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『1980』
2003年 日本
監督・脚本 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
イラスト 蛭子能収
出演 ともさかりえ/犬山イヌコ/蒼井優/串田和美/みのすけ/山崎一/田口トモロヲ/及川光博
タイトル通り1980年という時代そのものがテーマか。一番1980年を感じたのは、ウォークマンの描き方。音楽の個人化を完成させたということでウォークマン登場が同時代に与えた衝撃は大きかったと聞いている。本作でもラストシーンでウォークマンが重要な小道具として効いている。ウォークマンでYMOを聞いている次女を挟んで、長女と末娘が次女の悪口を言って遊んだり、急に音量を上げてびっくりさせたり。戯れながら新しいテクノロジーとの向き合い方を測っている。ウォークマンとの正しい付き合い方を皆が知っている今となっては、そんな遊びはウザがられるのがオチだろう。今となってはウォークマンよりもアイポッドか。
1980年代を生きた人たち、あるいは1980年代のサブカル(?)に同調する人達は特に楽しめるだろう。俺はといえば、まあまあ。内輪ウケな感じがした。この映画が内輪ウケなのか、80年という時代が内輪ウケなのか。後者だと思う。正確に言えば、もともと俺にとって現在は内輪ウケな時代として映っていて、そういう感じが少なくとも80年代までは遡れそうだ、というのがこの映画を観た俺の印象だ。例えば、「時が経てば大人になるんだと思ってたら大間違い」、というようなセリフがあって、これは情けない大人、というか大人になりきれない大人だっていいじゃないかということだろう。このセリフが誰に向けられていると考えられるかによってこの映画の見方も変わってくるかもしれない。俺は、どうしても自分に言い聞かせているように聞こえてしまって、すごく自己完結的な印象を受けた。内輪ウケというのはそういう意味だ。自分で言って自分で納得する。
誰もあなたの決意表明など聞いていないのに、何故か自分から決意表明をしてしまうとか。誰もあなたに大人らしさなんて期待していないのに、先回りして自分は大人じゃないと自己表明する。例えばMixiってそういう記事が多いと思う。俺だってそういうところがある。逆に言えば、そういう強迫観念みたいなものを抱きやすい時代かもしれない。常に先回りしようとする。KY(空気読めない)という言葉は象徴的だ。
『グミ・チョコレート・パイン』
2007年 日本
監督・脚本 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
原作 大槻ケンヂ(『グミ・チョコレート・パイン』)
テーマ曲 電気グルーヴ
出演 石田卓也/黒川芽以/柄本佑/金井勇太/森岡龍/マギー/甲本雅裕/大森南朋
『1980』よりもずっと良いと思う。偉そうだけどケラリーノは思ったより懐が広いなと感じた。逆に言えば、そのくらい『1980』よりも良かったということだ。
この映画にも、情けない大人でもいいじゃないか、かっこ悪くてもいいじゃないか、というメッセージはやっぱりある。でもそれだけで終ってしまうならば、意地悪く言えば、年長世代には甘えて、年少世代に対しては媚びているっていうことだ。
俺は、歳を重ねることによって違う地平が拓けてくるということを単純に信じているので、いつまでも若くいたいという単純な主張では物足りない。若くいたくてもいなくても歳を取るという事実。それは大人になるということではないかもしれないけれど、もっとそのことを若造に対して誇ってもいいと思うのだ。
その点、本作では1980年代に若者だった現在のおっちゃん達の世界が、若造には分からないような黒い笑いとともに描かれていて、それがとても良かった。ただ青春の素晴らしさのみを強調しているのではないという意味で。
映画の終盤、とても印象的だった場面がある。
俺がニューシネマパラダイスみたいだなと思ってジーンとしていたまさにその時、映画の登場人物が観客に対して語りだして、「ニューシネマパラダイスみたいだな、と思ったでしょ?」とかのたまった時には我が耳を疑った。なんで?そのセリフいらないでしょ?せっかくジーンとしてたのに。すぐそうやって相対化するのは現代人の悪い癖だ!と一瞬思ったが、でもあのセリフがなければ、俺は今頃このブログに「ラストシーンはニューシネマパラダイスを彷彿とさせ、感慨深かった」などと、書いていただろう。そうはさせるか、というケラリーノの心意気は、嫌いじゃない。むしろ好きだ。
今日の一枚:新宿御苑前。バイトが終った14時過ぎ。もうすぐ夏・・・というにはまだ早い気もする。
今日のニュース:2008年5月21日、宇宙基本法成立。防衛目的での宇宙利用が解禁。これにより、自衛隊による偵察衛星の保有やミサイル防衛(MD)に不可欠な早期警戒惑星の開発、導入が可能になった。当然他国は警戒するが、業界団体は盛り上がるだろう。
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おととい、早稲田でこれかかってるの見ました。
よっぽど入っちゃおうかと思ったんだけど、時間なかったんだよなあ。
きょうまでなんだよなあ。
グミ・チョコレート・パイン、原作,よかったですよ。
2008/5/23(金) 午前 8:43
はぴいさん!
コメントありがとうございます。
グミ・チョコレート・パイン、映画が良かったので原作も読んでみたいです。と、言いつつなかなか機会がないのですが……。
2008/5/30(金) 午前 0:25 [ kry*s*ke*984 ]