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2011年(H23)12月20日に行われた、第一次訴訟(3世帯)・第3回「控訴審」に提出された準備書面を掲載します。
今回の提出準備書面内訳
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」。
控訴人(両備)提出証拠資料
(乙76号証)、応用地質株式会社作成「南古都団地土壌調査(黒い土の成因調査)報告書」。
(乙第77号証)、財団法人岡山県環境保全事業団土屋充作成『「南古都団地」における土壌汚染事象についての一考察』。
(乙第78号証)、岡山大学大学院環境学研究科教授西垣誠作成「南古都団地の土壌に関しての意見書」。
両者の名称
(両備)は、 控訴人 ・ 附帯被控訴人 ・ 被告 。
(住民)は、 被控訴人 ・ 附帯控訴人 ・ 原告 。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」、の続きです。
第4 損害について
1,控訴人らは、被控訴人らの損害を植物由来の廃油からもたらされているものと工業系廃油からもたらされているものとに加害行為を分断して検討しているが、被控訴人らの損害は、控訴人の故意過失によって激しい油汚染のある土地を購入させられたことに基づく損害を請求しているのであって、汚染原因物質を特定して、それぞれの与えている損害を分断的に検討することには意味がない。
2、被控訴人らは、基本的には、控訴人からもしくは控訴人の仲介によって購入した本件各住居が、住居として平穏に暮らせる状況でなくなって住宅としての価値を失ったので、他に転居せざるを得なくなった。
従って、いままで居住していたものと同程度の物件を取得する費用が本件被害といえ、その意味で、本件住宅の取得費として土地、建物の代金の範囲を財産的損害として請求している。
被控訴人の販売時の説明義務違反ととらえれば、説明義務が果たされていれば、被控訴人らは購入することはなかったと言えるからやはり購入代金が損害といえる。
なお、小鳥が丘団地に関しては、被控訴人だけでなく、別の訴訟も係属している状況にあり、控訴人側資料(乙77号証)でも指摘されているとおり、「土壌環境基準を超過する揮発性有機化合物が内在する現土壌環境については、臭気も含めて早急な除染措置が望まれる」のであって住居としての価値は皆無である。
まさにこれらの除染費用等を負担しているマイナスの資産であるといわざるをえない。
通常の取引とは異なるこのような場合に経年変化を基準に減価率を計算することの意味はないし、その合理性はない。
賃料調査の報告書(乙82号証)にも、土壌汚染の要因を除外して検討がなされている。
購入金額の50パーセントを損害としたのは極めて被控訴人側に厳しすぎる認定である。
3,小鳥が丘団地においては、広範囲にメタンガスが検出されているとのことである。
このことは、今回の控訴人の主張の重要な柱となっているほか、乙80号証においても適格に記載されている。
メタンガスが発生しているとの確定的な主張は、被控訴人らがかねて主張していたガス漏れ警報機が鳴り出す、地中からでているガスに点火すれば青白い炎となって燃える、庭にガス状のものが吹き出した跡が見られたなどという現象を合理的に説明する結果となっている。
日常的にメタンガスが住宅地のあちこちから噴出していたことになる。メタンガスは人体に対する毒性はないと控訴人は主張するが、可燃性の危険なガスであり、メタンガスが日常的に住宅地のあちこちから噴出するような物件を事前に説明を受ければ誰も購入する人はいない。
被控訴人らは、爆発の危険にさらされながら生活していたことになる。
4,居住利益は控除・減殺されるべきではない。
本件と類似した請求の構造をもつ事案で、売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵があり、これを建て替えざるを得ない場合に、買い主からの工事施工業者に対する不法行為に基づく建て替え費用相当額の損害賠償請求事案において、買い主が当該建物に居住していたという利益を損益相殺等の対象として損害額からの控除することはできないと最高裁は判断している(最判平成22年6月17日判決)。
被控訴人らの居住利益は損害から控除されるべきではない。
本来、住めない状況のなかで、やむをえずそこに留まらざるをえない状態に追い込まれていたにも関わらず、それが居住利益として計算されることは不合理である。被控訴人らになんら居住利益は存しない。
さらに、居住利益の控除を認めれば、控訴人は直ちに対応して平穏に暮らせる環境を整えなければならないにも関わらず、その解決を先延ばしすることによって、控訴人の損害賠償義務の縮小が生じるというおかしな結果となる。
以上
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」、は以上。
結。
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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住宅団地の土壌汚染
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2011年(H23)12月20日に行われた、第一次訴訟(3世帯)・第3回「控訴審」に提出された準備書面を掲載します。
今回の提出準備書面内訳
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」。
控訴人(両備)提出証拠資料
(乙76号証)、応用地質株式会社作成「南古都団地土壌調査(黒い土の成因調査)報告書」。
(乙第77号証)、財団法人岡山県環境保全事業団土屋充作成『「南古都団地」における土壌汚染事象についての一考察』。
(乙第78号証)、岡山大学大学院環境学研究科教授西垣誠作成「南古都団地の土壌に関しての意見書」。
両者の名称
(両備)は、 控訴人 ・ 附帯被控訴人 ・ 被告 。
(住民)は、 被控訴人 ・ 附帯控訴人 ・ 原告 。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」、の続きです。
第3 「黒い土」
1,小鳥が丘団地のどこを掘ってもすぐに油臭を含む悪臭がし、黒い土がでてくる。しかし「黒い土」は、硫化鉄ばかりではない。つまり油汚染の結果、黒くなっている土もある。
そのことは第2で述べたとおり、本件土地の油汚染は、食用油の廃油「植物性油成分」だけでなく、「工業系廃油」も原因となっているからである。このことに当事者間に争いはない。
2,本件土壌汚染が明らかになったのは、平成16年7月に岡山市の水道管取り替え工事のため、道路の掘削がなされたときであった。
「猛烈なにおいとともに黒い液体が噴出した」(甲1号証の3)のである。
この黒い液体によって土壌が黒くなっていたのである。
このときのことを被控訴人○○は「道路の下を掘ったらドバッと黒い油が噴き出した。水道管は油に浮いている状態で、あたりはものすごい悪臭で頭がくらくらするほどでした。」(甲2号証の1)と様子を述べていたことが紹介されている。
少なくとも、このときの黒い土は、硫化鉄が生成されて「黒い土」になったのではなく、黒い廃油のために黒くなっていたのである。
3,平成20年5月30日に、進行協議期日として、小鳥が丘団地の本件現地において裁判官らと状況の確認がなされた。
被控訴人○○氏宅の駐車場をユンボで掘ったが、地表からすぐのところから黒い土がでてきた(乙21号証、別件①ないし⑮の写真)。
同⑦の写真中央部分には光を反射して光る油分を大量に含んだ状態となっているものも見られた。
植物性油成分によって、通常の色をしていた土壌に硫化鉄が生成されて黒くなったということだけでは説明のつかない実態がある。
写真撮影報告書(乙21号証)には、小鳥が丘団地側である沼川南側護岸が撮影されている(地点ウ①、地点エ③、地点エ④など)。北側の護岸と異なって、護岸の上部全体が黒ずんでいる。
小鳥が丘団地の土壌の影響によって護岸ブロックが内部から変色しているものと思われる。
このコンクリート護岸の黒い付着物について分析をしたが、油分が検出されている(甲16号証)。
硫化鉄によって黒くなっているのではなく、廃油そのものの影響によって黒くなっていたものと思われる。
次回に続く。
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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2011年(H23)12月20日に行われた、第一次訴訟(3世帯)・第3回「控訴審」に提出された準備書面を掲載します。
今回の提出準備書面内訳
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」。
控訴人(両備)提出証拠資料
(乙76号証)、応用地質株式会社作成「南古都団地土壌調査(黒い土の成因調査)報告書」。
(乙第77号証)、財団法人岡山県環境保全事業団土屋充作成『「南古都団地」における土壌汚染事象についての一考察』。
(乙第78号証)、岡山大学大学院環境学研究科教授西垣誠作成「南古都団地の土壌に関しての意見書」。
両者の名称
(両備)は、 控訴人 ・ 附帯被控訴人 ・ 被告 。
(住民)は、 被控訴人 ・ 附帯控訴人 ・ 原告 。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」、の続きです。
第2 控訴人が主張するメカニズムでメタンガスや硫化鉄が生成されることは争わない。そして、硫化鉄の「黒い土」も存在するであろうことは特に争わない。
しかし、そのことによって、従来、被控訴人らが主張してきた本件土地の下記の汚染実態になんら変化があるわけではない。
1,株式会社ニックテクノリサーチが平成19年4月に実施した『調査結果報告書(土壌汚染状況調査業務)』(甲4号証の1,2)から少なくとも以下のことが明らかにされている。
①表層土壌ガス調査の結果,全ての調査位置においてベンゼンが検出され,土壌中からベンゼンが揮発している。
②土壌調査の結果,ベンゼン,シアン化合物,鉛,ヒ素などが土壌溶出基準を超えており,土壌がこれらの有害物質で汚染されている。
③土壌調査の結果,土壌含有量基準を満足しているが,鉛,ヒ素,ふっ素,ほう素などの有害物質が検出されている。
④したがって,小鳥が丘団地の土壌はベンゼン,シアン化合物,鉛,ヒ素などの有害物質で汚染されていると言える。
2,乙第5〜18号証について
①岡山市役所環境規制課実施の『地下水・土壌分析結果』2004年7月(乙第5・6号証)によれば,○○宅付近の地下水からヒ素が環境基準の15倍,ベンゼンが31倍検出され,土壌からヒ素,ふっ素,ほう素が環境基準以下ながら検出された。
②株式会社三友土質エンジニアリングの『南古都概況調査分析結果』2004年9月(乙第7号証)によれば,3箇所のボーリング調査(深さ1〜5m)でヒ素が土壌溶出基準の1.7〜3.2倍,ベンゼンが0.5〜26倍,トリクロロエチレンが約27倍,シス-1,2-ジクロロエチレンが約6倍検出された。また,油分が1.3〜1.9重量%検出され,油で汚染されている。
③同『南古都表層土壌調査分析結果について』2004年10月(乙第10号証)によれば,ベンゼンが34箇所中8箇所で土壌溶出基準を超え,最高11倍検出された。トリクロロエチレンは1箇所,シス-1,2-ジクロロエチレンは2箇所,ヒ素は5箇所が基準を超え,最高約3倍程度だった。
④財団法人岡山県環境保全事業団の『調査結果報告書(南古都団地内ガス調査業務)』2004年12月(乙第14号証)によれば,表層土壌ガス調査ですべての地点でベンゼンが検知されたほか,特定の地点でジクロロメタン,シス-1,2-ジクロロエチレン,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,などが検出され,土壌からベンゼンなどの揮発性物質(VOC)が揮発している。
硫化水素に加えてメタンがすべての地点で比較的高濃度(3.2〜68%)で検出されたことから,地層内では有機物の嫌気制分解が相当程度進行しており,硫化水素の毒性や,メタンが引火・爆発する危険性がある。環境大気調査では,大気環境基準以下であるが,ベンゼン,ジクロロメタン,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレンなどの揮発性物質が検出されており,環境大気が汚染されている。
⑤ 応用地質㈱の『電気探査結果』2004年12月(乙第15号証)によれば,全体に低比抵抗であり,1%以上の油分によるとしている。
とくに,タンク跡は油の漏洩を示している。
タンクの底を抜いて地中に直接浸透させて処理していたことを裏付ける結果である。
⑥ 財団法人岡山県環境保全事業団の『調査結果報告書(南古都団地内土壌化学性状調査業務)』2005年3月(乙第18号証)によれば,ヘキサン抽出物質量(油分)が0.1〜10%検出され,含水率や溶解性塩類濃度が高いことが確認されている。
つまり,油分,水分,塩分などが多く含まれる汚染土壌の団塊が確認された。
⑦旭油化には,廃油の処理を貯蔵タンクから直接,工場敷地に投入していた事実があったが,電気探査の結果(甲15号証)からもタンク跡は油の漏洩があること,タンク跡にタテ型の低比抵抗ゾーンは上に尖った形状を呈するものがあるなどそのことが推認される結果となっている。
3,油分調査報告書(甲16号証)
①環境総合研究所の地下水、被控訴人○○氏宅駐車場土壌等の油分調査の報告書である。
同駐車場土壌からは評価基準以上のトルエン、エチルベンゼン、キシレンが検出されている。
鉱物油含有量が5200㎎/㎏、動植物油脂含有量が12000㎎/㎏の非常に高い油汚染が検出されている。そして、油種判定は「ガソリン、軽油、A重油、潤滑油、C重油等」が考えられるとしている。
②小鳥が丘団地の○○氏宅前の地下水観測孔から採取した地下水からは総石油系炭化水素類に関して2項目の評価基準を超える結果が出ている。
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなども検出されていて、ベンゼン、キシレンについては評価基準を超えている。
4,鑑定書(乙80号証)
控訴人側から提出された別の訴訟において住民側から提出されている鑑定書である。
ベンゼンが1メートル深度で広範囲に確認されていてほぼ全域に油分による汚染が広がっていることが指摘されている。
被控訴人○○宅では、台所のガス漏れ警報機が原因不明で鳴ったり、庭の土がお椀を裏返したように土が盛り上がり不思議な現象が生じていた。
この鑑定書によると土壌表面ガスとして地下浅層部に広範にメタンが分布する傾向があり、量水器の枡に濃集する状況が顕著であると指摘されている。
被控訴人宅においておきた事象を説明するものといえ、メタンガスによってガス漏れ警報機が反応し、地中からガスが吹き出して土を盛り上げていたと思われる。
コンクリートの溝から泡のでている箇所に火を近づけると青く燃えたとのことであり、この原因をも説明づける調査結果である。
揮発性有機化合物、重金属、さらにダイオキシンも計測されているなど、より深刻な土壌汚染の実態が明らかとされていて前項に指摘した他の報告書と矛盾するものではなく、より詳しく汚染の実態について鑑定されている。
次回に続く。
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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2011年(H23)12月20日に行われた、第一次訴訟(3世帯)・第3回「控訴審」に提出された準備書面を掲載します。
今回の提出準備書面内訳
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」。
控訴人(両備)提出証拠資料
(乙76号証)、応用地質株式会社作成「南古都団地土壌調査(黒い土の成因調査)報告書」。
(乙第77号証)、財団法人岡山県環境保全事業団土屋充作成『「南古都団地」における土壌汚染事象についての一考察』。
(乙第78号証)、岡山大学大学院環境学研究科教授西垣誠作成「南古都団地の土壌に関しての意見書」。
両者の名称
(両備)は、 控訴人 ・ 附帯被控訴人 ・ 被告 。
(住民)は、 被控訴人 ・ 附帯控訴人 ・ 原告 。
次に、[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」、です。
平成23年(ネ)第218号 損害賠償請求控訴事件
控訴人 両備ホールディングス株式会社
被控訴人 藤 原 康 外
準備書面3
平成23年12月19日
広島高等裁判所 岡山支部第2部 御中
被控訴人ら代理人弁護士 河 田 英 正
平成23年12月8日付控訴人第3準備書面に関して
第1 控訴人の「工業系」廃油の存在の認識可能性がなかったことを前提とする本件土壌汚染に責任のないとの主張は、その前提そのものが認められず、理由がなく認められない。
1,控訴人の本件「黒い土」は、当初から存在したものではなく、植物性油成分から生成された硫化鉄であり、有害なものではなく、工業系廃油による本件土壌汚染が認識可能性がなかった以上、本件土壌汚染に関して責任を負う立場にないと主張している。
つまり、今回の控訴人の主張は、「工業系廃油」の存在を認識不可能であったことが大前提となっている。
しかし、その前提そのものが間違っていることは、被控訴人らが原審において詳しく主張してきたところであるが、当審においても平成23年10月31日付被控訴人準備書面第2において述べたとおりである。
2,本件団地には、児童の健康に及ぼす危険から既に鉛管の水道管の使用は中止されていたにも関わらず、本件土壌汚染の化学製品による水道管に及ぼす影響を考え、あえて健康に危害を及ぼす怖れのある危険な鉛管を使用している(甲32号証、甲36号証)。
控訴人が激しい土壌汚染がなお存在していたことを認識していた証拠である。
また、控訴人は、本件土地の造成工事に際し、ケミコによる土壌改良・消臭工事を東山工務店に行わせている。旭油化が植物油系廃油のみを取り扱っていたのでいわゆる「工業系廃油」が存在しえないと控訴人が認識していたのであれば、わざわざケミコによる土壌改良や消臭工事をする必要はなかったはずである。
植物油系廃油であれば、有機物であるから、一定期間放置することによって、微生物の働きによって、消臭されることになるはずである。
しかし、ケミコを使用していることは、微生物によっては除去できない工業系廃油が多量に存在し、激しい土壌汚染が存在していたことを控訴人が当時も認識していたことを意味するものである。
ケミコは、「工業系廃油」による油臭など土壌汚染対策に使われるのである(乙59号証ないし乙62号証)。
重油等による深刻な油汚染に対して一定の対策を控訴人は計画し、不完全であるが実施したのである。
しかし、控訴人側で実施したボーリング調査結果(甲17号証)、別の訴訟である小鳥が丘団地住民側の行ったボーリング調査結果(乙80号証補足資料5−8以下)によっても、控訴人が主張するような効果的な明確なケミコによる施工の層はみられず、不完全な工事であった。
3,控訴人は、東山工務店に地中に投棄されていたドラム缶にはいった廃油115トンを320万円もの処理費を支払って産業廃棄物として処理させている(乙66号証)。
旭油化の原材料として保管されていたのではなく、旭油化の敷地の地中にドラム缶に入れて投棄されていたのであるから、それは旭油化の原材料となる植物系廃油ではないことは認識していた。
4,控訴人は、一般人として、化学的、生物学的知識が特にあるものではないので、本件土壌汚染のメカニズムは認識しようもなく、本件土壌汚染の結果は予測しえなかったと主張している(控訴人第3準備書面9ページ)。
控訴人は、単に本件土地を宅地として開発するためにその所有者と交渉して購入し取得したのではない。
控訴人に対して、この分譲開発した小鳥の森団地の住民から旭油化からの悪臭などに対して苦情がでていた。旭油化は度重なる行政指導にも応じてこれを是正することなく、刑事処罰を受けてもなお違法操業を繰り返す、傍若無人の遵法精神のかけらもない公害発生企業であった。
こうした状況において、控訴人は、旭油化には問題解決能力がないと考えてこの土地を買い取ることによって問題を解決して、本件土地を宅地分譲しようとしたのである。
旭油化の環境汚染の実態、違法操業の実情など直接見聞してきて(甲3号証、紛争の実情記載の内容)、価格交渉などのために旭油化と長期にわたる交渉がなされて、本件土地を宅地分譲用として岡山簡易裁判所の和解手続きによって取得したのである。
この取得の経過は、ほぼ争いのない事実である。
もはや、控訴人は、この取引において、第三者的な一般人としての立場ではなく、被控訴人ら宅地購入者にとっては旭油化の違法な実態をそのまま継承している直接的な当事者である。
しかも、控訴人は宅地開発分譲業者であり、安全な宅地を消費者に提供しなければならない義務があり、控訴人には原審原告ら平成22年12月17日付準備書面第6項記載のとおりの故意、過失が存在することは明白である。
次回に続く。
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
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[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」。
控訴人(両備)提出証拠資料
(乙76号証)、応用地質株式会社作成「南古都団地土壌調査(黒い土の成因調査)報告書」。
(乙第77号証)、財団法人岡山県環境保全事業団土屋充作成『「南古都団地」における土壌汚染事象についての一考察』。
(乙第78号証)、岡山大学大学院環境学研究科教授西垣誠作成「南古都団地の土壌に関しての意見書」。
両者の名称
(両備)は、 控訴人 ・ 附帯被控訴人 ・ 被告 。
(住民)は、 被控訴人 ・ 附帯控訴人 ・ 原告 。
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」、の続きです。
(第2 損害について)
2 被控訴人らの主張する損害について
被控訴人らは、本件土地を「健康に影響を及ぼす危険物質を含む激しい土壌汚染のある土地」(原告ら平成22年7月5日付準備書面10頁等)とし、被控訴人らに「多大なる財産的、精神的損害を与えた。」(同準備書面11頁等)と主張するが、財産的損害については、その詳細を主張していないので、本件土地の土壌汚染によって被控訴人らにどのような財産的損害があるのかは不明である。
しかし、植物油系廃油のもたらしている損害と工業系廃油の中に存在するベンゼンその他の特定有害物質のもたらしている損害とは、別のものであり、これらを区別して論じる必要がある。そこで、以下にこれらを分けて反論する。
(1)販売した土地に残存している植物由来廃油のもたらしている損害について
植物由来廃油がもたらしている損害として考えられるものは、メタンガスと硫化水素である。
だだし、硫化水素は地中を掘らなければ検出されず、また地中を掘っても必ずしも検出されず、検出されたとしてもその量もわずかなので、日常生活に支障を及ぼすことはない。
他方、メタンガスは、確かに地表でも検出されており、量水器に滞留しているところがある。
したがって、安心した生活を送るという観点からみれば、適切な対策が必要であるとも考えうるが、その対策としては、専門家によれば、各被控訴人の土地にガス通気孔を設置することで、メタンガスを逃がし、また、地中を好気的な雰囲気にしてメタンガスの発生を止める対策で十分であるとされている(乙第77号証・土屋常務理事意見書6頁)。
これに要する費用は本件団地全体に通気孔を通したとしても(合計45本)、197万円であって、通気孔一本約4万3000円でしかない。
本件団地にある住戸全35戸で分担しても、各住戸ごとに6万円を超えず、各被控訴人の損害もこれを超えるものではない(乙第84号証)。
なお、硫化水素も嫌気的雰囲気のもとで生成されるから、かかる通気孔対策は硫化水素の発生も防止することになる。
なお、地中の異臭は、掘削しない限り、地上で生活する者には感知されない。
しかし、掘削すると場所によっては地表近くでも異臭がするという状態は、ガーデニング等日常生活に全く支障をきたさないとまでは言い切れないかもしれない。
したがって、地中の異臭についての損害は、ガーデニングを行うにあたり異臭のために不便を感じることがありうる不利益分のみを損害として評価すべきである。
通常のガーデニングは50cmも掘らないことを考えると、地中の異臭は通常のガーデニングには全く支障をきたさないと思われる。
悪臭に関する被害についての裁判例をみてみると、魚のあら工場の激烈な悪臭のため、食事、睡眠、労働、営業など日常生活の各分野で様々の被害を受け、生鮮食品の販売業を営んでいて売上げが半分程度まで減少した者に90万円の慰謝料、その他の者は10万円〜30万円程度の慰謝料が認められているにすぎない(乙第85号証・名古屋地裁一宮支部昭和54年9月5日判決判例時報938号9頁)。
同事件では常に悪臭が漂っているため日常生活に支障を来たすことから、慰謝料の原因となったものである。
したがって、土を掘らなければ臭いのしない本件では、慰謝料の発生原因となるとは考えにくい。
仮に本件で損害が発生したとみることができるとしても、かかる不便の損害は、多く見ても被控訴人ごとに30万円を超えないと言うべきであり、この異臭の原因は、植物由来廃油と工業系廃油の双方が原因と考えられるから、植物由来廃油の寄与度を半分と考えると、植物由来廃油を原因として現在生じている異臭の損害は被控訴人ごとに15万円を超えないというべきである。
以上のとおりであるから、植物由来廃油のもたらしている損害は、被控訴人ごとに考えると、各21万円(6万円+15万円=21万円)を超えない。
植物由来廃油であれば、特定有害物質が含まれるものではなく、上記損害を超えて土地評価額に影響を及ぼすことは考えられない。
(2)販売した土地に残存している工業系廃油のもたらしている損害について
工業系廃油がもたらしている損害としてまず考えられるものは、異臭である。
異臭についての工業系廃油の寄与分が半分であると考えると、その損害は、上記のとおり、被控訴人ごとに15万円を超えないと言うべきである。
被控訴人らは、本件土地建物が無価値なものであったと主張するが、本件土地が健康被害をもたらすものとは原審も認定していないし、全く根拠がないことについては、控訴人第1準備書面第4(22頁以下)に述べたとおりである。
被控訴人らは転居せざるを得ない住宅であると言うが、健康被害の恐れもなく、生活環境の被害もほぼない中で(上記2のとおり、メタンガスと地中の異臭は一部生活被害が発生しているが)、転居が必要な理由は何もない。
原審が「市場価格は近隣相場の50パーセントになると認められるから」(原判決29頁)としているのは、恐らくは、工業系廃油に含まれうるベンゼン等の特定有害物質の存在による現時点の評価減を考えているのではないかと思われるが、確かに現時点では特定有害物質が存在する土地は土地取引において対策費を考慮して減価されることが多い。
しかし、問題は、仮に、工業系廃油の存在可能性を、また、その工業系廃油の中のベンゼン等の特定有害物質の存在可能性を控訴人が予見できたとして(以上について、控訴人が争っていることは既に何度も繰り返しているが、ここでは損害論なので仮定の上で議論する。)、さらに、かかる特定有害物質が存在するが故に対策費相当の損害を被控訴人らが被っているとしても、かかる経済的損害は控訴人の不法行為による損害賠償の対象ではないと言うことである。
すなわち、不法行為においても民法第416条が類推適用されており(最高裁昭和48年6月7日判決民集27巻6号681頁)、不法行為における損害賠償の範囲は相当因果関係の範囲に限られる。
したがって、本件で被控訴人らが主張している損害が、相当因果関係のない損害であれば、控訴人にはその損害を賠償すべき義務はない。
この相当因果関係については、本件ではないというべきである。
なぜなら、土壌汚染対策費が考慮されて減価され取引されるという現状は、平成14年の土壌汚染対策法の制定がもたらしたといえ、これは特別の事情による損害であって、控訴人に本件土地分譲時に土壌汚染対策費等が考慮されて減価されることの予見可能性がないからである。
(3)小括
以上のとおり、工業系廃油の特定有害物質の対策費用及びこれに伴う土地の減価は、工業系廃油の予見可能性と関わるが、仮にその予見可能性があったとしても、その損害は、控訴人の本件土地の販売と相当因果関係のある損害ではない。
その他、メタンガス、硫化水素といった地中ガスは、ガス対策費用程度の損害があるにすぎず、土地を掘削することによる異臭による損害は仮にあるとしても、ガーデニングの不便による慰謝料が損害であるにすぎず、いずれも植物由来廃油を原因としている可能性はあるが、その損害額は極めて限定的である。
以上
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」、は以上。
次回に続く。
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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