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先月参加してきた学会、Society for Acupuncture Research(SAR)の目玉となるセッションの一つが
偽鍼(sham acupuncture)に関するものでした。
Sham鍼自体は、Lancetに論文が掲載されたKnorad Streitbergerのものと、JG Parkのものが有名です。
日本では有明医療大学の高倉先生も開発しています。
鍼の効果を示すための臨床試験においては、プラセボ効果を排除(評価)するために、
ブラインドをかける必要があり、そのため偽鍼が求められます。
StreitbergerとParkは知人のため、二人の偽鍼とも手元にあるのですが、
それぞれ、良い点もあれば、そうでない点もあります。
しかし、いずれも無から有を作り出した、パイオニア精神の表れなので、
すばらしいものだと私は思っています。
二人のsham鍼は、鍼体が鍼柄の中に入っていくもので、それを固定する台に工夫があるものです。
SARのセッションでは、二人がSham鍼の利用の現状や問題点などを総括しました。
その後、有名なHarvardのKaptchuk TJがプレゼンしたのですが、使用したスライドはたった3,4枚の
漫画チックなスライドのみで、「Sham鍼なんて、治療を受けにきている患者さんに行う事自体、
不適切だー!」、「治療にはプラセボ効果はつきもので、これを排除すること自体不要!」、とぶちかましました。すると、会場からは割れんばかりの拍手が鳴り響きました。
まあ、Kaptchukもsham鍼を使った研究をしているので、わかった上でのパフォーマンスだとは思いますが、言っていることはもっともなので、会場の共感を得たのだと思います。
しかし、研究としてsham鍼を用いる臨床試験が求められるのは事実であり、Kaptchukの言うことはわかり切った上で、それでも鍼の科学的な有効性を捕らえるために、StreitbergerもParkもsham鍼を考案したわけで、私たちもそれを使用するのです。
だけど、「わかり切っていること」は暗黙の了解だったかもしれないので、あえてKaptchukに
大きな声でズバリ言われると、それはそれで衝撃でした。やはりKaptchukも只者ではありません。
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一方、Sham(偽)のとらえ方は、様々であり、「浅い鍼」や、「非経穴部への鍼」を偽とする臨床研究もあります。
「浅い鍼」というのは切皮程度のものを意味しているため、経絡治療の程度の鍼はすべて「sham鍼」に入れられてしまいます。
ただ、おもしろいことに、「sham鍼」としての「浅い鍼」にもある程度の効果が存在するとの結果が出始めています。
この結果がどう考察されているのかというと、そのまま「浅い鍼による偽鍼にも効果は存在する」、
というものです。もともと、shamはプラセボ効果を評価するための対照群なのだから、
その効果=プラセボ効果、と言い切るのかと思いきや、「shamの手法の限界」や、
「shamにも効果がある」、などとグチグチした論旨が展開されるので、ついていけなくなります。
そうすると、Kaptchukの指摘は、誰もがわかっていることをあえて言うことで、
逆説的に、「そんな考察をするんだったら、試験の計画自体が無駄だ!」、とも言っているようにも
感じます。Kaptchukは警笛を鳴らそうとしたのだろうか???
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この記事、非常にわかりにくくて、申し訳なく思います。
私の文章力の無いことに加えて、sham鍼の話ですので、難解ですね。
いずれにしろ、Sham鍼を用いた臨床研究も多々問題がありながらも、進展しているのが現状だと思われます。
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