの「控訴理由書」は以上。
結
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となりましたが、被告(両備)が控訴し、引き続き第二審で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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「小鳥が丘団地」土壌汚染第1次訴訟(3世帯)裁判は、2011年5月31日に「判決言い渡し」があり、岡山地裁は、被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりました。
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知る限りでは土壌汚染事件で「全国初」の被害住民勝訴判決となりました。
被告(両備)は、翌日(6月1日)即刻控訴しました。
第二審の初回口頭弁論は、2011年(H23)9月22日13時30分から、広島高等裁判所岡山支部で行われます。
引き続き行われる裁判のために、このたび新たに、岡山市水道局から、情報公開制度により、被告会社(両備)作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」の写しを入手しました。
この文書には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする」と付記されていて、給水管にポリエチレン管でなく、当時使用中止になっていた鉛管(水道水による鉛中毒が問題になりポリエチレン管に切り替えられた)が実際に埋設されていました。
また申請者名欄には「両備バス株式会社」代表取締役社長印が捺印されています。
申請者である被告会社(両備)が主張する「土壌汚染を認識し得なかった」ということはあり得ないと思います。
(この文書を希望の方は、「郵送先住所」と「団地給水施設申請及び設計書の写し希望」と記載して、ホームページのメールアドレス、
に、請求してください。無料で写しを郵送いたします。)
「控訴審」にあたり、控訴人(両備)作成の「控訴理由書」が届きました。
控訴人(両備)は、東京の弁護士を増員し、科学者などの専門家の意見書など徹底的な反論を準備しているようです。
「控訴理由書」の続きです。
(第6 原判決の誤り)
(3 判示事項3−1ないし3−3について)
(4)損害について
原判決は、上記のとおり、説明義務違反を不法行為として、契約締結行為を不法行為レベルで違法と判断して、金銭的損害賠償で契約がなかったと同様の価値的状態の回復をめざしたものと理解できるが、以下の二点について指摘したい。控訴人には不法行為該当性のある説明義務違反がないと考えるので、本来は損害論は展開の必要がないが、原判決の不合理を示すために、以下問題点を指摘する。
第一に、原判決は、損害として売買契約及び請負契約を行って被控訴人らが土地建物の取得に要した費用相当額から現在のこれらの評価を考慮して、半額の損害と認定したように思われる。しかし、契約がなかった経済的状態に原状回復させるということであれば、この間の居住の経済的利益が控除されなければならないが、この控除がされていない。
第二に、契約がなかった経済的状態に原状回復させるのではなく、あくまでも、事実告知があったならばその取引価格では取引されなかったところ、事実告知がなかったためにその取引価格を支払ったことをもって損害であるというのならば、その時点の告知を前提にする価格と実際支払った価格との差が損害になるはずである。しかし、原審ではかかる判断が一切なされていない。
第7 おわりに
以上のとおりであるから、原判決は、控訴人の宅建業者としての説明義務違反の認定において明らかな誤りがあり、速やかに取り消され、被控訴人らの請求は棄却されるべきである。なお、原審では宅建業者の売主の説明義務違反を理由に判断を行っているため、本件分譲地の開発及び分譲時の各種事情が重要であると思われるところ、控訴人は原審ではこの点について十分な主張立証を行ってはいないので、控訴審においては、かかる主張立証を行う予定である。
以上
次回に続く
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となりましたが、被告(両備)が控訴し、引き続き第二審で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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「小鳥が丘団地」土壌汚染第1次訴訟(3世帯)裁判は、2011年5月31日に「判決言い渡し」があり、岡山地裁は、被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりました。
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知る限りでは土壌汚染事件で「全国初」の被害住民勝訴判決となりました。
被告(両備)は、翌日(6月1日)即刻控訴しました。
引き続き行われる裁判で証拠提出するため、新たに、被告会社(両備)作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」の写しを入手しました。
この文書には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする。」と付記されていて、本件団地の給水管は、ポリエチレン管でなく当時使用中止になっていた鉛管(水道水による鉛中毒が問題になりポリエチレン管に切り替えられた)が実際に埋設されていました。
また申請者名欄には「両備バス株式会社」代表取締役社長印が捺印されています。
申請者である被告会社(両備)が主張する「土壌汚染を認識し得なかった」ということはあり得ないと思います。
「控訴審」にあたり、控訴人(両備)作成の「控訴理由書」が届きました。
「控訴理由書」の続きです。
(第6 原判決の誤り)
(3 判示事項3−1ないし3−3について)
((3)判示事項3−3について)
一方、⑤の事実のうち、控訴人が旭油化から本件分譲地の引渡を受けた時点で悪臭が残存し、灰色がかった土地が存在したことは事実であるが、それが故に控訴人において地表に堆積した油脂付着物等を除去し、消臭作業を行ったのであるから、対策以前の状況をことさら買主に告知する意味はない。また異臭が残存していたとしても、それは購入前に現地に足を運べば容易に判明することであり、殊更に売主からの告知の対象とする必要もない。⑤の事実のうち、第2期の宅地造成後に建物を建設する際に、本件分譲地から部分的に乾いた黒色がかった土が出てきたことについては、地中に一部そのような黒色がかった土があること自体から住民の生活環境に被害が生じるという危惧は抱かないと考えられることから、控訴人がその存在を告知する義務もなかった。
⑥のうち、廃白土及び油分の地中存在可能性であるが、原判決は、「これらは、居住者の安全性を害し得るものであり、また、生活に不快感・違和感を生じさせ得るものである」というだけで、それ以上の説明がない。それらが地中に存在した場合、将来的に地上で生活する住民の生活環境を害する恐れがあるということが当時当然に危惧され、したがってその存在可能性が通常一般人である買主にとって重大な関心であると控訴人が知っていたというのであれば、告げるべき義務があったことにもなりうるであろう。しかし、かかる事情は一切なかったものである。しかも、控訴人は分譲にあたり、単に地表の油脂付着物等を除去しただけでなく、地中に石灰を入れ混ぜ合わせて土壌改良を行い、地表部分には真砂土を入れて客土した上、その後3年間経過を見て、ほぼ悪臭が消えたことを確認して分譲を行ったものである。すなわち、消臭対策の目的を達したが故に販売を開始したものである。問題を解決したと考えていた以上、存在それ自体が買主にいかなる影響を及ぼすのか意識すらしていなかった廃白土及び油分の存在の可能性を買主に告げなかったことは当然である。当時、いくら消臭対策や客土を行っても、廃白土や油分が地中に存在するおそれがあれば、宅地分譲においてこれを調査することが常識であったとか、調査しなくとも買主に警告することが常識であったという事情は全くないのであるから、これらを意図的に隠したわけでもない控訴人に信義則上の告知義務違反を認定するのは全く根拠がないことである。
以上のとおりであるから、上記①ないし⑥のうち、控訴人が認識していた事実に関してこれを被控訴人らに告げていれば、被控訴人らが契約締結を断念していたとうかがわれる事情はまったくない。上記①ないし⑥のうち、ベンゼン、トリクロロエチレンの存在は控訴人において認識し得なかったのであるから、その存在可能性を告知しなかったのは当然で、調査して告知する義務がなかったことも明らかである。また廃白土及び油の地中存在可能性は、これを意図的に隠したわけでもなく、これを告げることが宅地分譲業者の義務として法令に規定されていたり取引慣行上確立していたわけでもない以上、この告知をしていないことが信義則に反するということもありえない。したがって、説明義務違反として不法行為該当性を認めた原判決の判断は明らかに誤りである。原判決においては、控訴人のいかなる作為又は不作為に信義則違反といえるだけの不誠実な行為があったのか何も明らかにはされていないし、また、その行為が何ゆえに不法行為責任を根拠づけるほどの違法性を有するのか何ら説明がない。
なお、本件は、特定有害物質による健康被害のおそれに関しては、その汚染が溶出量基準超過の問題に限定されているから、井戸で地下水を飲用する人の健康リスクの問題であり、井戸水を飲用に供していない被告訴人らの健康には影響がない。問題は、土地を掘削すれば黒い土が現れ、それが異臭を放つということであり、また、土地を掘削しなくともわずかに異臭がする場合があるという点である。土地を掘削しなくともわずかに異臭がする場合があるという状態は、客観的には売買開始時点と同様か又は現時点ではそれ以下のレベルの問題であるから、これをとらえて本件分譲地に瑕疵があったといえないことは明らかであろう。したがって被控訴人らの生活上の不利益として残るのは、土地を掘削すれば黒い土が現れ、それが異臭を放つという問題である。仮に売買契約当時から庭仕事を行う程度でもそのような問題が発生したのならば、瑕疵があったことになろう。しかし、前述のように、分譲開始から平成16年の水道管工事までの約17年間誰からもクレームがなかったということは、分譲時から長期間、庭仕事程度では黒い土が現れ異臭を放つという状況がなかったことを示すものである。これは本件分譲地に分譲時において、この点の瑕疵がなかったということを意味する。物件の正常に関する説明責任に関しては、前述のとおり(裁判例5について言及した本書面「第3 2(1)宅建業者の説明義務の対象」参照)、瑕疵があることが前提である。瑕疵ではないことについてはそもそも説明義務はない。もっとも、分譲当時、地中浅いところに異臭を放つ黒い土がなくとも時の経過によりかかる事態が発生することが予測される土地であったのであれば、瑕疵があったという判断もありうるが、仮にかかる判断を行っても、それは、瑕疵担保責任期間の範囲で売買契約上の責任が問われるべき問題である。前述のとおり、信義則上の説明義務違反が認定されるには、単に瑕疵があったのに言わなかったというだけではなく、信義則に反するといえるほどの不誠実さが必要である。控訴人には、分譲後十数年たつと地中浅いところに異臭を放つ黒い土が現れるということについて予測もできなかった以上、分譲時にその可能性について言及することはできなかったのであって、その販売においていかなる不誠実さもない。
次回に続く
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となりましたが、被告(両備)が控訴し、引き続き第二審で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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「小鳥が丘団地」土壌汚染訴訟(3世帯)の「控訴審」初回口頭弁論は、2011年(H23)9月22日13時30分から、広島高等裁判所岡山支部で行われます。
第一審判決で、岡山地裁は、被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。
引き続き行われる裁判で証拠提出するため、新たに、被告会社(両備)作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」の写しを入手しました。
この文書には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする。」と付記されていて、本件団地の給水管は、ポリエチレン管でなく当時使用中止になっていた鉛管(水道水による鉛中毒が問題になりポリエチレン管に切り替えられた)が実際に埋設されていました。
また申請者名欄には「両備バス株式会社」代表取締役社長印が捺印されています。
申請者である被告会社(両備)が主張する「土壌汚染を認識し得なかった」ということはあり得ないと思います。
「控訴審」にあたり、控訴人(両備)作成の「控訴理由書」が届きました。
控訴人(両備)は、東京の弁護士を増員し、科学者などの専門家の意見書など徹底的な反論を準備しているようです。
「控訴理由書」の続きです。
(第6 原判決の誤り)
(3 判示事項3−1ないし3−3について)
(3)判示事項3−3について
判示事項3−1及び判示事項3−2に基づいて、法的判断の判示事項3−3が導かれている。その前提として、原審は、「一般に、宅地建物取引業者には、土地建物の購入者等の利益の保護のために、取引の関係者に対し信義誠実を旨として業務を行う責務を負っているものであり、土地建物の販売や請負、売買の仲介をするに際して、信義則上、買主又は注文者が契約を締結するかどうかを決定付けるような重要な事項で知り得た事実については、これを買主や注文者に説明し、告知する義務を負い、この義務に違反して当該事実を告知せず、又は不実のことを告げたような場合には、これによって損害を受けた買主や注文者に対して、不法行為に基づく損害賠償の責めに任ずるものと解するのが相当である。」(原判決25頁)との一般論を示した。
しかるに、以上の一般論のうち、宅建業者に信義則上の一定の説明義務があることはそのとおりであるが、知っている重要事実でなく知り得た重要事実について一般的に告知義務があるとする点は前述のとおり(本書面「第3 2(2)宅建業者の調査義務」参照)、従来の裁判例と全く異なっている。また、信義則上告知義務があるとしながら、信義則上要求される何らかの事情が必要とされていることに言及がないことも従来の裁判例(本書面「第3 2(1)宅建業者の説明義務の対象」参照)と異なっている。さらに、告知義務違反一般を不法行為とするところも従来の裁判例(本書面「第3 2(3)説明義務違反の責任の法的性質」参照)と異なっている。すなわち、従来の裁判例に従えば、重要事実不告知は、知らないことでも調べることが法令又は取引慣行上求められる場合を除いては、知っている事実の不告知の問題であり、かつ、信義則上の説明義務違反を認定するには、あくまでも告知しないことが信義則に反する事情がなければならないし、不法行為が認められるには不法行為と評価できる程度の違法性が必要である。
次に、原判決が何を告知すべきであったとしているのかを整理する。原判決からは、以下の事実を告げるべきであったとしているように読み取れる。
① 本件分譲地にはかつて、廃白土を原料として石けんやペンキの元となる油を生成していた旭油化が工場を操業しており、同工場の操業が原因で生じる悪臭や水質汚濁等が問題視されていたこと
② 同地の近隣を団地として宅地造成し販売していた控訴人には、同団地の住民から苦情が寄せられていたこと
③ 岡山県や岡山市の公害課が旭油化に対し、再三にわたり行政指導を繰り返していたが、それに従う対策は講じられなかったこと
④ 上記問題を解決するため、控訴人が本件分譲地を購入するに至ったこと
⑤ 本件分譲地が控訴人に引き渡された際、同地には悪臭が残存しており、同地の表面には灰色がかった土が存在し、第2期の宅地造成後に建物を建設する際には、本件分譲地から部分的に乾いた黒色がかった土が出てきたことがあり、臭いも残存していたこと
⑥ 本件分譲地の地中に廃白土、ベンゼン、トリクロロエチレン及び油分が存在する可能性があり、これらは、居住者の安全を害しうるものであり、また、生活に不快感・違和感を生じさせうるものであること
以上のうち、①ないし⑤は控訴人が知っていたことであるので、これを告げれば被控訴人らが土地を購入していなかったであろうと思われる重要事実かどうかが問題になる。しかし、⑥のうち、ベンゼン及びトリクロロエチレンの存在は知りえなかったことであるから、その存在可能性を告げなかったことが告知義務違反を構成することはありえず、ましてや信義則違反として不法行為を構成するはずもない。したがって、⑥のうち問題となるのは、廃白土及び油分の地中残存の可能性の告知義務であり、これについては後述する。
①ないし④の事実は、すべて控訴人が旭油化から引渡を受ける以前の事実である。確かに、これらが一般には知られておらず、かつ、控訴人が旭油化から引き渡された土地をそのまま分譲したのであれば、これらの情報は重要事実であろうが、引渡を受けた後、控訴人は旭油化の対策が不十分であったため、第三者の業者に依頼して地表の油脂付着物等を除去し、その上で消臭作業を行い、さらに3年間様子を見て、臭いがほぼ消えたことを確認して分譲を行ったものである。既に、悪臭対策は講じ終わった後の分譲であるから、これら①ないし④の過去の事実が重要事実であるとは考えられない。実際、旭油化の操業時に本件分譲地の隣接地に勤務していた被控訴人(A)は、これらすべてを熟知して本件分譲地を購入したものである(原判決15頁以下、被控訴人(A)尋問調書14頁95項)。①ないし④を知っていれば土地を購入しなかったであろうという判断は、これだけで理由がないことが明らかである。本件分譲地の買主のうち、被控訴人(A)ほど本件分譲地の過去を知っている者はいないと思われるが、そのような者でも本件分譲地を購入しているからである。また、土地を購入するにあたって、ヒアリングすることで容易に分かる程度の土地の履歴は買主として当然に自己責任で調べるべきものであり、実際、被控訴人(B)は控訴人にこれを聞いて石けん工場の存在は知らされていた(原判決15頁)。にもかかわらず、被控訴人(B)が本件分譲地を購入していることは、被控訴人(A)が決して特別な人間ではなかったことを示すものである。しかも、①ないし⑤のうち、①ないし④は、新聞報道等のマスコミ報道で広く知れ渡っていたことであるところ、悪臭対策後もこれらが知られると販売できないような土地ならば、岡山県、岡山市、が宅地分譲を前提に控訴人に土地の買取りを依頼することも、控訴人が分譲を検討することもありえなかったものである。したがって、悪臭対策が講じられたにもかかわらず、①ないし④の告知が重要事実であるとの判断に誤りがあることは明白である。なお、この点については、航空機騒音に関する裁判例39において、前記引用判示のとおり、宅建業者には公害問題について専門知識に基づき説明すべき義務はないし、社会問題化した公知の事実について、受け止め方に個人差のある問題(本件で問題となっている悪臭は、この点で裁判例39の騒音と同様である)に関する情報を買主に告げるべき義務もないとされていることが参照されるべきである。
次回に続く
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となりましたが、被告(両備)が控訴し、引き続き第二審で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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