「三億円事件の真犯人」(勝どき書房)

府中三億円事件は、2019年12月10日で、事件から51年となります。

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       ●写真は、1968年12月10日の「三億円事件」を報じる新聞記事の一部。 

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号外      2018年09月08日 (10月10日一部訂正)
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     ◆三億円事件から50年
     真犯人は埼玉にいた
      疑われている少年Sは無実です◆

世にも奇妙きてれつな三億円事件は、謎のまま半世紀となるのでしょうか。1968年(昭和43年)12月10日に府中市で、白バイ警官に変装した男が、東芝府中工場従業員4200人分のボーナス、三億円を運んでいる現金輸送車を強奪しました。ことしの12月には、犯人が不明のぬまま、発生から50年となります。

週刊誌記者の上月(こうづき)町子さんが、その謎に挑戦、ついに真犯人を突き止めました。真犯人は埼玉にいたのです。町子さんは、「狭山事件の真犯人」に登場して、事件の真相をみごとに推理しました。彼女が、次に挑戦した事件が三億円なのです。

彼女が、三億円事件について調べた結果、真犯人は埼玉に住んでいると分かったのです。ある日、東武東上線、池袋駅から準急電車に乗って、約30分、ある小さな駅に下りました。駅から歩いて2.5キロ、たどりついた家のインターホンを押したのです。「はい、どちらさま?」老人の声が聞こえました。彼こそ、問題の男です。

さて、事前に電話で連絡してありましたので、町子さんが名乗ると、老人はすぐに居間に通してくれました。老人は「上月さん、週刊誌の記者をしているそうですね。それで、三億円事件について、わしの話を聞きたいそうだが、なぜ、わしが事件について詳しく知っていると分かったのだね」と質問してきたのです。

町子さんは、この家にたどりつくまでの経過を話しました。それを黙って聴いていた老人は、「そこまで知っているなら、何もかも話そう」といって、三億円事件について、話し始めたのです。

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●写真は捜査本部が全国に配布したポスター

詳しくは、勝どき書房の「三億円事件の真犯人」(殿岡駿星著)を読んでいただきたいと思いますが、謎が多くて、事件の真相が分からない。日の本犯罪史上、空前絶後の難事件を、老人は丁寧に説明してくれたのです。

当時の3億円といえば、現在の貨幣価値にして40億円とも50億円ともいわれています。わたしが覚えているのは、1人暮らしのワンルームの家賃が6000円ぐらいでした。鰻丼が250円で食べられたし、ラーメンが50円、味噌ラーメンが80円でした。ガソリンが1リッター25円、ハイオクだと35円です。信じられないでしょう。

現金で3億円といえば、その利息だけで一生楽に暮らせるといわれていました。定期預金の利息も10年預けておけば1.5倍になったほどです。今はほとんど利息がないといっていいほどですね。それほどの大事件が、7年後の1975年(昭和50年)12月10日に時効となってしまったのです。

その後、ついに犯人がだれだか分からないままとなっています。時効までの7年間、警察が怪しいとみた容疑者は12万人といわれています。オートバイを乗り回していたり、学生運動をしていたり、暴走族のメンバーだったり、急に金遣いが荒くなったという噂があったりした、男たちが次々府中署に呼ばれて取り調べを受けました。

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●写真は府中刑務所脇に放置された犯人が乗ってきたニセ白バイ

怪しいとなるとまず、アリバイを調べます。犯行のあった12月10日になにをしていたか。アリバイが証明されれば釈放です。もし、曖昧な供述をして、アリバイがはっきりしない場合は、家宅捜索し、周囲の友人らを徹底的に捜査します。本当に事件に関係があれば、取り逃がすようなヘマはしません。ですから、12万人の中に犯人はいなかったのです。

一方、上月町子さんの捜査は、事件を心理的に分析するプロファイリングです。残されたデータを一つひとつ解析し、すべてのデータが説明できる推理で真犯人を割り出したのです。そして、ついに、東武東上線池袋から30分の駅にたどり着いたわけです。

そもそも、町子さんが三億円事件を調べようとした動機は、自殺した少年Sが疑われたためでした。少年Sは立川の暴走族のリーダーで、オートバイを乗り回し、窃盗の容疑で逮捕された経緯がありました。父親は警視庁の幹部警官です。事件直後に府中署の刑事たちの間で「犯人は少年Sだ」という声が出ていました。

ただ、警官の息子なので簡単に取り調べはできません。そこで、父親に「あす、府中署に任意で呼んで取り調べさせてほしい」と頼んだのです。ところが、翌朝、自宅に刑事が訪ねて行くと、少年は青酸カリを飲んで自殺していました。「犯人でないのに自殺するのはおかしい」というジャーナリストがいます。また、父親か母親に殺されたと推理する人もいます。しかし、警察に疑われたというだけで、自分の息子を殺すでしょうか。

刑事たちは「これで、事件は迷宮入りだ」といって、すっかりやる気をなくしてしまいました。それから、7年後に時効となると、日の本一といわれる、偉大なる探偵小説作家松本清張さんが、週刊誌に「少年Sが怪しい」という内容の記事を書いたのです。この影響は大きかったです。

昨年(2017)9月7日に、BSスカパーに出演したわたしは、三億円事件について推理しました。この番組に出たのは、ほかに2人、ベテランのジャーナリストでした。2人は、そろって少年Sを犯人、まかは共犯と推理したのです。清張さんが間違えるはずはない、と思い込んでもしかたありません。
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●写真は殿岡駿星著「三億円事件の真犯人」のカバー写真。

しかし、わたしは、事件直後から取材してきて、犯人は暴走族の少年なんかにできるような単純なものではない、と確信しました。少年Sが自殺したからといって、具体的な証拠がない以上は犯人とはいえない。真犯人は別にいる、と主張したのです。

わたしの推理の内容は、「三億円事件の真犯人」で上月町子さんが推理したものと、ほぼ同じです。詳しくは読んでいただければと思います。

上月町子さんが三億円事件の真犯人であると突き止めた男は70歳を過ぎていました。事件から40年も過ぎていたからです。それから10年ですから、すでに80歳を過ぎています。男は「事件発生から、これまで、自分の家まで来てくれた刑事や探偵はいなかった。まさか、この世にそれほど探偵眼のある人物がいるとは思わなかった」、といいました。そして、町子さんになにもかも話してくれたのです。

ことし、2018年12月10日は、ちょうど事件から50年目となります。この事件を、謎のままにしておいていいのでしょうか。未解決のままでいい、と思う人もいるでしょう。しかし、あれだけの現金を必要とした事件の裏には、なにか恐ろしい秘密が隠されていると想像できませんか。

おそらく、町子さんが解明した事件の真相を知ったら、50年前とはいえ、その恐ろしさにとても耐えられないという人もいると思います。この事件は、一滴の血も流さず、わずか3分間で現金輸送車を奪った、英雄的な犯人ではなかったのです。

さて、「三億円事件の真犯人」は、本屋さんに注文していただければ購入できます。ただ、1、2週間ぐらいかかるでしょう。もし、急いで読みたい場合は、勝どき書房で直売します。郵便振替で送金、申し込んでいただければ、直送します。送料込みで1800円です。
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