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6月20日(月)すみだトリフォニーホール 19:15〜
ハーディングの再来日。多くの外来アーティストがキャンセルする中、こうして来日して名演を残してくれるのは嬉しい限りだ。今回の公演は、「3.11 東日本大震災、明日の希望をこめて」としたチャリティーコンサート。
普通のコンサート以上に、すでに会場の雰囲気は複雑で観客の期待感に溢れるボルテージの高さが増している。そんな中、開演、2分前。ステージにはオケの事務局長が挨拶かと思いきや、総武線快速が止まって開演が10分押しという説明が、このコンサートの趣旨だけに説明を聞いた観客は文句も言わず納得をする方が多かっただろうか。妙に落ち着くためにトイレに席を立つ人も多くこの緊迫感だけが会場を漂っていた。
マーラー/交響曲第5番
指揮:ダニエル・ハーディング
新日本フィルハーモニー交響楽団
1階 16列20番台
ほぼ、うめつくされた席には、ただならぬ空間が流れている。そしてついに、ハーディングが。
本日は一曲のみだったが、始まる前に、追悼をこめてエルガー「エニグマ」より第9変奏曲よりニムロッドが演奏された。それは、美しい旋律と共に、哀悼の意で聞くエルガー。大好きな曲だからこそ切なく旋律が心に響く。
4分程だが、終わった後もハーディングも合掌。静けさとともに退場。全ての緊迫がさらに高なる。
いよいよだ。なぜここまで緊張しなきゃいけないのだろうか?と珍しくそんな自分がいる。
冒頭のトランペット。まさに葬送。そして、そこから放たれるシンバル。一撃でノックアウトされるほどだ。
すでに自分の中に走る電流。
それからは。なぜか、3.11の日を思い出さずにはいられない。目頭が熱くなり、歯を食いしばっている。
3.11この演奏会は100名ほどの観客の中、演奏されたのだから特別な思いもひとしおだっただろう。
その日、自分は大田区から歩き始めて丁度被害情報をFMで聞きながらサントリーホール辺りを歩いていただろう事を思い出しながら、その日の事が鮮明に蘇る。
ハーディングの棒はインテンポだが、ゆっくりと、だが確実に先を示し立ち止まらない現実を比喩化されているように前に進んでいる。
何度も聞いているマーラーだがここまで涙ぐむほどに、そこには回想しながら聞くマーラーがある。
そんななかでも一番の出来が3楽章。まさに復興すべき今を象徴させる感覚。未来を漂わせる感覚。
ホルンのうねりや木管のなどのベルアップするたびに、人々の感情での苦悩や前と進む希望がかいまみえる。
そして4楽章のアダージョへ。今までが少し遅めのテンポだっただけに確かに体が疲れきっていただろうか、
あえて、アダージョは速めだ。確かにあれ?もっとゆっくり!と思う自分とは反対だが、その中に生まれる今と言う「時間」がそこには流れており、改めてそこには幸せなひと時が繰り広がれあの時ほど、管楽器のメンバーがいる場所に入って聞いてみたいと逆に羨ましくなるほどの空間が流れたいたように思う。
そんな自分はニンマリしながらも気分は天国。祈る気持ちはかわらないのであった。
そのまま終楽章、しかし、今回の批評はわかれるんだろうな?と思いつつも自分にはこの曲=3.11が刻まれているのだと確信し、改めて感動のフィナーレへと包まれることになる。
終演後は、やはりオケ側からも絶賛の拍手とねぎらいが。観客もスタンデイングオベーションで感謝の気持ちで称えている。全体的には緊迫感が強すぎて途中で集中力も欠いたが好演だっただろう。
自分にはFMで放送されたハーディングとスウェーデン放送管とのマラ5の方がもっと積極的に攻めていたように思えたのだが、今日のコンサートは普通のコンサートではない雰囲気。会場のボルテージの高まりに全てがあるだろう。逆に終わった後に疲労感が。すぐになぜか電車で帰ろうという気にならなかったのか、錦糸町駅は逆に歩きながら、スカイツリーの少しの点灯をみながら興奮する自分をさましながら帰路についたのであった。
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