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英会話学校最大手「NOVA」(大阪市)が会社更生法の適用を申請してから1週間が過ぎた。経営再建への見通しが立たないなか、30万人余りの受講生は不安な日々を過ごしている。海外取材で困らぬようにと、1年半前からレッスンを受けていた記者もその一人。通っていた教室は閉鎖され、計73万円の受講料ローンの半分とテレビ電話機器が残った。泣き寝入りしないために受講生は今、何をすればいいのだろう。(大衡那美)
≪連絡取れず≫
NOVA破綻(はたん)のニュースを聞いた10月26日、通っていた江坂校(大阪府吹田市)に問い合わせようと電話をかけたが、つながらなかった。テレビ電話レッスン「お茶の間留学」の予約画面にも接続してみたが、会社更生法の適用を申請した経緯を説明する画面が映し出されるだけだった。
2日後の28日、江坂校からはがきが届いた。「10月31日をもって営業を終了することとなりました。他のスクールでご継続ください」。消印は会社更生法申請前日の25日。末文はこう締めくくられていた。「引き続きNOVAをご愛顧くださいますようお願い申し上げます」
保全管理人の指示で現在、NOVAの全教室の運営は一時停止している。
≪巧みな勧誘≫
入会したのは昨年6月。海外取材でも困らないようにと思い、江坂校で説明を受けたのがきっかけだった。「忙しい仕事なら、教室に通うだけでなく、『お茶の間留学』が有効。いつでも好きなときにレッスンを受けられる」と、テレビ電話機器の購入を強く勧められた。「機械が苦手だから」と断ったが、「ケーブルを差し込むだけ」と説得され購入を決めた。
しかし、実際には、機器の接続も複雑で業者を呼んだほど。さらに「すぐに上達して必要になるから」と、教科書は3種類買うように指示された。いざ始めてみると、教室も『留学』もレッスンの予約はなかなか取れなかった。
≪ローン残った≫
かかった費用は、受講料やテキスト、テレビ電話機器などをあわせて約60万円。高額だったため、NOVAグループの信販会社とクレジット契約を結び、月1万3500円、ボーナス月3万円増の分割払いにした。支払期間は3年。手数料を加えた総支払額は73万円に上る。すでに支払った授業料は、返済の優先順位からみても戻ってくる見込みは低いという。では、まだ36万円残っているローンの返済はどうなるのだろう。
クレジット契約を結んだNOVAグループの信販会社「パシフィックリース」に電話すると、「NOVAの再開まで引き落としを停止しています」という音声メッセージが流れるのみだった。
≪放置しないで≫
受講生が30万人に上ることから、経済産業省は各信販会社にローン引き落としを停止するよう通達を出している。しかし、「引き落としが停止しているからといって、放置してはいけない」と警告するのは、消費者問題に詳しい大阪弁護士会の木村達也弁護士。「受講料支払いの債務がなくなったわけではない。今後、NOVAの受け皿会社が見つかり、教室が再開すれば、自動的にローンの引き落としが再開する可能性がある」と話す。
受け皿会社が決まるまで推移を見守るしかなさそうだが、解約しローンの支払いをやめるにはどうすればいいのか。
木村弁護士は「新会社や信販会社に解約の意思をはっきり伝えれば、ローンを支払い続ける必要はない。連絡がつかなければ内容証明郵便を送る手もある。NOVAが従来のサービスを提供できなくなった以上、信販会社にも連帯責任がある。解約すれば、残りの支払いをする必要はない」と述べる。
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