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『甲斐の藤切りについて』五社権現(右左口村七覚)
甲斐国志 巻の六十二 神社部第八 八代郡中郡筋 一部加筆
円楽寺御朱印山内ニ在り(方弐拾町)一村ノ土神トス、熊野・白山・金峯・伊豆・箱根五社ヲ配相ス、勧請ノ初詳ナラス、正殿(梁間弐間桁間六間桧皮葺)拝殿(梁間四間桁間八間茅葺)東面ナリ是ヲ「上ノ宮」卜云下ノ宮ヲ「王子権現」卜称ス、北方山足ニ在リ、相拒ルコト壱町余所相三神(神号不詳)
正殿(梁間九尺桁間三間)
拝殿(梁間三間桁間五間)
亦東面ナリ毎歳四月十五日五社権現下ノ宮マテ神行アリ、本山山伏先達松雲院(府中和田平町ニ住ス)
其他本山、当山ノ山伏数十人役行者富士山ニ初入ノ式上京事ヲ為ス、祠官幣吊ヲ執リテ別当円楽寺卜同シク供奉シ、下山シテ神輿ヲ仮屋ニ安置シ、祝詞ヲ宣へ神楽ヲ奏ス、
真木切(藤切)
又真木切ト云事アリ(藤切卜モ云)
長弐丈八尺ノ柱ニ柴ヲ著ルコト二十八ケ所結フニ藤蔓ヲ以ス、廿八宿ニ表スト云、十三日ノ夜下宮ノ庭前ニ建置ク
神楽関リテ後ニ当山山伏ノ先達一人百足丸ト云長刀ヲ帯シ、真木ノ頂上ニ攣登テ護摩ヲ焼キ、刀ヲ抜キテ第一ノ藤ヲ切ル(真木切ノ山伏ハ十七日前ヨリ心経寺不動藤ニテ潔斉ス)土人是ヲ七覚御幸卜称ス、
古諺ニ
七覚御幸ハ十五日平(ヒラ)メ団子ハ喰ホウダイ
ト云(農人ハ季春ヨリシテ漸ク食ニ匱(ヒ)シ、此頃ニ至レハ己ニ麦モ熟スル故ニ喜ヒテ斯ク云フナリ「ホウダイ」ハ随意ノ方言ナリ)祠官相川日向修験松雲院御朱印地ノ内各々五石配当ス。
参考 柏尾山大善寺の藤切り祭
庭上に二丈許の柱を建て藤蔓を縄とし、これに纏い修験者一人が柱上に攣ぢて修法し、終り剣を以って其縄を両断となし、地に墜すを、香火群集の人噪(さわぎ)立ちて左右に之を引き勝負を争うことを旧式とす(或は勝負に因りて年内吉凶を占うとも云う)この「柏尾藤切」と謂う覚山の祭祀にも此式あり、彼所にては真截(しんきり)と唱う。
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2016年11月22日
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柏尾山大善寺の歴史『裏見寒話』による
○薬師如来 柏尾村 御朱印寺領多し
別當 眞言宗 柏尾山大善寺
一部加筆
仁王門に下馬札あり、本堂は善美厳重なり、毎年四月十四日祭礼、護摩を修し、「だき切り」(惰鬼切と云う意味か)と云、一丈余の柱を建、横手に材木を結び、山伏是に登りて火を打、香を焚き、錫杖を振て念咒(ネンジュ)祈祷をす、彼横手に藤の輪の掛あるを、刀を放て落す、是を「シキ切」と云。
七覚山
翌十五日は七覚山に此祭あり、此祭に麻上下を着し、鎗を持たせたる士参詣する、村里の者御代参と称して参詣の人を彿う、彼の士も揚々として寺中を過ぐ。
予、之を里人に訪うに、東郡桜井村に、小倉何某と云える浪士なり、田地多く貯え、長屋門関書院富饒に見える由、由緒有り今日ここに出られると答える、その後同勤の楼井信厚(号市右衛門晶)の話を聞くに、小倉は江府(江戸)三枝家より十人扶持を送られる、但しこれは三枝家の代参として、横根の観音へ月参の代参、また相尾の祭にも代参として出るに就て、扶持米を得て士に列す、
武田信虎と三枝氏
抑その謂れを尋ねれば、武田信虎がひととせ柏尾の奥山に遊猟せられしに、古松の枝上にて頻(シキ)りに小児の泣声開えければ、人を登せて是を見るに、彼松の枝の三ツに分れたる真中に、當歳の小児挟り居れり、信虎怪しみ養育するに、成長に随い聴明世に勝り剛強また雙(ソウ)なく、寔(マコト)に智勇兼備無比の人傑たるを以て寵賞他に異り、先祖の知れさるか故に、三葢松(さんかいまつ)を紋とし、三の枝を取て三枝を姓氏とす、此由緒に依って、今以て月々代参を彼小倉に勤めしむ、横根は守本尊也と、斯の稀有の故実に依って、柏尾にての賞翫(しょうがん)夥(おびただ)しとぞ、(小倉は信厚より姓を譲りて桜井と名乗らしめる、その先桜井、勢州(伊勢)の臣として忠良跨股たる故にや、今は桜井縫殿右衛門と号す、
守国将軍・三枝氏
昔より云伝わるに、大古守国将軍と云人あり、何れの国にか夷起りけるに、勅して八幡の神託を聞かしむるに、丹波の国篠山の大けん寺の川に柳瀬あり、址を以て討しむへしとなり、果たして山の中松の三枝なる處に童子あり、これを守国将軍として討しむとなり、その子とも三枝氏なり、其後武州石原に移りて別れたる子孫を石原氏とする、其後甲州野呂村に住居せり、彼山に毎夜々々光物飛来ると云う、役人行って見れば石原に残せし守本尊欒師なりき、守国が袖に飛入りけると也、(按ずるに、これは守国に非ず、守国の子孫なる哉)直ちに柏の葉をもってその所に置き、寺を建て柏尾山と名付たりと云、故に野呂村辻にて生れし子孫皆辻氏という、依りて三枝、辻、石原の三氏は同姓なりと云う、按ずるに、この書の説甚だ不審なり、先の守国将軍覚束なし、大けん寺もその字なし、何れの国に夷起已前にもあらば、この類の先祖もあらんか。
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