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日本経済

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まずは、このショッキングなタイトルが、日本航空の関係者の方々の気分を害したようであれば、ご容赦願いたい。

ただ、今回の日本航空の更生法申請に至る状況の社会的なインパクト、及び業績の悪化のレベルがあまりにも大きく、経営の非効率さ、もっと言うと存在そのものが、社会主義崩壊で見られた国営企業の状況にあまりにも酷似していると感じ、このタイトルをつけた。

20日付日経新聞によれば、「JALグループの負債総額は2兆3,200億円で、金融機関を除く事業会社では過去最大」だという。

一部報道で言われていた8,000億円の債務超過額もかなりのものだが、負債総額2兆3,200億円は想像を絶する額だ。

さらに、今後、企業再生支援機構による支援の下、総額9,000億円の公的資金枠が用意されるという。

この公的資金には税金が投入されることになるから、結局、日本航空再建の一部負担を国民が行うことになる。

9,000億円がどれくらい大きいかというと、民主党マニュフェスト主要項目と比べると、子ども手当の1.7兆円に及ばないものの、農業の個別所得補償(6,000億円)、高校の実質無償化(4,000億円)、暫定税率(2,000億円)よりもはるかに大きい。
財務相「平成22年度予算のポイントより」 

政権交代に影響を及ぼした主要政策よりもはるかに大きな額をJAL再建に投入することになる。

JALは1987年に民営化されたが、航空事業を生業とする規制業種の常として、常に国土交通省の管理下におかれる一方、地方空港ができるたびに路線を拡大、拡大を主導する政治家も一枚噛んで、事業を行ってきた。

地方空港建設の際は地元の建設業も潤っただろうし、JALの運転資金を補充する目的で、大手銀行はさして営業努力することなく、金利をピンはねできた。

まさしく、絵に描いたような政・官・業の癒着で、その影響も大きかったことは想像に難くないが、個人的にそれ以上の問題は組合だったと思う。

JALの組合は、「沈まぬ太陽」でも題材になったように、かなり強力である。

最近、その名残を感じさせたのは、JALの年金問題だ。

このBlogでも、取り上げたことがあるが、JALの年金は、これまで、現在の市中に比べ、破格の利率が保障されていた。

この秋以降、会社そのものが破たんに傾きつつあるのに、回答期限ギリギリまで、財産権を盾に年金減額に応じようとしなかった。

「沈まぬ太陽」以来、JALの組合のことを意識したことはなかったが、年金に対する組合の一連の対応は、その強さを感じさせるに十分だった。


最近、経済と社会の主導権を握っているのは、市場か国家かを描いた「市場 対 国家」という本を読んでいる。

世界の様々な国の問題を取り扱う興味深い本なのだが、これを読むにつけ、金融危機後、悪玉かのように思われている、市場経済重視の「新自由主義」政策も、その発生において、必然があったと思わされるのである。

なぜなら、社会主義が横行するあまり、組合によるストが横行、公共サービスまで影響を受けるようになる一方で、赤字前提の財政政策によって、インフレが生活を直撃したために、経済が停滞期を迎えてしまうという悪循環になったからだ。

もちろん、働くものの権利を阻害してはならないし、それを担保する組合の役割も尊重すべきと思うが、そもそも、その組合員に給料を払う、会社・団体が弱体化すれば、権利を主張する騒ぎでなくなる。

かといって、市場至上主義でいいのか、といえば、一昨年の金融危機をみれば、わかるようにそんなことはなく、何事も行きすぎはよくないということかと思う。

これらの事例にJALがどう当てはまるかといえば、結局、組合の強さで、会社そのものが弱体化、競争力が失われたということだと考えている。

その意味で、20日の日経新聞の社説は興味深く、関連するポイントを抜粋する。

「日航の経営が本格的におかしくなるのは21世紀に入ってからだ」

「過去10年の日航の合算純損益は1千億円を軽く突破する巨額の赤字だ。それでも破綻を免れてきたのは、ひとえに公的金融機関の支えがあったからだ」

「状況が悪化しても、危機感はなかなか浸透しない。部門間の対立や複雑な労使関係も改革のスピードを鈍らせた」

「その象徴が今回の再建でも大きな問題になった企業年金だ。積み立て不足は10年以上前から指摘されていたが、OBの反発を恐れて、手をつけなかった。ライバルの全日本空輸が早くも03年に後年度負担の発生しない確定拠出型の年金を導入したのとは対照的だ」
 
「日航を追い詰めたもう一つの要因は自由化の進展、競争の激化だ。98年にスカイマークなどが新規参入し、東京―福岡などの幹線で価格競争が加速した。民営化の成功で体力を回復したJR各社は新幹線の高速化に乗り出し、空の客を奪った」


先に述べたように、JALは87年に民営化し、株式まで公開していたが、新規参入をもたらす規制緩和を行った後も、「国営企業」的な経営を続けてきたことがわかるだろう。

公的金融機関が資金繰りを支え、ライバルがいち早く切り込んだ年金処理も先送するなかで、収益に対して余りある負債は膨らみ続け、結局はそのツケを国民が公的資金で支払うこととなった。

JALを利用しないANAユーザーも、ライバル会社のANA社員も、まして、飛行機を利用しない人さえも、そのツケを支払うことになるのだ。

これを社会主義と言わずして、何と言えばいいのか。

一部、政治家や官僚、そして、関連する企業がJALを利用し、甘い汁を吸ったからJALの経営が傾いたという指摘もあるが、国内線に強いとされたANAが、依然、存続しているのだから、これは誇張に過ぎるというものだろう。


今回のJALの会社更生法に至る皮肉は、生活者目線を重視する、民主党政権下で行われたことだ。

昨年9月の時点で前原大臣によるJALの自主再建案の見直しがなければ、さらにいうと、自民党政権なら、更生法申請には至らなかったかもしれない。

労働者よりも企業寄りとされた自民党政権が組合の強いJALを生き延ばし、企業よりも労働者寄り民主党がJALを更生法に導く。

本来であれば、労働者の見方で、失業者を最小限に抑えたいリベラルな民主党政権が、産業再生支援機構の下、会社更生に向けて、新自由主義的な厳しい再建アプローチで臨み、その結果、多くの失業者を生みだす、という皮肉。

今回のJALの会社更生法の善し悪しを議論する段階ではないが、ここにも、民主党政権の矛盾が垣間見えてしまう。


実は、私は、個人的にJALに強い思い入れがある。

学生で就職活動を行っていたとき、航空会社に興味もないくせに、JALの就職試験を受けた。

ミーハーなノリでOBの方とお会いしたのだが、空港のレストランで話した仕事がとても刺激的で魅了されてしまった。

こういう方がいる会社なら勤めてもいいなという気持ちが芽生え、2次試験に臨んだが、そもそも希望していない業界だったために不勉強ぶりをさらけ出してしまい、結局、採用の切符を得ることはできなかった。

それでも、OB面接のことが忘れられず、それ以来、海外への渡航はJALがメインで、初めてマイレージカードを作ったのもJALだった。

また、カレンダーのお気に入りはJALの「世界の美女」シリーズだ。

大学院時代、寝る前にそのカレンダーに眺めて、世の中にはいろんな国にいろんな美しい人がいるものだと、勉強で堅くなった頭を休めてくれた。

今でも、居間を飾るのは、この「世界の美女」カレンダーである。

だから、今回の結果は残念だし、複雑な想いなのだが、将来、「あぁ、やっぱりJALはいいなぁ」と思えるように、再生を期待したいのだ。


K
秋くらいから、アメリカの経済指標と株価の推移を見ながら、やや違和感を感じていた。

10%を越える失業率など経済指標は軟調に推移する一方で、株価は堅調に上昇している。

また、為替レートも大量の通貨供給の影響などもあって、円に対してドル安が続いているが、先月末の円高を期にようやく動き出した日本政府や日銀を尻目に、アメリカ政府は至って静観しているように見える。

90年代の半ばからアメリカは「強いドルは国益」として海外からお金を集め、そのお金を使って海外に投資するなどして経済を回してきた。

国全体が、預金口座のお金でビジネスを行う、銀行のようなことをやっていたのだが、その流れが変わりつつあることを実感する。

どうもゲームのルールが変わったようだ。


「New Normal」という表現で、金融危機後の新しい経済状況を表現したのは、米国の債券運用会社PIMCOの最高経営責任者であるMohamed El-Erian氏だ。

経済は元には戻らない、という基本的な見解の下、金融業界への規制が進んで借金をして投資を行うレバレッジが規制対象となり、新興国が高成長を享受するなか、先進国は低成長に甘んじる、といったことを指摘している。

金融業界への規制により、金融経済から実体経済への回帰も示唆した内容で、ちょうど、日本時間の今朝ほど、金融規制改革法案が議会を通過した。

また、RPテック代表 倉津康行氏は、11月29日の日経ヴェリタスにて、アメリカの代表的な企業が「アメリカでリストラし、海外で収益を伸ばす」構造へと変化している点を指摘、これに加え、当局は、春の大手銀行に対するストレステストの結果、危機に瀕した銀行はない、と公表したり、会計制度の修正して証券化商品などの評価損を凍結させるなどして、金融問題の封じ込めを成功させた、としている。

そして、11月25日付NewsWeekは、「株価が国内経済の見通しを反映するという考え方自体が時代遅れになった可能性もある」とし、アメリカの大手企業が海外での事業を拡大させていることや、海外で作って、海外で売っている状況を説明している。


低金利や過剰に流動性のある金融環境の下、レバレッジによる破壊的な経済リスクをコントロールしようという試みが、いままでなかったのが不思議なくらいで、額に汗してまじめに働く人たちが不意に職を失ったり、財産を手放さざるをえなくなったりする事態は避けるべきであろう。

ただ、急回復を望む市場のプレッシャーにより、企業は収益向上に躍起となる一方で、新興国のビジネスが急速に立ち上がったために、業績が上がっても、アメリカ国内で雇用が増えない、空洞化現象が顕在化しつつあるのは問題だ。

アメリカの買収ファンド大手のKKR(Kohlberg Kravis & Roberts)のHenry Kravis氏は、一部投資先の経営者から「景気が回復しても増員しなくていい」という声を聞くという。景気悪化でやむなく人員を削減したが、経営に支障はなく、過大な従業員を抱えていたことがわかったというのだ。

いずれにしても、企業経営者にとっては明るい材料がないわけではないが、従業員にとって苦しい環境が続く、という見通しに変わりはない。

また、資金を集めるのに好循環をもたらしたドル高政策も、実体経済への回帰によって、海外での収益をドル安にすることで売上・利益を上積みするドル安政策に変わろうとしている、ということだろう。

これを裏付ける兆候は、10日にアメリカ・商務省が発表した、10月の貿易赤字額(329億3,600万ドルのマイナス)に表れており、前月比で赤字額が減少したのは6か月連続で、金額ベースでは、既に金融危機直後の2008年11月以来の高い水準に戻っているという。

これらの状況をひとつひとつ眺めると、冒頭の「違和感」といった現象は、決して説明がつかないことではないことがわかる。

言い換えると、中身のいい悪いは別にして、政府・中央銀行・経済界が連携して、経済を浮上させるべく動かそうという意思が確認できるのだ。


さて、これに比して、日本はどうか?

残念ながら、日本の動きは遅く、インパクトに欠け、首相の「友愛」精神とは裏腹に、政府・与党・日銀・経済界の足並みが揃っているようには見えない。

先月末に、唐突に発表された政府の「デフレ発言」も、私がこのBlogで夏前にはデフレの長期化を指摘できたくらいだから、日銀や政府がわかっていなかったはずがない。

にもかかわらず、先月の急激な円高や「Dubai Shock」が勃発するまで、対応する政策を打ち出さず、先週になって、日銀が事実上の金融緩和策を発表するも、アナリストからは「規模が小さい」と指摘される始末。

補正予算についても、一次補正については、事業の執行スピードを犠牲に、「無駄をなくす」という前政権との違いをアピールすることを優先させた一方で、浮かせた予算を二次補正の財源にして規模も上積みさせようとしている。

無駄をなくすことには賛成だが、テレビの討論ショウのような「事業仕分け」にしても、結局、3兆円削減の目標に対して7,000億円程度の削減しか踏み込めず、予算の決定プロセスを「透明化」させる以上の意義を見出せなった。

個人的には、補正予算は前政権の内容を受け入れて、内容よりもスピードを重視し、景気浮揚、特に雇用への対策を即効あるものとし、むしろ、来年度予算の規模と内容を集中審議して、新政権のカラーを打ち出したほうが良かったと思う。

アメリカのFRBと政府、特に財務省との蜜月ぶりを見るにつけ、その中身は賛否あるにせよ、もっと、日本政府は日銀と連携して、財政と連携させた金融政策を打ち出すべきだ。

メディアで言われるマクロ政策の欠如や、国の基本戦略が見えないといった指摘は、以上のようなことが顕在化したことで、浮き彫りになるのだろう。

例えば、「日本列島改造論」といったわかりやすいキーワードで語れるほど、今の日本の課題はシンプルではないのかもしれないが、ちょうど、今、Copenhagenで暑い議論が繰り広げられている環境問題や少子化問題は、広く共感を得られやすいテーマだと思われる。

であるならば、「環境と人に優しい社会づくり」といったテーマを掲げ、政策や予算の優先順位付けを行うべきだと思うが、いかがであろうか?

日本の「New Normal」を形作るべく、さらなる政治のリーダーシップを期待したいものである。

K
しばらくインターバルが空いたが、再び、この話題に戻って締め括りたい。

前回のブログでは、JAL再建に向けて、下記のモデルを用い、海外におけるLow-Cost Carrier(LCC)などの事例を用いながら、πの最大化に向けた意見をまとめた。

π=p・q−k

π: 利益
p: 価格/単価
q: 数量
k: コスト

航空業界に携われている方から見れば突飛な意見ばかりかと思うが、裏を返せば、そのくらい飛躍的なことをしないと、重くのしかかる年金という、レガシーコストはおろか、日々の運営すらもままならない、ということだと認識している。

どう解決するかは関係者の対応次第であるが、仮に公的資金活用が決まった暁には、いたずらに税金がJALという一企業の資金繰りや企業年金の原資にならないよう、願うばかりである。


さて、今回は、日本の公的年金について、このモデルを用いて考えてみたい。

まず、前提として、年金がどんな収入と支出があり、また、これまでの累積として、どの程度、ストックがあるのかを調べなければならなかったのだが、これがなかなか容易ではなかった。。。

この仕組みをどうやって数十年も維持するのか、現在、年金原資を支払う保険者として、そして、将来は、それを受け取る受給者として、不安を感じなくはない。

ただ、不安ばかりを感じていては、前に進まないので、まず、その仕組みからみていこう。


まず、かなり基本的な仕組みであるが、日本の年金制度は、現役世代の保険料負担で高齢者世代の年金給付に必要な費用を賄う、「世代間扶養」で運営されていることを確認しておきたい。

いい方を変えると、現役時代、こつこつと保険料を払っても、将来、自分が受給者になったときに、その原資を払ってくれる現役世代の保険者がいなければ、成り立たない仕組みである。

この点が、少子高齢化が急速に進行している日本で、年金制度の不安を煽る要因となっているわけだ。

テレビでよく見かける、何人の保険者で何人の受給者を賄うというような紹介をされると、日本は少子高齢化社会を迎えるので、年を経れば経るほど、保険料を支払う保険者の人数が少なくなっていく。

最も直近の厚生省のデータによれば、国民年金も厚生年金も、現在、だいたい2.6人に1人を養うようになっているらしい。


次に、収入、支出、そして積立金について。

(収入の構成)

1. 保険料収入(現役世代が支払うもの)
2. 国庫負担(国が「金庫」から負担する分)
3. 財産収入(専門の独立法人が年金運用から生みだした収入)

(支出の構成)

4. 給付金(年金受給者が受け取るもの)
5. 基礎年金拠出金(国民年金に使われるお金で、主に厚生年金と共済年金から支払われる)

この収入と支出の差額が、毎年、年金の積立金となって貯まっていく。

だから、冒頭のモデルを当てはめると、以下のようになると想定できると思う。

π= 年金の積立金
p・q= 保険料収入(=保険を支払う人 X 保険料)+国庫負担+財産収入
k=  給付金+基礎年金拠出金

年金原資が多ければ、年金支給もより安定すると解釈できるので、この設定で無理はないだろう。

今回、年金積立額の残高を調べてみたが、今年2月に試算された財政見通しでは、今年度末の積立金は144.4兆円、2050年度には544兆円を越えると書いてあり、やれやれ安心と胸をなで下したのも束の間。。。

これは、あくまで現行制度下の話で、5月に発表された厚生省の発表では、仮に給付財源について、あらかじめ蓄える「積み立て方式」に当てはめると、財源不足は現時点で500兆円になるという。

何がどうなるとそこまで差が出るのか、甚だ疑問であるが、いずれにしても、この144兆円を鵜呑みにするのも危険である。


ついでなので、厚労省が打ち出す、2050年度に500兆円を越える試算もこのモデルを用いて説明できそうだ。

まず、収入サイドについてであるが、基礎年金給付額に対する国庫負担金の割合を今年度から1/3から1/2に引き上げ(実施済み/p・q増)、保険料を現行の15.35%から2020年度には18.3%まで増やし(p増)、このデフレまっただ中な状況で、賃金上昇率を2.5%と仮定し、運用利回りの設定も4.1%へと引き上げている(p・q増)。
(ちなみにJALの年金運用利回りは、4.5%から1.5%に引き下げるべく交渉しようとしている)

一方で、支出サイドだが、経済成長率も出生率も中レベルとして、平均的な所得レベルから置き換えた比率を、2038年度以降、50.1%を保つとしているが、今年度の62.3%から10%以上削減する見込みを立てている(k減)。

また、一方で、年金の安定収入確保のために、消費税率を上げるという議論が上がったりしている。


この試算とて何もかも反対なわけではないが、すべてが「仮定通りになれば」という但し付きになるし、また、どれもこれも、中身のない財布からお金をむしり取ろうとしているようにしか見えないが、これ以外にどんな対策が打てるか?

先のモデルを用いて考えた時、これらの試算や意見で漏れていることがある。

国庫負担金、保険料、運用利回、消費税などの目的税は、いずれもpの要素に偏りすぎているように思えるのだが、qを増やす、つまり、保険料を払ってくれる人を増やす、という視点が欠けているように思えるのだ。

そういうと、必ずといっていいほど、出生率の話につながるが、子供が保険料を払うまで年数が掛かりすぎる。

そうではなく、今すぐにでも保険料を払ってくれる人、すなわち、日本に居住してくれる外国人を増やせばいいと思う。

調べてみると、日本の年金制度に国籍は関係なく、「日本国内に住所を有している」と、年金についての権利・義務が発生するそうである(http://allabout.co.jp/finance/gc/13530/ )。

だから、外国人にとっては、保険料の支払い義務が発生する一方で、受給の権利ももらえるため、老齢年金であれば日本人と同じく25年以上の受給資格期間を満たせば年金が支給されるとのこと。

また、途中で帰国してしまうケースも考えられるが、その際、帰国する国が日本と「年金通算協定」を結んでいれば、日本で納めた保険料は母国の年金に反映されるので、掛け捨てや2重払いの心配もないそうだ。

社会保険庁のWebによれば、2007年度時点で、アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国、ベルギー 、フランスとは協定を締結済み、カナダ、オーストラリア、オランダについては、交渉中とのこと。

少なくとも、ここに上がった国の人については、もっと日本の年金をアピールすべきで、これに中国を加えれば、世界経済で主要な国の人を取り込むことも夢ではない。

そして、いささかずるいやり方かもしれないが、外国人が将来の日本永住を前提にすれば、日本の年金は世代間扶養が原則なのだから、日本人に住む外国人が支払ってくれる保険料によって、現役世代の負担は減り、引退世代の支給に賄うことも可能になるはずだ。

来てくれる外国人が若い世代であればある程、年金のみならず、所得税、住民税、消費税など税収面でもメリットが出てくるので、積極的に外国から若い人を呼んで日本で働いてもらうべきなのだ。

そうすれば、年金問題も解消されることだろうし、保険料や消費税も、今の想定程は上げなくていいかもしれない。

さらにいえば、祖国との行き来が増えれば、外国便に強みを持つJAL再生の一助になるに違いない。

ただ、いいことずくめのようだが、それには、日本が外国から人を呼べるほど、魅力的な国でなくてはいけない、という前提がつく。

これも難問だが、今なら、間に合うのではないか。

こうして、「内なるグローバル化」は日本の年金問題(JAL再生問題も?)を解決するかもしれない。

個人的には、身近に接することができる若い外国人が増えて、しかも、月々の年金負担が減る、なんてことを考えるだけでわくわくしてしまうが、皆さんはいかがであろうか?


また、Global化という観点では、年金運用利率は、日本の年金は、海外と比べ、かなり見劣りしている。

年金積立金管理運用独立行政法人が発表した、今年度上期における年金向け運用実績は5.0%になったそうだが、これに対し、ノルウェーの年金基金が18.2%、カルフォルニア州職員退職金基金は16.4%、カナダの年金基金が12.0%、スウェーデンが7.1%、となっているのでかなり見劣りしている。

同法人の発表によれば、運用における株式比率の違いが結果に表れており、債券中心の日本は、より「安全重視の運用」となっているそうだが、これは上記のような、今の日本の年金の実情から考えれば、由々しき問題ではないか。

きちんと運用すれば稼げる運用利益を稼いでいないのだから、機会損失も甚だしく、しかも、安易に足りない分を保険料や給付削減に付け替えているのなら大問題で今後の改善を期待したいところだ。


「内なるグローバル化」の推進−JALと年金問題を考えるシリーズの結びの言葉として提案したい。

K

JALと年金問題のトピックスは、もう一回、スキップさせてもらって、トピックスが陳腐化しなうちに、高速道路無料化のことをまとめてみたいと思う。

本件については、政権交代直後は、子供手当と並び、メディアでは結構な頻度で取り上げられていたが、最近、やや落ち着いてきた感がある。

結果的に、それ以上の難問があるが故に、相対的にそうなってしまっているということか。。。


今月初めに、この件を改めて考えさせられるイベントが、海の向こう側であった。

アメリカの著名投資家 Warren Buffett氏が経営する投資会社Berkshire Hathawayが、アメリカの鉄道大手Burlington Northern Santa Fe Corporationの買収を発表したのだ。

Buffett氏といえば、事業の本質的な事業価値に比べて、株価が安く放置されている会社に長期投資を行う、バリュー投資で莫大の富を築いた投資家として有名である。

ITバブルのさなかに、天井知らずな株価をつけるIT企業にはいっさい目をくれず、成熟期を迎えた企業への投資スタイルを崩さなかったので、「Old Economy」好きともいわれる。

一方で、慈善事業に熱心だったり、昨年の金融危機の際は、ゴールドマン・サックスやゼネラル・エレクトリックといったアメリカを代表する会社に対して救済ともとれるような投資も行い、アメリカの実業界の救世主的存在にもなった。

そのBuffett氏が、今度は鉄道会社に対して、過去の投資と比べても多額の投資(340億ドル≒3兆円弱)を行う。

その理由は明快だ。

「私は基本的に米国が繁栄すると信じています。今から10年後、20年後、30年後には、より多くの人がよりたくさんのモノを移動させるはずです。その時、恩恵を受けるのは鉄道です。私は米国に賭けているのです。」

海の向こうの偉大な投資家は、祖国への強い想いとともに、今後の成長の活力となる、移動手段には、鉄道が大きな役割を担うとみているのだ。


今年4月に、Barack Obama大統領は、主要都市を繋ぐ、80億ドル規模の高速鉄道の建設計画(今後5年間、毎年10億ドルずつを投資する計画)を発表。

こういった国の政策も睨んでのことだとは想像に難くないが、一方で、これだけ環境への関心が大きくなり、原油価格上昇への不安感から、公共の輸送網として、鉄道の役割が大きくなるだろうという見通しも、至極、最もなように感じられる。


国の発展に高速鉄道の役割を期待するアメリカに対して、日本はMotorizationの活性化のほうが優先順位が高いようだ。

それは、原則、高速道路料金の無料化の政策に見てとれる。

私は、この政策のブレーンは山崎養世さんという方だと睨んでいる。

山崎氏は、大和証券、ゴールドマン・サックスなど金融の世界から一転、徳島県知事を目指し、選挙に臨んだ経歴を持つ方で、当選はできなかったものの、「高速道路無料化」、「郵政資金の中小企業への活用」といった持論は、2003年11月の総選挙における、民主党のマニュフェストに採用された。

今年の総選挙での民主党のマニュフェストの「高速道路無料化」は、それ以来、脈々と残ってきたものだ。

本件に関する氏の持論を大ざっぱに説明すると、「高速道路無料化」は、東京への一極集中を改めるとともに、大都市輸送料金を引き下げ、結果的に、地方への人の流れが活性化し、地方都市の経済発展に役立つ、という構図だ。

そのヒントになっているのは、実はアメリカのフリーウェイであり、原則、「フリー」(=無料)の高速網が、中核都市の形成を後押しし、ほどよく地域経済が分散化されたのだと分析されている。


先週末に、京都を訪れた際に、のぞみ(N700系)に乗ったが、その乗り心地の快適さもさることながら、移動時間も短縮されていたことに、改めて新幹線の威力を思い知らされた。

今月は、そうした鉄道関連産業の競争力を感じさせるニュースがいくつかあった。

1)JR東海は、アメリカ、イギリス、インドなど外国の在日大使館員や鉄道業界関係者らを乗せて、米原―京都間で営業運転より速い時速330キロを出すデモ走行を行い、新幹線をアピールしたという。

中日新聞によれば、アメリカ・テキサス高速鉄道協会のロバート・エクルス会長は「(高速時も)滑らかな乗り心地だった。TGVや中国・上海のリニアにも乗ったが、高速鉄道市場で競争力があると思う」と話したという。

加えて、JR東海の葛西敬之会長は米国のコンサルティング会社と契約し、販売先候補先を調べていることを明かした。同社幹部によると、高速鉄道構想がある米・テキサス州とイリノイ州周辺が現段階で有力ということだ。


2)日立がイギリスで鉄道事業の大型受注(=総事業費1兆円)したこと、また、川崎重工業が、アメリカで路面電車を開発したことが明らかになった。

24日付の日経新聞では、モノや人の輸送手段を航空機やトラック、乗用車から鉄道や船に切り替えて、環境負荷の低減に役立てる、「モーダルシフト(Modal Shift)」というトレンドを紹介しながら、このニュースを報じた。

これらニュースを聞いて、台湾の新幹線の運用が日本の会社によってサポートされていたことや、VirginのBranson氏がVigin Trainsを始めたのは、日本の新幹線に乗ったことがきっかけだったことを思い出した。


こういったニュースに前後するように、ついに、17日に、前原大臣は、来年度予算概算要求に盛り込んだ高速道路無料化の社会実験費用6000億円について「しっかり見直していく」と述べ、今後の予算編成過程で減額があり得ることを示唆した。

「事業仕訳け」といった予算削減の流れも意識してのことだろうが、国土交通大臣の見直し発言は、重みがあるだろう。


そもそも、都市と都市を結ぶ高速交通網は、その拠点となる都市において経済活動の裏付けがない限り、活性化しようがない。

交通網がその経済活動を後押しすることはできようが、交通網自身が経済活動を活性化させることはなかなか難しい。

道路建設という手段はあるが、そういう土木事業を起点とした経済発展に見切りをつけたところに、民主党政治の意義があるのだろうから、それを今更掘り返しても仕方がない。

運送費が下げられるというメリットもあろうが、それも輸送の発端となる経済活動が停滞したままでは、十分にそのメリットを享受できないだろうし、渋滞という副作用を生みだすことも念頭に置かねばなるまい。

例えば、エコカー減税対象車のみ高速無料化として、環境対策と自動車業界へのプラス効果を図る政策変更もあり得なくはないだろうが、対象車種を限定することによって、無料化のインパクトがどこまで図れるかははなはだ疑問である。

それよりも、高速鉄道関係産業をさらに強化して、国内のみならず、海外も含めて、輸送網強化や環境改善に貢献するほうが、よっぽど、経済効果があるように思う。

こうして考えると、環境対策や現状のインフラの効率化を図る上で、高速道路無料化よりも、高速鉄道促進のほうにAdvantageがあるような気がするが、みなさんはどう思われるだろうか?

税金というかたちで我々も国に「投資」しているので、納税者という投資家として、どちらに賭けるかという視点で考えてみるのもいいかもしれない。

K

13日に発表されたJALの決算内容は、最終損益が1,312億円の赤字、本業の資金収支を表す営業キャッシュフローは400億円近い赤字、そして、手元資金は3月末に比べ4割減少、1,000億円を割り込んだという内容だった。

本業で稼げないために、「手持ち資金を取り崩して事業を続けている」(同社財務担当 金山佳正取締役)状況が浮き彫りになったといえよう。

決算前には、金融機関への債務返済を一時停止する事業再生ADR(裁判外紛争手続き)の申請、つなぎ融資を確保して事業の継続にめどをつけた。

これら一連の内容から、ナショナル・フラッグというネーミングからは程遠い「自転車操業」の姿が浮き彫りになる。


私がビジネス・スクールで戦略論を学んでいた頃、事業運営の原則として、教授から口酸っぱく叩き込まれたフレームワークがある。

π=p・q−k

π: 利益
p: 価格/単価
q: 数量
k: コスト

となるが、何のことはない、利益はどのように生み出されるかということで、

1) 価格/単価を上げる
2) 販売量を増やす
3) コストを減らす

という3つが重要だということだ。

これに現金の受け取りと支払いを表す資金繰りを反映させれば、さらに完成度が上がり、資金調達のためのコスト(利息や配当など。専門用語で「資本コスト」という)を上回る利益(=π)を出せれば、利益率は低くても事業は継続できるというものだ。

昨年の金融危機でパニックになったのは、実際の現場では、お金を調達する際、信用という要素が重要で、その信用の基準が崩れてしまったために、事業会社はおろか、お金の出してくれるはずの銀行間ですら、お金が回らなくなり、その混乱ぶりたるや、一時的に社債などの債券利回りが配当利回以上になるという、普通では考えられない状況に陥ったわけだ。

やや脱線したが、考え方をシンプルにするために、冒頭のフレームワークで今回のJAL問題を捉えてみたい。

なお、JALの年金問題について、年金を受け取る側の権利面から法律の観点から捉えるのは、他のブログやその道の専門家に譲りたい。

企業年金の受給権は私的財産権であり、受給者の権利保護の観点から本件を捉え、NTTやりそなホールディングスなどのケースを引き合いにして語るのもいいが、そもそも支払原資がなければ成立しないでしょう、という意識のほうが強いためだ。

話を元に戻すが、今回の年金原資はコストに含まれる。

これまでの約束どおりの年金を支払い続ければ、コストが上昇、利益が少なくなり、いまのJALの体力(=現金の保有額、もしくは調達能力)からいえば会社が存続できない。

そうなれば、今後の年金の支払いの見通しがつかなくなる。

よって、年金支払減額ということが言われるのだが、もうひとつの手段としては、年金を含む債務を切り離す、ということが選択肢もあるのかもしれない。

これは、現在のJRが民営化した際に、国鉄の債務を切り離し際にとられた措置で、現在、国鉄清算事業本部がその清算業務を引き継いでいるそうだが、年金が含まれる将来費用については、3兆円を国鉄清算事業本部、厚生年金移換金など7,000億円をJRがこれまでの負担分とは別に返済し、その残りは債務免除となったとのこと。

ただ、同様の債務切り離し、一部債務免除という処置ができるのかというと、今、議論されている内容では、JALへの税金投入が精いっぱい(しかも、その際、年金は減額が条件)なのでかなり難しい。

そうなると、年金原資の利益を増やすには、売上を伸ばすか、その他コストを大幅に削減するということになる。

ただ、これが容易に実現されるのであれば、これまでの苦闘もないはずで、少し発想を転換しなければならないのではないか。

売上のpとqを伸ばし、コストのkを減らす手法としては、海外のLow-Cost Carrier(LCC)とよばれる、格安航空会社の事業手法は参考になることが多いと思われる。

そのひとつが低コスト化を実現したうえでの地方航空の活用である。

ここでは、アイルランドのライアンエアが参考になる。

同社の徹底したコスト削減効果により、都市から離れた空港へのアクセスコストを上回る圧倒的な低運賃を設定することで、見放されていた地方空港へ旅客増が見込め‘Ryanair effect’を生み出しているという。

この結果、地方空港への交渉力が増すために、空港使用料も低く抑えられ、さらにコストが減るというポジティブなスパイラルを生んでいるそうだ。

見方を変えれば、不採算路線というのはあくまでも現在のコスト構造だから、という前提つきなので、現在の「不採算路線」も考え直す必要もあるかもしれない。

また、Virgin GroupのVirgin Blue参入の対抗手段として、カンタス航空は、JetStarというLCCを設立、成功事例になっているとも聞く。

いずれもコストを減らさねば成り立たない手法のため、間接人員の多いJALにとって高いハードルだと思うが、雇用といった組織制度面の折り合いをつけながら、携帯電話や電子マネーのさらなる活用による販売コスト削減といった生産性を上げるための施策を考え出さねばならないだろう。

以上のようなπの向上を目指す過程では年金支給額の減額も受け入れて再建をめざし、業績が向上した暁には、また、支給額の水準を検討するのが妥当ではないか。

こうした姿勢が、現役社員と引退されたOB・OGが連帯して取り組むということだと思うが、皆さんはどう感じられるだろうか。

次回は、このフレームを国の年金のほうにあてはめてみたいと思う。

K

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