歩こう!仙台の遺跡

いつのまにか雨の季節です(2015年6月25日)

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小鶴という地名は、この地に伝わる伝説に語られた、悲劇の女性の名前にちなむと言われています。

その小鶴が入水した池が小鶴池(小鶴沼)と呼ばれ、江戸時代に耕地化されるまで残っていたそうです。

小鶴池は平安時代中期の歌人である源重之により、
「千歳をはひなにてのみや過しけむ こづるの池といひて久しき」
と詠まれています(『重之集』)。

重之は、有名な藤原実方が陸奥守として下向する際、これに随った人物です。
古代の東山道の東側に広がるこの場所が、当時すでに小鶴と呼ばれていたことをうかがわせます。

東山道は中世になると奥大道、さらに戦国期になると東街道と称されるようになりますが、この東街道を見下ろす小丘に築かれた城跡が、今回ご紹介する小鶴城跡です。

最初の写真は、小鶴城跡北側にあるかつての堀跡。
今は公園になっており、仙台東ロータリークラブが建てた城跡の概要を記す標柱が建っています。
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こちらは、小鶴城跡の概要図です。

小鶴城跡は西からのびる台原・小田原丘陵の最東端にあり、標高約16mの最高所と周囲の水田との比高差は約11mです。
北側を高野川と呼ばれる小川が流れ、南側には先述した小鶴池(小鶴沼)が広がっていました。

上の図の緑の部分は、平場のおおよその推定範囲です。
一番西側の主郭と考えられる部分は殿上山と呼ばれており、約80×40mほどの平場になっています。
その東側にも2つ程度の平場があったとみられ、現状でも地形の段差としてとらえられるほか、昔の航空写真でもそれをうかがわせる様子が確認できます。

平場を囲むようにして堀が巡っていたとみられ、さらに北西部には土塁が一部残存しています。

小鶴城跡では、これまでに9回の発掘調査が行われており、主郭部分を対象にした第4次調査では、掘立柱建物跡3棟などの遺構や、中世陶器・北宋銭などがみつかっています。

また、堀跡を対象にした調査では、西側の外堀のさらに外で2条の溝跡がみつかっているほか、城の東縁で行われた第6次調査では障壁を伴う溝跡がみつかっています。

このほか、『日本城郭体系』には、城の北東縁および南縁にも土塁と堀があったと記されています。
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現在、小鶴城跡はほとんどが宅地化されており、城跡をうかがわせるものはわずかです。

上記の公園に面する城跡北側の斜面も、ほとんどがコンクリの擁壁で覆われています。

ただし一部このように土の部分が残されている箇所もあります。
公園部分からの比高差は数mほどです。
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公園西側には、土塁の一部が残されています。

残高は約1mほどです。
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このように宅地化される前の小鶴城跡はどのような状況だったのでしょうか。

国土地理院が地理情報空間ライブラリーで公開している、戦後すぐの小鶴周辺を撮影した米軍の航空写真を見てみましょう。
※航空写真はサイト内でダウンロードできます。引用元を明記すれば利用可能だそうです。

これをみると、小鶴城跡は低湿地上に突き出した、舌状の小丘であることがよくわかります。

主郭の東側に広がる平場も、その形がおおよそ推測できます。
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こちらは、同じ地理情報空間ライブラリーの地理院地図3Dを利用した、小鶴城跡周辺の鳥瞰図です。(1970年代の航空写真を利用、高さ設定3倍)

小鶴城は、北へ向かう東街道を東から見下ろす位置にあります。

小鶴城は北にある岩切城とともに、この地を支配した留守氏の城で、留守氏の家臣である逸見氏が城主であったと伝えられています。

小鶴城から、街道と谷を一つはさんで北西には、留守氏と緊張関係にあった国分氏の城とされる笹森城があります。
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小鶴城跡の北、高野川の対岸に、羽山神社という小社があります。
境内には、中世の板碑が何基か残されています。

小鶴城内の東部にも板碑が残されているそうですが、民家の敷地内にあるため見学できません。城跡の周辺には、地元で七殿と呼ばれた塚や祠があったそうです(その一つが北西土塁上に建つ地蔵殿)。
中世の信仰をしのばせるものと言えます。
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以上、小鶴城跡について概観してみました。
城は標高の低い丘に3つ程度の平場が造られていたようですが、発掘調査でみつかっている堀・溝などをみると、区画施設の構成はやや複雑だったようです。

宅地化されているため困難を伴いますが、今後の発掘調査等の進展を期待したいです。


◆アクセス
JR仙石線の小鶴新田駅で下車、徒歩約15分


【参考文献】
・仙台市教育委員会 2011 「小鶴城跡第4次発掘調査報告」『法領塚古墳他発掘調査報告書』
 (仙台市文化財調査報告書第393集)
・仙台市教育委員会 2013 「小鶴城跡(第9次調査)」『仙台市震災復興関係遺跡発掘調査報告I』
 (仙台市文化財調査報告書第416集)
・田中則和 2006 「小鶴城跡」『仙台市史 特別編7城館』
・藤沼邦彦 1981 「小鶴城跡」『日本城郭体系』第3巻 新人物往来社
・三浦昇 2011 『郷土再発見 我がふるさと岩切』

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お疲れ様でした。小鶴にこんなスポットがあったとは知りませんでした。今度行ってみたいと存じます。
きょうも有意義な記事に触れさせて頂きました。情報を頂き感謝しております。ありがとうございます。

2014/8/10(日) 午後 5:49 横町利郎

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>ミックさま
あたりは普通の住宅街ですので、見学の際はご注意ください。
北にある羽山神社のあたりに行くと、畑や水田が広がっていて、往時の景観をしのばせます。ただ、神社のすぐそばに太陽光発電施設ができていて、ちょっと驚きました。

2014/8/13(水) 午後 11:00 [ kroraina2 ]


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