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下馬評が最も高かった駒大の優勝で幕を閉じた第84回箱根駅伝。名門・早大が12年ぶりに往路優勝を果たすなど、明るいニュースの裏ではV2を目指した順大が5区で、名門復活を狙った大東大が9区で、さらに優勝候補に挙がっていた東海大まで10区で途中棄権と、史上初の3校がゴールできない波乱の大会でもあった。今大会はどんな大会だったのか。関東学生陸上競技連盟(学連)の青葉昌幸会長に大会総括とともに、途中棄権の原因を分析してもらった。
給水方法の改善が今後の課題
第84回大会は大きな課題ができた大会でした。テレビを通して見る限り、3人の棄権者以外にも肉体的苦痛で失速した選手がたくさん出ていました。各大学は、今回のミスを学習し、それを次大会に生かしてほしいですね。ただ、私も2日間、会長車で実際にコースを回りましたが、気候は暖かく、脱水症状が起こりやすい条件がそろっていたと思います。
各大学の実力が拮抗(きっこう)して、選手へのプレッシャーは計り知れません。その上、気温が高かった。陸上界では一般的に競技前に水を飲むと腹痛を起こすという習慣があります。選手はレース1時間前になるとウォーミングアップを始めますが、そこで体熱を奪われる上、冷静さを失ってオーバーペースで入る選手が多いので、脱水症状になりやすいのです。ぜひ、状況次第では試合前に水分を取ってほしかったです。
大会1日目(1月2日)往路のレース終了後、順大・小野裕幸(3年)のアクシデントもあり、監督会議で復路のレースでは給水ルールを少し変更しました。ルール上認められている15キロ地点で1回の給水に加え、運営管理車(監督)の判断で選手の体調次第でルール地点以外の給水を1度だけ許可しました。選手の安全が一番ですから、今後の給水方法はドクターを交えて改善策を話し合うつもりです。
棄権は鬼になりきれなかった監督の責任?
順大、大東大、東海大が突発的なアクシデントに見舞われたと思われがちですが、私のところに寄せられた情報ですと、各選手からシグナルが出ていたようです。順大・小野については、監督が心配しながら登録した状況でした。大東大・住田直紀(3年)はそもそも体調不良だったようで、脱水症状になる以前の問題です。蒲田の踏切で線路の溝に足を取られてけがをした東海大・荒川丈弘(4年)は、直前の練習でシューズが合わず、生爪に痛みがあったと聞いています。きっと着地のコントロールがうまくできなくなっていたのでしょう。このようにそれぞれ、棄権の引き金になる要因はあったのです。
3校の棄権は監督の責任が大きいと思います。選手起用で鬼になりきれなかったのでしょう。目をつぶって選手を送り出すとやはり何か起こります。その選手を使って優勝するという“夢”の部分はあると思いますが、いい意味で監督は“鬼”の部分も持たないとチームが大手町にゴールすることさえできない状況になるのです。
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