構造色事始

美しい構造色をお見せします

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オオセンチコガネは糞虫と呼ばれる甲虫の一種です。糞虫は動物の糞に集まり、糞を食べることから食糞性コガネムシとも呼ばれています。ファーブル昆虫記で有名になったフンコロガシはダイコクコガネの一種だと言われ、やはり糞虫の仲間です。

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大阪池田産

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大阪能勢産



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(池田正清氏標本提供)

 

 オオセンチコガネは輝くような色をしています。しかも、その色は場所によって変化するのです。オオセンチコガネの代表的な色変化を示す写真を上に示します。青の濃いルリ型、緑の強いミドリ型、緑がかった赤のアカ型が知られています。全国的にはアカ型がもっとも普通なのですが、 特に近畿地方ではこれら3つの型が地域的に棲み分けているので興味が持たれてきました。ルリ型は和歌山県、奈良県、三重県南部で、ミドリ型は京都府南部、滋賀県南部、三重県北部でのみ見られています。アカ型はその他の地域で見られています。また、屋久島にはルリ色の個体が、北海道東南部にはミドリ型が分布していることが知られています。

 

 どうして、これほど色変化をするのか不思議ですね。当時、滋賀県立大学環境科学部に在学していた赤嶺さんたちは、いろいろな地域から採集したオオセンチコガネの固い鞘翅と呼ばれる翅の断面を透過型電子顕微鏡で調べてみました。



イメージ 5


甲虫の鞘翅は固いクチクラでできていますが、その組成の違いからいくつかの層に分けられています。一番外側が外表皮、その内側には順に外原表皮、内原表皮、表皮細胞が並んでいます。大抵の甲虫は外表皮の部分にある層状構造により発色しますが、一部の甲虫では外原表皮にある周期構造で発色するものもいます。


イメージ 4

(赤嶺真由美さん提供)


 電子顕微鏡で調べたところ、オオセンチコガネも外表皮に層状構造を持っていることが分かりました。上の写真で示すように、電子顕微鏡で見ると色の濃い部分と薄い部分が交互に並んで、全体として10層から12層の層状構造を作っていることが分かります。色の濃い部分はメラニン色素を含んだ層、薄い部分はメラニンを含まないクチクラ層です。詳しく調べてみると、ルリ型よりミドリ型、ミドリ型よりアカ型になるにつれ、一つ一つの層の厚さが増えていることが分かります。

 

 層の厚さは反射する色に直接関係しています。層が厚いほど赤色の光が反射するので、電子顕微鏡の観察結果と翅の色、及び、測 定した反射スペクトルのピーク位置とはよく対応していることが分かりました。すなわち、オオセンチコガネの輝くような色の原因は翅の表面近くにできた層状構造によるものだったのです。また、色の違いはその層の厚さの違いとして説明できました。


(つづく)

 

構造色研究会のホームページhttp://mph.fbs.osaka-u.ac.jp/~ssc/

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オオセンチコガネの羽の階層構造について調べています。赤嶺先生の電子顕微鏡の画像が載っている書籍や論文を探しています。ご存知でしたら教えてください。 削除

2017/10/3(火) 午前 10:26 [ F ] 返信する

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