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世界経済

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既にご覧になられている方もいらっしゃると思うが、17(金)より日経新聞では、「スマート消費が来る」というタイトルで、経済危機後に顕著になってきている新しい消費スタイルを紹介している。

これまでの教科書に代わって使われる、アマゾン・ドット・コムの電子書籍端末「Kindle DX」、話題の村上春樹著「1Q84」の上巻を新刊、中古で売りわけるフタバ図書TERA、カーシェア世界最大手のzipcarなどの事例が紹介されている。

また、第1回となる17日(金)の記事で、豊かさを手に入れた後は「所有より効用が重要になる」とする、仏経済学者 ジャック・アタリ氏の論説(「所有の歴史」)も紹介された。

一方で、昨日の記事では、そのような消費トレンドを裏付けるデータとして、日本の大手企業の売上高を危機前の2008年3月期と10年3月期予想を比較し、自動車の売上高は35%、電機は21%の減少としている。

この特集記事の印象が頭の片隅に残るなか、昨日、経済史について意見を交わす機会があった。

主要なテーマのひとつとして、New Liberalism、Political Economy、という2つの軸で経済動向を分析する手法が紹介され、前者はFinance Capital(金融資本)/Small State主導(=小さな政府)・Middle Classの地位低下、後者はProduction Capital(メーカー資本)/Big Sate(=大きな政府)・Middle Classの地位向上、が顕著になるとしていた。

これらの軸は、社会情勢により行ったり来たりするとのことだったが、最近はさらに3つ目の軸として、国家・政治の枠組みを越えた、企業・個人によるmultilateralismの台頭(The Rise of the Rich)も認識される、という意見だった。

このフレームワークを使い、それでは、今の日本はどうだろう?ということを問題提起してみた。

私は、日本は輸出主導の製造業が産業の中心、基本的に政府の関与が大きいものの、昨今の派遣問題に見られるように、必ずしもMiddle Classの地位が安定しているわけではない、という認識の下、これら2つの軸における状況はきれいに分けづらいのでは?と問題提起を行った。

それに対して、日本はPolitical EconomyからNew Liberalismへ移行期ではないか、との意見が寄せられ、妙に合点がいった。

中国・韓国・台湾・インドなどアジア系新興国が労働集約を武器に、製造業において攻勢をかけるなか、このまま、日本の輸出製造業主導の経済が見直されないわけはない。

そうしたなか、かつてアメリカがそうだったように、New Liberalismが台頭し、製造業のような資産・人的資本中心の社会から、規制緩和などを通じた、金融資本中心の社会となり、持てるもの・持たざるものの格差が広がってしまう、というシナリオが全くあり得ないと言い切れるだろうか。

前段の事例は、その兆候と見れなくはない、という想いが重なり、なおのこと、合点がいってしまったのだ。

ただ、昨日の議論では、そのやり取りの前に、New Liberalism、Political Economyの間の行き来のなかで、その兆候を個人として取り込めれば、The Rise of the Richの一員として、個人が活路を見いだすことも可能ではないか、という意見があった。

その第3の軸が個々人のライフスタイルにうまく反映できれば、これはこれでHappyではないかという気もした。

名の通った会社でも、政治・行政でもない、それら既存組織・団体ではない、個人が社会に働きかける社会。

かつて、Peter F. Druckerは、Innovationは、既存の枠組みで縛られた大企業ではなく、小規模な組織・団体で促すべしとし、Entrepreneurshipの重要性を「Innovation and Entrepreneurship」(翻訳タイトル「イノベーションと企業家精神」、ダイヤモンド社)で説いた。

1985年の著書ということだから、まさしくレーガンの新自由主義政策が推進、小さな政府が標榜され、経済では日本メーカーの台頭により製造業の凋落が始まり、金融へのシフトが始まりだした、ちょうど歴史的な転換期のなかの著書であった。


経済・政治の落ち込みとともに、個人の生活が息詰まるのではやりきれない。個々人の小さい活動の積み重ねから、大きな変化・トレンドを生み出せるようにできないものか。

環境への依存心が強くてもいけないが、日本が、今、確実に個人の生活が重視される社会に動きつつあることを願いたい。

K

P.S.
以後、また、機会があれば、「The Rise of the Rich」についてこのBlogでふれていきたい。
相変わらず不景気なニュースが多いなか、今週の歴史的エポックなニュースといえば、中国のGDPがドイツを抜き、3位になったということだろう。

14日、中国の国家統計局(National Bureau of Statistics)が、2007年のGDPについて昨年4月の公表値より3.1%多い25兆7,306億元に上方修正を行い、GDPランキングが改定され、ドイツを抜く結果となった。WTO加盟以来、存在感を増している中国であるが、その経済レベルが裏付けられた格好だ。

グラフ1(IMFのデータより筆者が独自に作成)

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Goldman Sachsの予測によれば、2040年頃までには、中国経済はアメリカを抜くとし、さらに、Economist Intelligence Unitは、各国での収入により実際の購買力を反映させて価格差を調整する、消費力購買力平価(purchasing power parity)を用いると、2017年(10年もない!)には中国がアメリカを抜く見込みであるという。日本がかすんでしまうくらいの勢いである。

ただ、こんな中国にも弱みがないわけではない。

日経新聞などでは、そもそも、今回の改定の下になった、中国 国家統計局の集計に対する信頼度そのものを指摘していたが、それを言い出しても本質的ではないので、まず指摘されるのは、一人当たりのGDP(GDP per capita)の低さがあげられるだろう。

1月14日付 Financial Timesの「China becomes third largest economy」(Geoff Dyer)という記事では、世界銀行のデータを引用し、中国の一人当たりGDPは2007年で$5,370と、エジプトやエル・サルバドル、アルマニアよりも低く、ランクは122位と指摘している。

Despite rapid growth and hundreds of millions of people lifted out of poverty, China remains relatively poor. In the World Bank’s rankings of GDP per capita for 2007 using purchasing power parity, China took 122nd place at $5,370, behind Egypt, El Salvador and Armenia.

グラフ2(前出と同様IMFのデータから筆者作成)

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注釈: 上記データによれば、中国は5,325インターナショナルドルで100位。ちなみに、日本は、33,596インターナショナルドルで22位。日本の意外なほどの順位の低さは、格差社会の表れか。



そのような実態を踏まえ、日経新聞によれば、「中国は自らが「発展途上国」であるとの立場を変えていない」という。

また、先のFinancial Timesの記事では、一人っ子政策の影響による急激な老齢化や環境破壊への費用面の課題の指摘もされている。

In the medium-term, economists say that there is plenty of scope for China to maintain relatively high growth rates. Urbanisation and technology catch-up have decades to run. But the outlook is complicated by a rapidly ageing population and costs of damage to the environment.

万事がすべて順調というわけにはいかないようだが、そんな上り調子の中国と日本はどう付き合えばいいのか。

ドイチェ・アセット・マネジメントで中小型株を運用する越智明彦マネジングディレクターは、昨年12月19日のブルーバーグとのインタビューのなかで、以下のように述べている。

「金融危機による実体経済の悪化を受け、「世界各国が同時に財政出動するのは見たことがない。このインパクトが需要サイドに与える影響がサプライズとなる可能性がある」(同氏)中、特に中国の財政出動の規模は他国にないほど大きく、「その効果によって、世界経済は09年前半に底打ちするかもしれない」(同氏)と期待する。

中国が11月9日に発表した景気刺激策の総額は4兆元(約57兆5300億円)。昨年の国内総生産(GDP)の5分の1に相当するこの額を、2010年末までに使う計画だ。不良債権の根源地である欧米の需要は期待できないが、中国が年8%の経済成長を維持していけば世界経済の下支えが予想される」
(詳細はWEBにて: http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003011&sid=axgPqLzbNhVA&refer=jp_asia#)

このWEBでは紹介していないが、Bloombergのテレビ放送のほうでは、日本のビジネスモデルを中国に輸出すべしと述べ、たとえば、楽天の中国進出や、日本ですぐれたオペレーションを行っている、レストラーン・チェーンの進出などに期待していた。

これまで、どちらかといえば、「世界の工場」をあてにした第2次産業である製造業の進出が目立っていたが、これからは、サービス業である、第3次産業の進出が進むのであろうか。注目されるところである。

K

Exploring “New economy”

新しい年を迎え、世界の株式相場は上り調子で始まった。おもな要因は、オバマ新政権の政策期待によるものという。昨年末までの悲観論から一転して、このアメリカ側の「変わり身の早さ」には舌を巻くばかりである一方で、新しいトレンドを貪欲につかもうとする姿勢は見習うところもあるといえよう。

今回2回目のブログは、昨年の一連の金融機関で起こった出来事を各種メディアの情報をピックアップしてレビューしつつ、これからの新しいトレンドを自分なりに考察してみたいと思う。

まず、昨年の金融資産の損失額についてであるが、昨年12月16日の日経新聞がみずほ証券の試算として下記データを紹介していた。

金額単位:10億ドル      金融資産残高 推定損失率   損失
米証券              23,210       18.8%       4,370
英証券               1,095       24.0%        263
ユーロ証券            7,830       14.5%       1,134
米欧総合計            32,135       17.9%      5,767

米証券は損失額にして4.3兆ドル(≒400兆円)、損失率も英証券の24%にトップを譲るものの、米欧総合の損失率17.9%を軽く上回る。

ちなみに米証券の内訳は、証券の損失が2.6兆ドル(損失率24.3%)、ローンの損失が1.7兆ドル(損失率14.0%)とされており、昨年問題視された CDOなどの新しい金融証券の損失インパクトがいかに高かったが推測される。米証券だけで、英証券やユーロ証券の損失総額を上回るのだから。

また、7,750億ドル(約71兆円)がオバマ次期大統領の初年度の景気刺激策として報道されているが、ひと桁違うボリュームの損失額分を補い、景気浮上のきっかけがつかめるか。注目されるところである。

こういった金融損失は信用収縮も引き起こしており、欧米のいくつかの企業では、社債利回りが、株式利回りを上回るという逆転現象が生じているという。

          社債利回り   株式利回り

・ Unilever      4.6%       3.5%
・ Wal-Mart     4.9%        1.7%
・ Vodafone     7.2%       5.9%

出典:Financial Times, 2008 .12.29

この現象を報じたFinancial TimesのコラムニストTony Jacksonは、

"That expresses investors’ belief in a prospect of zero growth, zero inflation and high risk. Such an outlook, if correct, means corporate bonds should be worth more than equities, simply by virtue of their priority in the pecking order."

と語り、ゼロ成長、ゼロ・インフレ、ハイ・リスクという見方の下、社債は株式よりも価値があるべきとみなされている、という見解を示している。これまでのハイ・リスクの代わりにリターンも多いとされた株式のプレゼンス低下だ。

また、一連の金融業界の動きを世界の銀行・証券の時価総額から眺めるとさらに興味深い。

メガバンクとして君臨していた、Citi Group(2003年時点 時価総額2,502億ドル/2003年末の為替レートで約26.79兆円)は主役の座を明け渡し、代わりに

1. 中国工商銀行 (時価総額 16.80兆円)
2. 中国建設銀行 (時価総額 12.54兆円)
3. HSBC  (時価総額 11.82兆円)
・・・・
12.Citi Group (時価総額  3.81兆円)
(2008年12月12日の株価/出典:日経ヴェリタス, 2008.12.21)

のような順位になり、6位にランクインしている中国銀行(時価総額 7.15兆円)も含め、中国勢の存在感が急速に増しているのが現状である。

日経ヴェリタスは、この時価総額ランキングを紹介した記事のなかで、「中国が米国を上回り、先端の金融工学を武器に米国勢が金融界の頂点を占める構図が崩れた」としている。政府直轄の国有企業という中国の銀行の性格をどう捉えるかという点は見方が分かれるかと思うが、米国債の保有残高も、昨年9月に日本を抜いて中国がトップ(6,529億ドル ≒587兆円)になったこともあるので、中国のますますの存在感の高まりは無視できなくなっているといえるだろう。

言い換えれば、既に中国は「世界の工場」という形容詞で留めることはできず、欧米金融機関(当時の政府も含めて)の自己崩壊も手伝い、金融業界ひいては実業界を牽引する存在に名実ともになったということである。

このようななか、今年からの新しい取り組みとして、いくつかのメディアで紹介されたもののなかで目を引いたものがあるので、それを紹介しようと思う。

まず、2008.12.29付Financial Times で2009年の世界経済への提言を「Three priorities for recovery」というタイトルで紹介した、Wolfgang Munchau氏が、その3つの提言のひとつに、金融セクターの縮小ということを紹介していた。

"The second priority is to shrink the financial sector.
(中略)
We should instead focus on breaking up too-large-to-fail banks and reducing the size of the financial sector in relation to a country's GDP. In particular, we should not try to guarantee the obligations of a banking sector several times the size of our economies."

各国のGDPに応じて金融セクターの規模を縮小し、「大きくてつぶせない状況」を回避すること、また、経済規模の数倍もの規模の銀行セクターを救済する義務はなくすべき、と提言している。

具体的なスキームとなると、実現はかなり難しいかもしれないが、金融救済の際に、結局、そのツケが税金、はたまた、国債という手段で国民に跳ね返ってくることを考えれば、考えるべきことだと思う。

次に、冒頭にも紹介したような壊滅的な打撃を被ったアメリカを再生する役割を担うオバマ次期大統領だが、その政策の予測として、2008.12.28付日経ヴェリタスで行われたアナリスト3氏の討論にヒントがあった。

みずほ投信投資顧問 柏原延行執行役員はそのなかで以下のように述べている。

「テーマはクリーンエネルギーや排出量取引。オバマ氏は、排出量取引をテコに自動車産業や投資銀行の再生を狙うのではないか。自動車会社に環境の負担が少ない自動車を開発させる一方で、排出量取引を新たな金融ビジネスとして確立する、という展望を描いているだろう」

「グリーンニューディール」という旗印の下、太陽光発電など具体的なキーワードは既に紹介されているが、自動車・金融というアメリカの基幹産業を復活させ、環境問題の克服を一気に解決するとためにはこれほど(都合のいいほどに)有効なものはないように感じられ、納得させられる指摘ではある。オバマ氏の具体的な方向性を公式見解する最初の場になるであろう、一般教書演説が注目である。

最後に、草の根の投資活動として注目されるのが、マイクロクレジットである。2009.1.6付日経新聞で、ある会社員の取り組みが紹介されている。

「都内の会社員、堀内大(30)は貧困国の起業家十人に計二百七十五ドルを融資する。アゼルバイジャンの喫茶店経営、カンボジアのタクシー業……。米サンフランシスコに本拠を置くマイクロファイナンスの非営利組織(NPO)キヴァを通じた資金提供だ。
 起業家がネットで事業計画を示し、貸し手がクレジットカードなどで送金する。堀内は「自分のお金の使い道が分かるのが魅力」という。キヴァではこれまで先進国の四十万人が貧困国の十万人に計五千万ドル以上を貸し出した。
 お金を幅広く集め、貧困国に小口融資するマイクロファイナンス。直近の残高は前年比約三割増の三百億ドルに達したとの推計もある。〇六年には同分野のパイオニア、グラミン銀行を率いるムハマド・ユヌス(68)がノーベル平和賞を受けた。「超」が付く小口分散の徹底、融資を受ける側の共同責任……。こうした手法で貸し倒れをコントロールし、貧困国への援助を「施しの論理」ではなく「金融の論理」で実現した。」

これをどう捉えるかは個人的な見解の分かれるところであろうが、私は従来のベンチャー企業への投資活動における「エンジェル」からさらに対象を拡げた「ニミ・エンジェル」として発展できるように思えた。

従来は、個人的な企業への資金提供者である「エンジェル」が、自ら起業し、事業を成功に結び付けた裕福な個人が後世の若者に自身の経験の伝授とともに出資するものであったが、上記のようなものであれば、「ミニ・エンジェル」として、大金をもたなくても、また、事業を大成功させた経験をもたなくても、数千円から数万円規模で参加できる。自身で事業を立ち上げる経験も貴重だが、出資者として参加する経験も一方で貴重であろう。

少なくとも、現在のような資金供給が枯渇し、信用が収縮、株式利回りが社債を低下するといった状況では、社会的にも意義は大きいはずだ。また、こういう仕組みが、特に日本のリタイヤ世代の膨大な金融資産と結びつくようになれば大きい。出資者は数千円単位での小口参加が可能、加えて政府がそこで提供される資金であげた収益について減税するなどの施策(上記の途上国向け資金であれば、ODA予算を充当するとか・・・)で後押しすれば、地域間、および世代間の資金還流にも繋がる。出資者が希望すれば、出資先の現地視察なども可能とすれば、ささやかながらかもしれないが、旅行業の後押しにつながる。

これまでの、政府・官僚・産業が主役となる、政官民の複合体的な組織が主役で、どちらかといえば存在が軽視され、情報が遮断されてしまう個人が孤立するような環境で、耐久消費財の消費によって経済をけん引する、いわゆる「ハード」な経済よりは、個人が主体となって集団になることで「マス」を構成し、対象となる産業も重厚長大な初期投資が必要になるようなものでなく、比較的小さな資本で始められるサービスが主体になるような「ソフト」な取り組みについて考えなおすべきではないか。

こんなことを考えつつ、今年もこのブログを続けていきたいと考えていた次第である。

K

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