(二)韓国の発掘古船
韓国での水浸木材遺物の保存は、1976年から始まった新安海底の発掘より開始されました。
特に1981年、新安船が発掘され始めてから「文化財として水浸古木材の保存処理」と言う新たな分野が開拓される重要なきっかけと成りました。
以後1984年に莞島船(かんとうせん)、1992年に珍島の丸木船、1995年木浦の達里島船、1996年務安のドリ浦海底遺物などの発見がされました。2004年4月には羅州栄山江の河床でも高麗時代(10〜14世紀)の物と推定される大型木船片などが発見されたり、2004年
5月には、郡山近海に位置した十二東波島の海底で高麗時代の古船舶が発掘されました。
(三)韓国の古船舶材の材質と保存
新安船の沈没船全体は720余部材(約45㎥)にも成り、1981年から保存処理を始め、1999年保存処理を終えて、2004年に船体の再組立・復元を完了しました。
新安船材の保存処理には、水溶性の合成樹脂である、ポリエチレングリコール(PEG)を使用して居ます。
韓国の主要古船舶材の材質と保存方法
年 度 発 掘 地 域 遺 物 名 主 要 樹 種 保 存 処 理
1975 慶州・雁鴨池 雁鴨池船 アカマツ PEG含浸法
1981 新安の近海 新安船 クロマツ・広葉杉 〃
1984 莞島の近海 莞島船 アカマツ・カヤ・クヌギ 〃
1992 珍島 珍島・丸木船 楠木・クロマツ 〃
1995 木浦・達里島 達里島船 アカマツ・クヌギ 〃
2004 栄山江 羅州船 表面復元
2004 郡山・十二東波島 郡山船 アカマツ 保存処理前
遭難船の保存状況を写真で見てください。
参考資料
1975年から84年に掛けて、深さ22mの海底から引き揚げられています。
長さ34mで幅が11mある、約200トンの貨物船です。
1323年に慶元(寧波)を出港して、博多へ向かっていました。京都の東福寺が荷主に加わっていました。
船材は中国南部に自生する馬尾松が用いられています。
積荷は花瓶や壷、皿などの青磁が984点、白磁が4926点、その他陶磁器が2500点です。
その頃日本で通用していた、おびただしい量の中国銭が有りました。800万枚で重さ28トンです。
他には胡椒などの香辛料、ガラス製品や硯も在りました。
残存木材を使用して復元して居ます。木片は700個で、小さな物を含めると1000点以上に成りました。
現在はポールで仮止めして居ますが、元の船の形を調査して居ます。
現状に近い形で復元されて居ます。保存処理には22年かかりました。又復元作業は6年を要しています。現在は復元展示がされて居ます。
現状は40%しか残されていませんが、40トンの重さが在ります。
同じ時代の中国では、この船の2倍、体積では4倍の大きな物が在りました。
澤田先生が話された、ポリエチレングリコールを使用しています。
最終的には復元が完成した状態ですが、ポリエチレングリコールを乾燥するためには、時間が掛かると考えて居ます。
発掘された遺物は、埋蔵状態と比べて、急激に環境の変化に晒されているので、現場での応急的な保存作業が求められています。
|