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不覚にも


河瀬直美はあまり好きではなかった。
どうもひとりよがりの感が強くて。

見てわからんようなら、あんたは見いひんでもええよ
という奈良弁が聞こえてきそうなのだった。


が、およそ河瀬直美を好きになりそうもない私の友人が
いい、というのだ。

あんまりあの監督好きじゃないからなと言うと
いや、オレは好きだな。見てよ、いい映画だから。とさらにすすめる。

しばらくして
見た?ときかれた。
いや、見ようって気になるタイミングがあるからさ。

まして、河瀬直美である。

忘れていた頃、
TSUTAYAに行って何か見ようと物色していたがこれといったものがない
そこで、ふと思い出したわけだ、「沙羅双樹」を。
ところが探してもない。置いていないのだ。
ないとなると見たくなる。で、取り寄せてもらうことにしたのだった。

そして、先日
見ました。
いやいやいや、実にいい映画ではないか。
カメラが移動するその視線なんて、心がぞわぞわしてしまう。
見終わった後も、とらわれつづけている私だった。
映画が終わった今も、あの世界はつづいている。
そしてまだ、私はあの世界とつながっている。
そんな気がしてならないのだ。

この映画を見ていないとは
不覚であった。
近年の映画のなかで
「誰も知らない」と「沙羅双樹」は
いまや私のもっとも好きな映画である。

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