最初に述べておいた方がよいと思うので、小生は骨董品にほぼ全く興味がない、何かを収集すると言う趣味もない。ただ日本刀だけは、好きだから、収集と言うほどではないが、数振り所有している程度である。
何故、今日になってこの骨董について書こうと思ったのか?それは小生の老母が「鑑定団」だかと言う番組が好きで付き合って時折見ている時に思うのだが、無論、バラエティー番組であるから、登場する骨董品の全てが本物であれば番組が面白くないのだろう、それにしても偽物が多いのに驚いている。
確かに、小生の趣味である日本刀も偽物が多く出回っているし、鑑定士でも見抜けないほどの一品も存在しているから、騙されて買う人も少なくないが、昭和から平成に移り、日本刀の場合、市場が大変に狭いので、偽物の噂はすぐに業界に流れる、ある程度情報を得ている人はまず騙されないが、一般的な骨董品、掛け軸や絵画、磁器や陶器と言った品物は、あの番組を見る限りかなり騙されている人が多い様に思う。
解説者?鑑定士から漏れる言葉だが、「この作者の場合、十に一つ本物があれば良い」と平気の平左で答えているのだが、これはちょっと法治国家の番組として看過できない発言だろう。
明らかに偽物、つまり贋作であるとすれば、この贋作が市場に出回っているのであれば、骨董などの専門家、あるいは鑑定士たちが行政の力なり司法の力なりを使って市場から駆逐する必要があるのではないか?
ブランドなどの著作権問題などでは大変に厳しい取締りが行われているのに、骨董の世界だけは、贋作もまた法律に抵触しないと言うのだろうか、小生は法律の専門家ではないが、どうも矛盾を感じる。
骨董に著作権はないにしろ、偽物、贋作と言うのは詐欺の温床になり得る。つまり詐欺の道具として使われる可能性があるものが世紀正規に市場に出回っていると言うのは、法治国家として容認されるものなのだろうか?
確かに番組に出てくる出場者が、偽物と判っても、落胆しながらも、自分の目が確かではなかったとして諦めているのだが、もし、売る側が偽物であることを知っていて高値で売っているとすれば、素人が考えても詐欺罪が成立するように思うのだが・・・・違うのだろうか?
知らなかったとすれば、その骨董商は、鑑定眼がいい加減で知識不足を批判されて店を畳む位の覚悟なくして店が続けられるのか?大変に疑問だ。
元々、収集家、あるいはコレクターと言う趣味がない小生の場合、物に固執したことがないから、そう言った物で騙されると言う経験がないが、初めて日本刀を購入する際には、自分なりに1年ほど刀を勉強した。刀剣鑑定の専門家の所にもあしげく通ってから、自分である程度、真贋の目を養ってからですら、購入する時には、信用できる業界でも有名な鑑定士にお付き合い願って一緒に出向いたほどである。
ただ古いものであれば良いと言う分けではないのだろうが、ドブ板市ではないが、その古道具の中にこれは!という物が発見される事への喜びなのだろうか?一種のマゾヒスト的な喜びなのだろうか?小生には判らない。
最後に、日本刀の魅力なのだが、他の骨董品と違い、日本刀は武器である、名刀と言われる品の大半は、鎌倉期、室町期に鍛えられた刀が多いのだが、当然、戦国時代と言う武器を大量に消費する時代を経て、中には名刀でありながら、使い勝手が悪いとして短くされて銘の部分を切り取られているものも珍しくない、有名な五郎入道正宗もその殆どが無銘である。これを見抜く目を養うのは大変に難しいのだが、この大量消費の時代に武器として使用され、その大半が失われた、江戸期に入ると、刀は、一種の武士を表す為の道具になり、その美しさや軽さなどが尊ばれて業の物と言われるような頑丈な刀はなくなって行く、一種の飾り物である。これはこれで美しいのだが、小生は、この戦国時代を越えて生き残った、刀に大変に魅力を感じるのである、本来なら折れて土に返っているはずの運命を乗り越え、この平成期まで・・と考えると、大変に生命力を感じるのである。
小生の家は、元々直参旗本から他の大名家へお預けと言う形で所領を頂いた名家と言われているが、現実には明治期に没落して帰農して糊口を養う過程で刀や武具の大半を失ったと聞いている。小生祖父が、長男が出征時に持たせた刀は、戦場で失われ、最後に残った家代々の守り刀はGHQに接収される時に祖父が頭に来て、取りに来た役人の目の前で叩き折ったそうだ。この件で当時、軍属の責任者であった祖父は、戦犯容疑をかけられていたので、警察やGHQに毎日のように呼び出されたと話していた。
祖父がなくなる時、死に水を取った小生に、震えるような声で「私の馬鹿息子ども(叔父叔母)は、誰も日本刀を買えるほどの出世しなかった、どうか、明治期に父(小生の曽祖父)が手放した日本刀を探し出して買い戻してくれ」と、この時小生は38歳であった。それまで日本刀は好きだったが買おうなどとは思ったことがない。父を早くに亡くした小生は、父からも刀がほしいと言う言葉を聞いたことがなかったからだ。
しかし、具体的に行動してみると、祖父の言い残した刀が探し難いもので、市場にはまず出ないと刀剣商から聞かされ、探すこと十年、見つけたときには50歳近くになっていた。しかしその値段を聞いて本当に驚いた・・・・家一軒どころではなかったからだ。
家族と話し合い、何とか自分でも勉強して手に入れたのは、それから二年後だった。戦国時代を生き抜き、小生の実家が明治期に手放した名刀に他ならなかったが・・・・それから三振りばかり、我が家に関わる刀だけを集めた。
小生には娘しかいないから、この四振りの刀を受け継いでくれるかどうか?心配だが、この刀を入手してから私の資産は、驚くほど増えた。運などは信じないが、老母などは刀に付いて来たご先祖様の魂がお前を守ってくれたのだと・・言っている。
しかし、資産は守ってくれたが、小生の体は、持病と合併症など色々な病に犯されている、身体は守ってくれなかったと言うことだろう。(いい加減な生活習慣、自業自得だが)
なんとなく、文章が纏まらなかったが、入院前の戯言だと思ってくださいませ・・・・・・