構造色事始

美しい構造色をお見せします

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カエルの仲間はいろいろな色をしています。

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ニホンアマガエル

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シュレーゲルアオガエル

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モリアオガエル

緑色のカエルがいると思えば、

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ニホンアカガエル

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カジカガエル

茶色のカエルもいたり、

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トノサマガエル

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ダルマガエル

ぶちのカエルもいます。

カエルは環境によっても体色が変化し、ニホンアマガエルでは黄緑色から青緑色、濃緑色、黒、灰色、オリーブ色など背景や環境によってさまざまに色が変化します。この色も構造色が関係しているのでしょうか。

カエルの体色は、皮膚にある色素胞と呼ばれる細胞によって作られていることはもう100年も昔から分かっていました。電子顕微鏡が普及し始めた1960年代から、その構造や働きを調べようとする研究が急速に進みました。その結果、体色変化には下の図に示すような3種類の色素胞が関係していることが分かったのです。

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表皮細胞の下には、黄色素胞、虹色素胞、黒色素胞という3種類の色素胞があって、この3つの細胞の働きによって色が決められます。黄色素胞はフィルターの役目をして、いろいろな色のうち、青や紫色を吸収する代わりに、緑、黄、赤の光を通します。虹色素胞は青から緑色の光を反射しますが、黄や赤の光は通します。黒色素胞はすべての光を吸収します。なお、図の各細胞の中の黒い点は核を表しています。

太陽の光がカエルの皮膚に当たると、黄色素胞では紫と青が吸収され、緑、黄、赤が透過します。虹色素胞では透過した光のうち緑だけが反射され、残りの黄と赤は透過し、これらは、結局、黒色素胞で吸収されることになります。これが、カエルが緑に見える仕組みになっています。構造色はどこに働いているかというと、緑と青を反射する虹色素胞の色が構造色になるのです。つまり、カエルの色は構造色と黄・黒の色素をうまく組み合わせてできていることになります。詳しくは解説をご覧ください。

【解説】
いろいろなカエルの中でも、今日はアマガエル(Hyla)属のカエルの体色変化についてのお話をします。体色変化は色素胞のそれぞれの変化によって決まります。まず、それぞれの細胞の働きを模式図で示してみましょう。

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色素胞のうち、黄色素胞と黒色素胞(A)は中に色素の顆粒があって、それが細胞全体に広がるか(右)、一か所に凝集するか(左)で色が変化します。黄色素胞にはカロチノイドやプテリジンという色素が入っています。黒色素胞にはメラニンが入っています。一方、構造色を示す虹色素胞(B)の仕組みは、まだはっきりとは分かっていないようですが、細胞の中にグアニンという物質の結晶の板が多数入っていて、それらがきれいに配列したり(左)、ランダムな向きになったり(右)して変化します。方向をそろえて配列すると青色から緑色の光が強く反射され、向きがランダムになると光が散乱され、淡い青白い色を呈します。

3種類の色素胞があり、それぞれ2通りの組み合わせ(aとb)があるので、全部で2×2×2の8通りの組み合わせで色が作られそうですが、実際の構造は下の図のようになっているので、色の種類は減ってしまいます。

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それは、黒色素胞が虹色素胞を包み込むようになっているからです。黒色素胞全体にメラニン顆粒が広がると全体が黒くなってしまい、光を唯一反射することのできる虹色素胞が使えなくなってしまいます。その場合には、黄色素胞や虹色素胞がどんな状態でも色は黒ないし褐色になってしまうのです。従って、色としては黒色素胞も黄色素胞も透明な時は青緑か淡い青白色、黒色素胞が透明で黄色素胞が青・紫を通さなくなったときは、緑色か淡いクリーム色(緑から赤を含む)、残りは黒・褐色という5種類になります。1968年にアメリカのバグナラ教授は、この3種類の色素胞はホルモンや神経の作用で連携して動作することを見つけ、真皮性色素胞単位(DCU)と名付けました。

しかし、実際の体色変化はもっと複雑です。1978年にデンマークのニールセン教授がヨーロッパアマガエルで調べた結果によると、細胞内部の変化だけではなくて、細胞の形もまた変化することが分かりました。

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その一例を上の図に示しますが、形を変えることでさらに複雑な色変化を与えることができます。また、皮膚の場所によって色を変えると体に模様を作ることもできるのです。

【感想】
カエルの色については私自身研究したことがなく、今回、初めて勉強してみました。全部で10個ほどの論文を読んで、ようやく概要が分かってきました。読んでみて、その仕組みの面白さ、複雑さに正直驚きました。身近にいるカエルが、こんなにも複雑な機構で色を変えていることは知りませんでした。間違っているところや最新でないところもあると思いますが、ご存知でしたらお教えください。また、カエルが体色変化しているときの写真が無かったので、いろいろなカエルの写真を載せました。もし提供してもよいといわれる方がおられましたら、お知らせください。なお、カエルの色素胞の電子顕微鏡写真を世界で初めて撮られた方は、当時、岡山大学におられた川口四郎教授のようです。(SK)

【参考文献】
J. T. Bagnara, J. D. Taylor and Mac E. Hadley, J. Cell Biol. 38, 68 (1968).
H. I. Nielsen, Cell Tiss. Res. 194, 405 (1978).
S. Kawaguti, Y. Kamishima and K. Sato, Biol. J. Okayama Univ. 11, 97 (1965).
Y. Shirakata and Y. Kamishima, Chugokugakuen J. 5, 17 (2006).

構造色研究会のホームページ:http://mph.fbs.osaka-u.ac.jp/~ssc/

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