「三億円事件の真犯人」(勝どき書房)

府中三億円事件は、2019年12月10日で、事件から51年となります。

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  ●写真は「劇団若獅子」錦秋公演「沓掛時次郎」のチラシ
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 「勝どき書房・夢道サロン」 ◇2016/11/05
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❤二度と人殺しはしないと誓った
 沓掛時次郎が喧嘩で刀を持った時❤

2016/11/04、日本橋の三越劇場で新国劇のリアリズムを受け継ぐ「劇団若獅子」の錦秋公演「沓掛時次郎」を妻浩佳と一緒に観劇しました。「沓掛時次郎」は長谷川伸原作の股旅物の中では、最も感動的な作品といわれています。主演笠原章、演出は澤田正二郎・田中林輔による、今年度芸術祭参加公演です。

あらすじは、9月25日号のブログで紹介しましたので、ここではさわりだけにします。渡世の義理で、六ッ田の三蔵を殺してしまい、その妻おきぬと息子太郎吉の暮らしを助けることになった時次郎は、二度と人殺しはしない、やくざの道と縁を切ると誓ったのです。

しばらくは、おきぬの三味線と時次郎の追分節で門付けを生業としていたのですが、おきぬが身重のため、門付けができなくなります。そこで、安宿の亭主から「やくざの喧嘩があるので助っ人にならないか。1両の日当が出る」といわれ、お産が間近に迫っているおきぬのために、喧嘩の助っ人になります。

その間におきぬは難産のために赤子と一緒に死んでしまいます。時次郎は残された太郎吉と生まれ故郷の沓掛で百姓になる決心をして旅立ったのです。ところが、追いかけてきたやくざ2人が斬りかかってきました。時次郎は、やくざから刀を奪って2人を斬り殺そうとするのですが、幼い太郎吉が時次郎の右足にしがみついて「おじちゃん、切らないで」止めるのです。

時次郎は刀を捨てます。ところが、相手のやくざも抵抗しない時次郎に対して斬りかからず、その場を立ち去ります。新国劇の創始者澤田正二郎は「月形半平太」「国定忠治」などの剣劇、殺陣の魅力を売り物にして爆発的な人気を得ました。歌舞伎に見られない、ホンモノの立ち合いです。お客さんは「これが本当の剣劇だ」と感動しました。
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    ●写真は沓掛時次郎を演じる「劇団若獅子」代表の笠原章
しかし、この「沓掛時次郎」を見て、刀を捨てる、切らない主人公こそが澤田正二郎が一番訴えたかった、新国劇の真髄ではないかと思いました。初演は昭和3年12月です。この年は中国で日本軍の策略による張作霖爆殺事件が起きています。3年後の満州事変につながる事件です。日本の若い青年たちが次々と大陸へ送られて行きます。このような状況の中で、「人殺しをしない決心」をする主人公を劇にする勇気はみごとでした。

また、おきぬは夫を殺した時次郎と一緒に旅をしているうちに、太郎吉がなついていることもあって、惹かれていきます。時次郎もおきぬの三味線に合わせて、追分節を歌いながら、いつか夫婦になりたい、と思うようになります。しかし、最後まで2人はそれをこころの裡に秘めたままなです。

歌舞伎に多い、不義密通、心中ものとは違って、2人は精神的な愛を律儀に貫くのです。澤田正二郎の新国劇は、まさにここに真骨頂があると思いました。36歳の若さで亡くなってしまった澤田正二郎、長生きしたら、いったいどんな芝居を見せてくれたのでしょうか。「殿岡くん、君の小説、こんばんは、毛利小平太です。−霊談忠臣蔵−、面白いね。芝居にしたいけどどうだろう」なんていってくれたでしょうか。それはないですね。(笑)

◎ 簡単なようで難しい、みんなが人を殺さないと誓えば戦争はなくなるのに(駿星)
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