一般社団法人雇用能力開発機構

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第四章 カウンセラーの人間性
 
.自己一致と純粋性
 
<自己一致><純粋性>とは、ともにカウンセリングの創始者であるロジャースの用語です。
自己一致と純粋性は、同義語として使われることが多いのですが、自己一致は内面での精神的な調和を主に意味し、純粋性は対人関係における自己意識と行動とが一致している状態を指します。
 
そこで、自己一致しているカウンセラーでは、<今ここ>で経験している内面の意識、身体感覚(感情・思考・行動)が否定されたり、誇張されたりすることなしに、正確に理解されて表現されています。
そして、その一致性がクライエントに対する行動にも純粋に現れています。
 
このカウンセラーとクライエントの関係を、もう少し具体的にすると下記のように分析できます。―ジェンドリン:1966
 
    何も間に挟まない関係、つまりカウンセラーは、自分の気になることを脇に置く。
    二人の関係の中に人間がいる。クライエントを賢いとか愚かとか評価しないで、人としての存在を大切にする。
    奥深くに流れる連続性がある。つまり、奥深くに潜んでいる自己を、時間をかけてゆっくりと探す。
    安心できる関係。その場にいるその人の安全性を優先する。
    別個の人間。触れ合うと一体化して溶け合う関係でなくて、それぞれの別の人格を持つ個人との関係を作る。
 
カウンセラーはクライエントと別の人格である、ということを忘れないのです。
しかし、カウンセラーとクライエントとの間には、意識・無意識にかかわらず、何かが挟まっている感覚がないというのです。
安全で保護された空間が存在し、カウンセリングのその場に、どっしりと重心を感じながら存在する関係を感じられることが、自己一致の目安となるのです。
 
自分の重心を感じるために、カウンセリング中に両足をきちんと床に着けて、脚がその重みの感覚を感じることを時々実行してみてください。
これをグランディングといいます。
あまりにも、気が動転していると、自分の体重が感じられません。
 
 
次回は
.自己一致と純粋性 ⅱ
 
※※※ 御断りとお願い。この「書庫」 は次回以降、下記のブログに移行しますので宜しくお願いします❢
 
 
 
※※※
 この「書庫」は下記のURLに移行しましたので引き続きご活用いただければ幸いです。
 
 
 
 
 
失敗が人を本気にさせる
 
NHK総合TVに『プロフェッショナル 仕事の流儀』という番組がありました(復活したのですかね…)。
プロと言われる人たちの仕事ぶりを紹介する番組ですが、プロと言われる人たちは過去に必ずといっていいほど大きな失敗をしています。
そして、その失敗から大切なものを見つけたり、その失敗が人生の大きな転換になっています。
 
人間は追い込まれた時に初めて本気になるのだと思います。
人間が本気になれば出るエネルギーのレベルが違います。
本気になっている人は、後姿を見ただけでわかるものです。
 
 
 
 
 
 
人間はそう簡単には本気になれません。
失敗して、追い込まれて、本気になれることはとても大切なことです。
人間は本気にならなければ本当に価値あることはできないのではないかと思います。
 
私は現在、キャリア・カウンセラー(コンサルタント)、研修講師及び人材企画のプロデュースを主にやっていますが、どの仕事も比較的順調にいっており、その意味でも遣り甲斐のある人生を送っています。
いま調子よくいっていることの「種」はすべて、この分野(人材ビジネスに入った頃の数々の失敗体験にあるような気がします。
 
それぞれの職域におけるコンテンツもすべてその当時、追い込まれて四苦八苦していた時代に生まれたといっても過言ではないでしょう。
 
成功の種はいつも追い込まれて苦しんでいる時期に生まれるものです。
それは私の例だけではなく、成功しているほとんどの人にいえるでしょう。
これが皆さんに失敗することを勧める理由のひとつです。
 
 
次回は
「挑戦し続ける」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
第4章 カウンセラーの人間性
 
1.自己理解 ⅲ
 
LESSON4-
 
Episode12に共通する現象は何かを考えてください。
 
解 説
 
これら2つのエピソードは、いわゆる<逆転移>の現象です。
逆転移とは、カウンセラーの内的世界を、クライエントに投影してしまうことを指します。
多くは自覚することなしに、無意識に発生する現象です。
カウンセラーは、本来の客観的な態度を失い、不合理な感情に影響されて、クライエントの問題をまるで自分の問題のように感じてしまい、性急に、無理に解決しようとしたり、あるいは極端に無力に感じたりします。
 
従って、カウンセリング場面では、クライエントの気持ちや考えに焦点があるというよりは、カウンセラー自身の気持ちの動きに焦点が移ります。
このように不合理な感情が、カウンセラーの認知を歪曲させ、行動にも影響を与えます。
 
カウンセラーは、経験の深いカウンセラーからスーパービジョンを受けて、自己と対峙し、自己を知る努力を普段から続ける必要があります。
 
LESSON-
 
次の設問に答えてください。
 
    あなたの家族の人間関係は、どのような影響を与えていますか。
    あなたは、過去に何か未解決の問題を抱えていますか。
    あなたは、どのような劣等感を持っていますか。
    あなたの長所・短所は何でしょう。
    あなたの得意・不得意なことは何でしょう。
    あなたは、どのようなことに感情的な反発をしますか、あるいは極端に冷淡になりますか。
 
解 説
 
自分の生まれた家族での人間関係、つまり原家族が与える影響を知る必要があります。
父母や兄弟との関係はどうであったか。
自分の家族と拡大家族との関係や、学校での人間関係や職場での人間関係の特色とどうであったか。
 
過去の未解決問題が、カウンセリングに影響を与えることがあります。
過去の大きな失敗や成功体験などから、人の評価や承認をどの程度求めるのか。
どのくらい失敗を恐れるのか。
あるいは、成功を望み、完全であることを望むのか。
あるいは、現実的か理想的か。
 
自分の傾向を知ることによって、それらの「しばり」から開放されて、より自由に感じ、考え、行動できるようになります。
 
 
次回は
.自己一致と純粋性
 
 
 
 
 
 
 
 
 
第4章 カウンセラーの人間性
 
1.自己理解 ⅱ
 
この3つの分野の関係を次のエピソードで考えてみましょう。
 
Episode 1 カウンセラー自身が抱える未解決の問題による影響
 
カウンセラーのAさんは、最近、夫婦関係で中年の危機を経験しています。
結婚して20年になりますが、夫との関係は破綻寸前です。
原因は夫の家族との関係です。
夫の両親との関係が悪いことです。
最近は夫の言動にも嫌悪を感じ始めました。
 
Aさんは、今まで、カップルや夫婦関係の相談に対しては、冷静に判断できたのですが、自分の夫との関係が悪くなり始めてから、クライエントの夫婦関係の相談を聞くと、冷静ではいられません。
特に、夫からひどい仕打ちをされた妻がクライエントの場合、その夫は、自分の夫とはまったく違う人格と頭では分かっているのですが、強い怒りの感情を感じるようになりました。
 
Episode 2 自己の弱点による影響
 
カウンセラーのBさんは、適切に自己主張することが苦手です。
父親は権威主義な人で、Bさんの気持ちを無視して、一方的に意思を押し付けました。
大人になってから、父は営業を薦めましたが、父親に対する反抗心もあり、それを押し切り人間関係を扱う職業を選びました。
それ以来、父親とBさんの関係は冷え切ってしまいました。
Bさんは、何とかして父親との関係を修復したいと望んでいます。
 
カウンセラーBさんのクライエントは、中学2年生のC君です。
C君は、典型的な燃え尽きタイプの不登校生でした。
父親や教師から叱られるのを極度に恐れ、睡眠時間を割いてでも期限までに宿題をしました。
ところが、風邪を拗(こじ)らせてしまい、学校を1週間も休んでしまいました。
それを機会に不登校になってしまったのでした。
 
カウンセラーのBさんは、C君のことがとても他人事のように思えません。
いけないと分かっていても、C君の親を責めてしまうのです。
 
 
次回は
1.自己理解 ⅲ
 
 
 
 
 
 
 
 
第4章 カウンセラーの人間性 
 
カウンセリングの学習は、技術面の練習だけではありません。
技術の熟達と同様に、カウンセラーの人間性を高めることが望まれます。
カウンセラーの人間性は、カウンセラーとクライエントとの人間関係として現れます。
 
1.自己理解
 
カウンセラーの自己知識、つまり自分のことをどのくらい知っているかは、カウンセリング効果に大きな影響を与えます。
カウンセリング中にカウンセラーもクライエントともに、まるで熱せられた椅子(ホットシート)の上に座っているかのような居心地の悪さを体験し、様々な感情や考えが浮かび、それは何だろうかと自問することがあります。
 
自問には次のようなことがあります。
 
  私は、どうしてこのように感じるのだろうか(情動分野)
 
私は、どうしてこのように考えるのだろうか(認知分野)
 
   私は、どうしてこのように行動するのだろうか(行動分野)
 
カウンセラーは、3つの分野、つまり情動、認知、行動において自己を知る努力をする必要があります。
 
この3つの分野はお互いに深く関係しています。 
                           
        認 知      情 動        行 動
 
詳しくは次回に。 
             
 
次回は
   1.自己理解 ⅱ
 
 
 

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