凡人の戯言と趣味を語り綴る場所

あっちじゃスパム対策が十分でなかったようでお引越し。
さて、ペンデュラムのアートブックに掲載されている画像に著作権侵害が発生しているのでは、とファンから指摘があり、3週間が経ちました。
前回のエントリーでは、問題の起こったであろう経緯と、法的にどう問題がありリスクになるのか、そして問題発生を今後しないための対策をまとめました。
そして文中で何度も書いていた通り、”指摘を適切にし、公式にも適切な対応をしてもらう”が目的でありました。

しかし今現在、公式から適切な対応はなされているとは判断できない状態が続いています。
デジモンウェブの公式ツイッターの稼働が停止しているため、なおのこと、情報が不足していることも含めて、不安が大きくなっているように思います。

前回、対応についてはここで書くべきではないと判断し、割愛しましたが、ここまで問題が停滞により長期化している今、少しでも整理できる部分を整理した方がいいように思えます。故にまた長ったらしい文章をだらだらと書かせていただこうと思います。

公式はどんな対応が可能だったのか

俺が問い合わせたのは問題が発覚した十一月二十三日(金)の八日後、十二月一日(土曜)になります。
しかし、俺以外にもそしてより早く問い合わせた方も多々いらっしゃると思います。
また、公式側がツイッターでのエゴサーチなりなんなりを行い、二十三日時点で著作権侵害が指摘されていることを把握していた可能性があります。
加えて、デジモンウェブの公式ツイッターは、三十日のデジモンウェブ図鑑更新の告知(このツイートは自動投稿クライアント経由であることを確認済み)以外は二十二日を最後に更新を途絶えています。
故に、まずは早ければ二十三日(金、祝日)、遅くても二十六日(月曜日、担当部署営業日と想定)には事態の把握を大なり小なり把握していた、という仮定の基でお話します。
では、公式は事態を把握し、どんな対応が望ましかったのでしょうか。

まず、真っ先にするべきは権利者への事情説明と謝罪、そして今後の対応についての協議の開始です。
これは製品開発部署というよりかは、総務部や法務部を通じての話になりますから、部署単位というよりは会社全体の動き(ある程度大きな部署だとその中にまた法務総務担当がいる可能性もあるけれど)になると想像します。

次に、権利者との話がまとまったら、それに基づいてアナウンスをする必要があります。
ダメージが大きい場合ケースでは回収になりますし、そうでない場合は謝罪文と出典元の掲載だけで済む話になるかもしれない。
そこそこダメージを追う場合は、出典元を書いたシールを正誤表のように配布する、なんて場合もあるかもしれません。
しかし、ここに関してはどのような話し合いになるかはぶっちゃけ推測したところで、可能性がどれくらい、と論じることはできないし、無意味です。(故に前回も割愛したわけですが)

対応が進んでいるかはブラックボックスのまま時間は過ぎる

ファンとしては、大なり小なり気を揉むという方が多い事でしょう。
公式サイドが著作権侵害、やはりここだけ取り出すとインパクトが悪い方にでかすぎるわけですし。(インパクトに引っ張られないよう前回企業等における著作権意識というか風土の問題としてまとめたつもりではありますが)
気を揉む方の中でも、今後の対応次第ではないかと冷静にことを受け止めている方も多々いらっしゃると思いますが、その対応に関しても全く情報が入ってこないと来る。こりゃあ参った。

対応されなかった場合はどうなるのか

ここが今回一番書きたかった肝。
とにかくやべーよ、駄目だよ、と不安感と正義感からくる義憤で発言されている方がちらほらみられる中、そもそもどういうリスクがあるのかって理解されての発言なのか疑わしいようなものも含まれるので、整理したいと思います。

著作権法の構造と運用を知る
 では、この問題の核である著作権とそれを定義する著作権法とは何なのか、すごくざっくりとお話していきます。
 著作権とは、著作物を作った人間や、その人間から権利を譲渡された人間、創作に関わった人間がが持つ権利のことをまとめて指します。知的財産権の一種ですね。
著作物とは、思想や心情を表現した創作物のことで、美術品なり小説なりマンガなり音楽なりが身近な例ではないでしょうか。
 著作権は内容を三つに大別できます。
著作者人格権、公表や名前の表示の有無やその仕方、勝手に作品をいじられないといった権利です。専一性、つまり譲渡や相続はされません。
著作財産権、コピーやアップロード、レンタルや演奏や上映といった利用をする権利。譲渡や相続がされる場合があります。
著作隣接権、放送事業者やらレコード会社やら演奏者やら演者など、著作物を広めることに一躍買っている方々が持つ権利。財産権と人格権に当たるものがある。今回はあんま関係ない。

著作権法で定義されている権利は大体こんな感じ。
押さえておきたいポイントは、著作権法の柱はこうして「作者や関係者はこういう権利を持っています」と書かれています。
つまり、その権利は作者が独占している権利であって(知財の産業分野の特許なんかもまさにそうですが)、その権利で規定されている行為を権利を持たないものが勝手に行うと権利侵害になる、こういう筋立なのですね。

実際の侵害内容はどうなるか
著作権侵害と巷では声高に言われておりますが、著作権と言うのは権利の種類が本当に大変多くありまして、大別しただけでも三種類あるって話はしましたが、著作者人格権で三つ、著作財産権で十一つ権利が定められています。
著作者人格権は、
第十八条 (公表権)
第十九条 (氏名表示権)
第二十条 (同一性保持権)

著作財産権は、
第二十一条 (複製権)
第二十二条 (上演権及び演奏権)
第二十二条の二 (上映権)
第二十三条 (公衆送信権等)
第二十四条 (口述権)
第二十五条 (展示権)
第二十六条 (頒布権)
第二十六条の二 (譲渡権)
第二十六条の三 (貸与権)
第二十七条 (翻訳権、翻案権等)
第二十八条 (二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)

で、件の企画書で問題とされている権利侵害は二か所あります。

一か所目、『進化!』の煽りとともに掲載されているシャウトモンX4Kの画像。
個人製作のガレージキットを、製作者が撮影したもの。
影や尻尾が削られている。
侵害している権利:複製権、同一性保持権、氏名表示鍵
権利者:株式会社バンダイ(原著作者として)、ガーレジキット製作者

二か所目、『20th武器型Armsデジモン登場!』の煽りと共にあるシルエット画像
グッドスマイルカンパニー製作の『ねんどろいど キャプテンアメリカ』の製作決定報告の際の画像。黒塗りシルエットに加工されている。(シルエットに加工しても、厳密な判断では権利侵害に該当する)
侵害している権利:複製権、同一性保持権、氏名表示鍵
権利者:MARVEL(原著作者として)、グッドスマイルカンパニー


著作権侵害を行ったものへの権利者の権利行使および罰則

さて、侵害内容を整理したところで、権利侵害したらどうなるのかを整理します。既に著作権法が刑法でも民法でもないというお話をしましたが、著作権法では、権利侵害に対して権利者が民事訴訟で請求できることや、刑事訴訟を行えることが定められています。また、権利侵害の発生に伴い、民法上の規定や刑法上の規定も一部鑑みることになります。ただし、民事訴訟はそもそも権利者が起こすものですし、刑事訴訟もまた、著作権法においては一部の例外を除き、権利者の告訴がないと公訴がなされない(いわゆる親告罪)ということになっております。
では、訴訟でどのような請求や罰則がなされるのかをまとめていきます。

民事訴訟
差止請求
侵害している現状を止めろ、あるいは予防しろって話。違法アップロードだったら削除しろ、DVDに映像中に侵害があれば発売中止や回収しろってことになります。今回は受注生産の書籍なので、差止請求をされた場合は回収することも想定されます。権利者が全ての権利侵害に対して請求可能。

損害賠償請求
権利侵害によって損した分を保証しろって話。有償なものが無料でばらまかれていたりとかしたら商売あがったりになるので、そこで損した分もらわないとって話。今回の件で損害賠償が発生するかどうかは、正直画像使用許諾の際にロイヤルティーとっていたら、位しか俺の頭では想像できません。

不当利益返還請求
権利侵害行為によって稼いだお金を返せって話。例えば有償著作物をアフィリエイトブログに違法にアップしてPV集めながら金稼いでいたら、そこで稼いだ分は返そうねって話。
別に侵害した画像が目玉で稼いでいたわけではなく、元々受注生産なため、ここでも大きな額が発生する想像は俺の頭ではできない。

名誉回復等の措置
権利侵害によって名誉を傷つけられたり不当な評価を被ったら、侵害したものに名誉回復させられるって話。自分の描いたイラストを勝手に別人が自作の絵ですとか、もっと身近な例だとパクツイとかそういうので、著作者人格権や隣接権の一部である実演家人格権が対象。
今回のケースだと、出典元をちゃんと明記した報告やら、やっぱ正誤表的なシールなりがその対応になるのかなと。あと謝罪。

刑事訴訟
侵害内容と侵害したのが法人か否かによって罰則内容が変わります。
今回は、
複製権侵害→法人には三億円以下の罰金、法人内の侵害行為実行者には十年以下の懲役または一千万円以下の罰金(著作権法第百十九条第一項、第百二十四条第一項第一号)
同一性保持権→法人、法人内の侵害行為実行者いずれにも、五年以下の懲役または五百万円以下の罰金(著作権法第百十九条第二項第一号、第百二十四条第一項第二号)
氏名表示権→法人、法人内の侵害行為実行者いずれにも、五年以下の懲役または五百万円以下の罰金(著作権法第百十九条第二項第一号、第百二十四条第一項第二号)
となります。
ただし、刑事罰の場合、刑法第三十八条により、その故意性の有無によって処罰がなされない、または減刑される場合がありますので、前回まとめたように、故意性を認めるのは難しいあたり、実際刑事告訴がなされても、上記の罰則がフルスペックで来ることはかなり考えづらいと思います。

権利行使の重さと可能性の大きさをどう評価するか

さて、権利行使による民事、刑事の訴訟でどうなるかまとめてきました。
各項目のものでデジモン公式側にダメージがあるのは、民事訴訟での差止請求によるアートブックの回収と刑事訴訟による罰則の適用になると思います。
損害賠償や不当利益返還請求でも額が大きくなる可能性は考えづらく、名誉回復等の措置は、元より訴訟が起ころうと起こっていなかろうとやるべきことです。

ただ、民事訴訟するにしたって訴訟は時間もお金も使います。
刑事訴訟に関しても、そもそも刑事罰の適用が難しいと判断されるような事案だと不起訴処分になる可能性もあります。
それにそもそも、慣例として訴訟前に権利者が権利侵害者に警告をするわけですし。
最初の方で言い忘れましたけど、日本の著作権法って軽微な(今回のが軽微なものといいたいわけじゃない)侵害は、訴訟を起こす方が面倒くさいから見過ごしてしまう、いわゆる権利侵害は起こっているのに権利者が権利行使しない”グレー状態”が多いんですよ。
もちろん社会的立場のある法人が、しかもキャラクタービジネスする会社が、侵害行為をしているのは大変な問題ではあるわけですが。

実際公式はどう対応しているのか。

全く動いていない公式に大して不安が募りますよね。そんな不安を解消するために、人間ってやつはつい想像して納得しようとしてしまうもんなんですが、現状から想像されるもんは俺の頭では以下のものかなと。

1、公式が無視を貫いている
問い合わせはどこ吹く風、というパターン。
デジモン公式自らが権利者に連絡を取った場合に謝罪文の掲載、回収に至ると想定しているとします。
そして、権利者が権利行使により民事訴訟前に権利者から警告が来る、刑事訴訟のリスクは低い、と公式がリスク評価をしている、とします。
その場合、動いても動かなくても結果は同じであり、動かないで何も起こらなければそれが一番、と考えている場合は、何も対応しない、がそれなりの説得力を持ってしまうことになります。
ただし、これは既にお問い合わせがなされているのがツイッターで指摘され、キャラクタービジネスを行う会社としてはあまりにも意識が低すぎるので、このパターンは考えたくないです。

2.公式が社内での対応をまとめきれていない
まず事態の把握をどこまでできているのか、把握した上でどう対応すればいいか判断できているのか、これがまず社内でなされていない可能性です。
ぶっちゃけこれも想像したくないですけれど、権利侵害するあたり、著作権法に関する認識って甘いよう思えてならないので、そういう状態で権利侵害って言われても、混乱して何をどうすりゃいいかってとこで詰まってる可能性もあるなあと。
また、社内でどこまで情報共有が出来ているのかが怪しいものに思えます。
俺が仮に法務部なり知財管理部にいる人間で、今回の事態を把握した場合、なるたけ権利者に角が立たないような経緯説明をし、温和な形での和解を目指すよう思えます。それがなされていないってことは、社内でまだ情報共有できてなくて混乱している可能性もあると思います。

3.水面下で行動はしている
一番こうあって欲しい説。ただ、ガレージキット製作者は俺が見える範囲では公式から何か連絡があった様子はないので、ちょっとここもわからない。
ねんどろいどのシルエットに関しては、俺個人では得られる情報はなし。問い合わせしたって、「確認します、ご報告ありがとうございます」のテンプレが返ってきそうだしなあ。
グッドスマイルカンパニー通じて話をしていることだけでも祈るばかりです。

俺個人が望むこと

ぶっちゃけ、キャラクタービジネスをやる会社としてお行儀の悪いのは間違いないんですが、実際の損害であるとか故意性や悪質性を考えた時、重大かって意味ではちょっと首をかしげる事案なので、権利者に話を通せば「めんどくせーから不問で」とかにもなる可能性が十分あると思うんですよ。
だから、デジモン公式サイドには一にも二にもまず権利者に連絡を取って経緯説明と謝罪をして、早い段階で問題の解消に取り組んでもらいたい、そしてできるなら解消後にお問い合わせへの返答という形でいいから、問い合わせた人間にのみでもいいから、その報告が欲しい。キャラクタービジネスやる会社として、仮に問題解消しても大っぴらに「ミスしてましたさーせん!でも許してもらえました!」とか言いづらいってのもあるだろうし。

あとファンの言動と動きについて。カップ焼きそばに虫が混入していたのを画像アップして炎上に発展した事例が頭をよぎりました。
いいじゃん、別に燃やす方向に行かなくても。問い合わせて、それでも返答来なくてじれているってならわかるんですけど、俺の観測できる範囲では初動から烈火の如く腹を立てていらっしゃる方がいらっしゃったわけで。
ここまでつらつらつらつらとホンットーにめんどくせーと思いながらまとめてきたわけですが、著作権法ってマジ面倒くさいんですよ。だから著作権法の侵害一つとっても、なんでもかんでも正義の剣みたいにふるうもんじゃねえんすよ。
著作権法は刑事罰が規定された法律なわけですが、法体系としては刑法やら行政法やらの”公法”ではなく、民法や商法などと同じ”私法”に入るわけで、当事者間の話し合い、示談による解決を中心にしたっていいんですよ。
欲しい対応がなされず焦れる気持ちはよくわかるからこそ、怒りの発露をしたって仕方がないので、情報共有をしてちょっとでもいい風向きになれればいいなと思います。今回はこうしてつらつらつらつらと書いた理由はそれです。
あともし公式サイドの方がこれを見ていたら、ちょっとでも望む対応に近づいてもらえればと思います。

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お久しぶりです。
ペンデュラム20thのアートブックが俺のタイムラインで大層話題を集めています。
というのも、巻末の座談会パートに掲載された、ペンデュラム20thバージョンの企画書に、個人の作成した立体物の写真(個人の〜は立体物にも写真にも掛かります)が、まんま使用されていたため、公式が無断転載を行っている図式になっていたためです。あまり穏やかではない、かつ褒められたものではない理由なのがなんとも言えない。

しかし、公式が無断転載、この言葉が若干インパクトが強すぎるのです。大げさと言うつもりはないですが、そこから公式のデジモンの展開のやる気のなさ、スタッフへのバッシングの論拠と、所謂”石を投げる理由”として用いられるのには、俺は違和感があります。
違和感の理由を突き詰めると、以前クロンデジゾイドの件でも話したように、「どんな会社でもヒューマンエラーは起こり得る」が頭に有る故であります。もちろんミスがない、誰にも迷惑をかけないのが一番ですが、担当部署、チームなど、実際の仕事を担う人々の環境次第では、ミスをしないよう徹底するのには無理があることも想像に難くないため、これを論拠に”やる気”にまで言及して悲観しバッシングをするのは、やっぱり違うと思うのです。
著作権法に関する遵法意識がキャラクタービジネスをする企業が弱いならば即ちやる気がない、というのならば、ケースこそ違うものの、ハイスコアガールの製作に関わった人たちがやる気がないってなるわけですよ。断じて違うでしょうよ。(なお、ハイスコアガールの一件は訴訟取り下げのため裁判所は侵害の有無を判断していないことに注意)

それに、この手のトラブルは実は中小規模の会社や、地方行政の資料では、実は珍しくない問題に俺は思えてならないため、ダメなものはダメであるという大前提の元、もう何言われても仕方のないサンドバッグに甘んじるべきと判断するのは、やはり早計に思えるのです。

なんでそんなジャッジングになるのか、仮定をした上で、何がアウトで、どうすればセーフだったか、一つ一つ整理していきます。

一、企画書制作段階での無断使用

ぶっちゃけ、なんで登場していないシャウトモンX4の画像が使わているかってのは本旨ではありません。一応言及しておくと、合体、進化、というワードからデジクロスを連想させて画像を引っ張ってきたってのは想像に難くない。
で、このネットから画像を引っ張るという行為、多くの場合はこの手の”会社の”資料に使うのはまずご法度です。何故かといえば、著作権法の複製権の権利制限(=無許可で使ってもオッケーなライン)は、私的使用のための複製や、教育目的の使用、分離が難しい映り込みなどに限定されているためです。
ですが、この遵法意識は残念ながら広く認知はされておりません。
お勤め人が資料を作る際、内部で作る資料にコンプラ意識が薄くなる、社会に出られている方ならギクリとする方も多いはず。
例えば、適切な使われ方をしない限り、会社内で新聞の記事のコピーを回すことだって本来アウトなんですよ。著作権法っていうのはそういう次元の話で厳しいわけですが、いやそれ守ってるん?ってレベルの話はよくあるわけで。
実際、自治体の資料でネット由来の画像を使って著作権違反になっているケースが散見されているとの報道もあり、この問題は実は根が深い社会の認識不足の、氷山の一角でもあるのです。
企業だからしっかりしているだろうって印象ですが、企業にお勤めだろうと構成要素の最小単位は所詮同じ人間なんですよ。
よく有る話だからと擁護するつもりはないですが、少なくとも無断転載だから会社としてダメ、っていう理屈でいうと、もちろんダメはダメだが、これは現在の著作権にまつわる社会風土としてダメなので、まああり得るだろうなあというのが正直なところ。
もちろん、キャラクタービジネスをやる会社である以上、この手のミスはイメージの失墜に繋がりますが、会社としての対応が徹底されてないケースってのはまああり得るのかなあと。

本来なら、権利上許諾が必要な資料をどうしても使う場合は、出典を明記の上、引用した箇所が引用とはっきりわかる(主文と引用箇所が明確に判断できる)よう記述すれば、引用規定で法的な問題なく利用できます。たとえ会社で使う資料でも。じゃねえとレポートや論文なんて書けねえんだよ。

引用規定を使わなかったのは、前述の通り遵法意識が社内資料だとなあなあになっていた可能性があると思いますが、もしかしたら画像の出典元をよく確認せず、バンダイが自由に使用できる(権利を全て自社の管轄の)コンテンツと勘違いをしていた可能性もあります。いや、でもそれだったら普通に自社の素材ライブラリとかから引っ張りゃいいのですが、そこは素材ライブラリがしっかり作られていないか、やはり遵法意識の問題か。

二、アートブック掲載時の校閲

この問題がややこしいのは、企画書に書かれたアメコミキャラの製品が黒のシルエットにされていることで、一応は世に出す際のチェックが入っていたことを明示していることにあります。
つまり、一の段階での権利侵害を修正できるチャンス(というか世に出す上では先述のような「内々の資料だからなあなあだった」が言い訳にできない)だったにも関わらず、機会を逃してしまいます。
アメコミキャラをシルエットに修正したのが編集側からの提案だった可能性と、資料提供側だった可能性、どちらもありますが、少なくとも、そのどちらもX4の画像についてはスルーしてしまった。
とは言え編集側にX4の画像に気づけ、というのもやや酷な話にも思えます(デジモンの版権元から来た資料でデジモンの画像が載っていて、それが権利侵害の可能性を考えるのはやや難しい)。
かと言って資料を提供した側が、資料製作者と同一でない場合、どこから画像引っ張ってきたかなんてわからないわけですから、ここで気づくのもまた難しい。
で、資料作成者が仮に資料を渡したとして、先に述べたとおり遵法意識は恐らく甘い。

これどっかに詳しい人いないと、そのまま通る可能性、高くないっすか。

チャンスは間違いなくあったはずですが、そこにこの段階で気づくのは、掲載の際の資料のやり取りを想像すると、結構厳しいものがあったのではないか、そんな風に思えます。

三、今後の対応

何故か俺が「仕方なかったんだから許してやれよ」みたいな言い訳をする空気を自分で作ってしまいましたが、言いたいことはそういうことではないのです。
ミスをしてしまっても不思議ではないのかなあと言う想像を共有することで、無断転載しているんだからすなわち大変けしからん、デジモン公式はもうダメだ、やる気がねえ、という思考回路に一回ブレーキを掛けることは目的ですが、真に求めるは、適切に問題点を指摘し、そして公式にまた適切に対応してもらうことです。
具体的な対応は、画像を使用された当事者とアートブック製作側とで話されることですが、どうなるか注目です。
許諾を取るのか、書籍で言う正誤表作って配布し、出典元記述の引用にするのか、色々考えられますが、それは現時点であまり意味のある考察ではないと思うので、現時点では割愛します。

四、今後の対策として

これまで、どういった流れで今回のアートブックにおける、所謂無断転載状態(複製権の侵害)が起こってしまったのか、仮定を基にまとめてきました。
では、どうすればこの問題の発生を食い止められたのでしょうか。

第一に、社内資料作成の際のルール作りです。
企画やプレゼントいうのは、どうしても魅力が伝わり易く見栄えよく、となってしまうので、どうしても画像素材を多く使いがちです。
しかし、その素材の出どころというのは、しっかり管理しなければいけません。
とするならば、コンテンツ制作会社ならば自社のコンテンツの素材を整理して適切に使えるようにすることが望まれるよう思います。
また、マイクロソフトオフィスでクリップアートがなくなった今、商用利用可な素材を探すのは地味に一苦労です。
資料作成者向けに、商用利用等でも利用できる素材サイト集なんかをまとめて、同時にネットの画像を利用する際は社内で確認を取るような体制にし、社内周知することが、安全な橋を渡ることになるのかなと思います。
どうしても素材サイトや自社素材では限界がある場合は、引用等著作権法で認められた使い方をするようにする。
ここまでが徹底できれば、資料作成段階での著作権法違反を失くすことができるよう思います。

第二に、社内資料を公開する歳に、使われている画像や文章等、権利上問題がないか精査する仕組みが必要です。
資料作成者がどこから画像を引っ張ってきたのか確認し、問題がなければパス、見つかれば修正。
すげえ面倒そうな作業に見えますが、一が徹底されていれば、資料作成者が脚注やコメント機能を使って、各素材がどこ由来か記述するだけですし、チェックする側は全ての素材が問題がないか、裏取をするだけです。作成段階で整理されていれば、チェックはさほど煩雑ではないのでは、と思います。
世に出す以上これくらいのことをしてもバチは当たるまい、と思うのは俺の頭が固い故でしょうか。でも、法的リスクを最小限にするには、これくらいのことしてもいいのではないかなあと。


終わりに、この問題をどう考えるか
以上長々と書いてきましたが、まとめるとシンプルです。やっちゃいけないミスではあったが、これを理由にコンテンツ展開や製作現場に絶望し、製品への不満として石を投げる材料にするのは違和感が有る。問題は問題として適切に指摘をすればいい。
デジモン公式の今後に絶望するのではなく、製作に携わった人々の著作権法の意識、そして間違いをした際の対応をどうするか、注目するべきはそこなんです。
この記事が少しでも過度な批判へのブレーキになるよう祈っております。

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デジモンヘッドラインが更新停止されました。
先に投降した、クロンデジゾイドについての検証記事も、デジウェブに追加されたデジモンの把握に重宝しており、好きな言葉はアーカイブ、嫌いな言葉は404notfoundの俺としては、デジウェブの図鑑更新情報がアーカイブされていたことにありがたみを感じずにはいられません。
その意味で、更新が止まることは残念ではあるのですが、ツイッターの雰囲気やデジモンヘッドラインのコメント欄と、自分のテンションのあまりの乖離っぷりに面を食らったことの方が印象的でした。

乖離の理由を考えると、客観的に見るに、まず俺は、現行のものを追っているファンの方々からすれば、熱心なファンではないからでしょう。
tri.の劇場版は劇場に足を運んでみてはいますし、情報そのものは追っていますが、普段は言及も、感想もつぶやくこともありません。
事実、熱気を持って盛り上げていこう、みたいな気概はないので、熱意って意味ではないように思われると思います。
とは言うものの、別に熱が冷めて離れたとかそういうわけでもないんですよ、言い訳がましいですけど。
趣味の幅が近年(特に大学以降、読書やドキュメンタリー鑑賞や博物館めぐりとかを中心に)広がったため、コンテンツに注ぎ込むリソース、具体的にはお金と時間は明らかに減少しています。それは間違いない。
また、曲がりなりにも社会に出てしまっているので、学生の頃のような時間の使い方もできません。
月並みでつまらない言い方をすれば、まさにつまらない大人街道まっしぐらなわけですが、俺は俺で、無理ない範囲で好きなものを続けるってことで、ずっと自分にとって適切な距離を取っていると思えています。

デジモンに限らずのことですが、ゲームは強いストレスを感じたり虚無感を感じたらシャットアウトしますし、アニメや映画といった映像作品も、早く追わなきゃって意識よりも、後から気が向いた時に見ればいいって姿勢でいることが多いため、のんびりとマイペースに楽しませてもらっています。
元来からアンチミーハーみたいな根性をしている俺にとって、そもそも現行のものを追っかけることが美点には感じません。盛り上がっている様を見ると楽しそうですし、進められて面白そうだったらそれを契機に始めたりしてみますが、ファンだったらこうしなきゃ、みたいな義務感を背負うほど意識は張り詰めていません。

それに、クロスウォーズ終盤あたりから強烈に思うことが多くなっていったんですが、ファンの言動の数々は、あまりにも製作陣に期待を寄せすぎていたり、先行きを憂いていたりして、どうにもその空気がしっくりこないとは思っていたのです。一時期俺自身もそういうところあったと思いますが、疲れるわ。
俺がインターネットの世界に飛び込んだのは、そもそも論として、フロンティア終了後所謂「オワコン」扱いされていたデジモンというコンテンツを、終わったとか今やってるとか関係なく、面白いものは面白い、好きなものは好き、でいいじゃん、という、極めて時代の波から取り残される思考故、周りに語れる人間がいないことからネットの門戸をたたいた、そういう経緯だったんですよ。
だから、別にデジモンというコンテンツがまた活動を停止しようと、実際のところそれが大問題とも思わないんですよ。それでも好きな人は好きだろうし、懐古話になりがちだろうと話はできる。

趣味の幅が広がって初めて自信を持って言えるんですけど、別にコンテンツそのものの死って、デジモン位の知名度があればそんなこないと思うんですよ。というのも、俺にとってコンテンツ、いやこの場合は作品といった方がいいか、作品の死っていうのは、作品に言及する人間がただの一人もいなくなった世界のことを言うと思うんです。
俺はインターネットユーザーとして、インターネットにまつわる法律なんかを掘っている内に、いつの間にか著作権法の沼に足を踏み入れてしまっているんですが、その一環で青空文庫の存在を知りました。
ご存知の方には何をいまさらって感じでしょうが、青空文庫は著作権が切れた作品を公開している電子図書館です。作品どころか作品を書いた著者が死んでいるわけですから、相当昔の作品が並ぶわけですよ。
ですが、文豪と呼ばれた作家陣の作品をはじめとし、青空文庫では誰でもアクセスできる状況が続きます。
そんな青空文庫ですが、随分昔、公開作品の二次使用に使用料を発生させるか否かといった議論がなされまして、すったもんだあったのですが、その際に、法政大の白田先生が天に積む宝というコラムを書かれました。
このコラムを読んでから、作品が残るって何だろうってことを強く意識しました。
商業的作品としてのデジモンの死は、間違いなく公式がその活動を停止することでしょう。しかし、文化的な作品の死とは、その作品に触れる人間がいなくなること、語る人間がいなくなることだと思えるんです。

細田守監督は、今やジブリの時代の次を担う監督して認知されています。後世になっても、きっとアニメーション映画を語る際、細田監督は言及され続け、無印の劇場版二作は語られ続けることでしょう。
そして、それを契機に、デジモンというコンテンツの世界観の広さ、アニメやゲームや漫画といった作品のバリエーションの多さに興味を持つ人も出続けるでしょう。
その時、サブスクリプションサービスによって映像作品を追えたり、過去のゲームがバーチャルコンソールでプレイ可能だったり、マンガは電子書籍サイトやマンガ図書館Zで読むことが可能だったら、どんなに素敵なことでしょうか。
それらに触れた人の中で、新しい論考や時代背景や表現方法の研究を始めてくれたらまた面白い。
そういう楽しみ方だってあるんですよ。先週友達と飲んだ時も、太宰治の小説について偉く盛り上がったものですよ。

で、そういう考え方であるため、デジモンの商業的生命線、と言うものに俺はファンとして関心が薄いのです。
故に、現行のものを全部網羅しなきゃ、盛り上げなきゃ、みたいな話にそこまでピンとこず、自分が楽しく付き合っていき、先々まで語られるようなコンテンツであって欲しい、という風に考えているんですよ。

昔はデジモン広報委員会って活動していた俺がこういうのもなんですけれど、少なくとも、あまりにも辛いとか苦しいとか思いながら、熱心なファンををやるのを是とは今は思えません。無理ない範囲で楽しく付き合うのが、少なくとも自分の性にはあっている。切にそう思います。

もし、愛情や熱を注ぐことに疲れた方は、自分が楽しめる範囲ってどこまでか、ちょっと距離を置いて考えてみてもいいと思います。かえってその方が、俺がそうやってデジモンに限らずジョジョもキン肉マンもあしたのジョーも未だ好きなように、長続きするんじゃないかなと思います。

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