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 役(えん)の行者が雪深い日光の山奥
を歩いていました。空は真っ青なガラスのよう。
 雪原のかなたに、いかめしい峰々が
純白の衣をまとって並んでいます。
 
 病に苦しむ世の人々を救う にはどうしたらいいのだろう・・・・・・。
 ものおもいにふけりながら錫杖をならして、とある木陰にさしかかったときです。
 
 一匹の小ウサギが何やら懸命に
凍った地面を掘っていました。
 足を止めてみていると、黒い草の根を掘り出した小ウサギは、つぶらな
眼で行者を見上げ、「ご主人が病気なの。お薬を採りに来たのよ。」
というなり、一目散に雪の輝きの中に消えてしまいました。
 
 行者は残った根を拾って帰り、試みに病人に飲ませてみると、腹痛がぴたりと
止まったのです。
 それはリンドウの根だったのです。
 
 小ウサギは日光二荒山神社の神の化身であったとか。
 
 
  〈 トウヤク 竜胆 〉
 
 リンドウ科の多年草。 本州から北海道の高山帯に分布。
 開花  8月〜9月。
 茎の高さ 10〜20センチで花茎の頂に2〜5個の花をつける。
 トウヤクは当薬。 胃健薬として利用されている。
 
 
  * 出典  お話の文は  石井由紀 著
                  花の神話 より
          写真      植物図鑑 ドットコム より

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