軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 暮れも押し詰まってから突然飛び込んできた、パキスタンのブット人民党総裁の暗殺のニュースは世界中の大ニュースになった。しかし日本人の多くにとっては遠い国で起こった暗殺事件であり、日本で問題になっているインド洋への補給艦の派遣とも関連があるなどとは考えないのではないか。もしブット女史が、近く行われる総選挙後にムシャラフ大統領と手を結んで政治の中枢に座れば、パキスタンは政治的にはいくらか安定するだろうというのが、アメリカのブッシュ大統領の期待であった。しかしアメリカのブッシュ大統領はもちろんのことパキスタン民衆の半分ぐらいの人々も嫌がっているイスラム過激派に同調して、アルカイダ寄りの考えをもっているパキスタンの人々も存在するのであり、そのような状態が、パキスタンの治安維持と経済活動の安定を難しくしている。
 ブット女史暗殺でパキスタンはどうなるのか。ムシャラフ大統領は国際的な圧力を受けて参謀総長と大統領の兼務という軍政態勢から一歩後退し、2期目の大統領就任にあたって参謀総長の地位を腹心のシュファリ・キアニに委譲したばかりだが、新参謀総長が、いつまでもムシャラフに忠実でいるとは考えにくい。暗殺事件を機にして何らかの行動に出る可能性もある。裏にはCIAなど工作機関の手が伸びているかもしれない。新参謀長自身もそのような機関の関係者であった。そのような中では、正月の期間もパキスタンの情勢には目が離せない。
 パキスタンはアメリカの要求によって、アルカイダ系の掃討活動をしてきた。ただ、過激テロの鎮圧は世界の要求でもあり日本もパキスタン海軍のテロ活動監視艦艇に燃料などの補給をしてきた。それが日本の国内事情でなくなったことは、アメリカの対パキスタン政策の判断に何らかの影響を与えたのではないか。それが暗殺事件につながったと見ることもできる。
 さてブット女史だが、かつては首相を務めたものの汚職を名目にして地位を追われイギリスに亡命していた。しかしアメリカの後押しとパキスタンの政局がらみでパキスタンに帰ってきたばかりであった。党首を務める人民党が総選挙に勝てば、ムシャラフの与党と連立することも視野に入っていたのであり、それが難しくなったことで政局混乱が始まっている。女史の父アリ・ブットは初代首相であったが暗殺されている。おかげでその娘がかつがれて首相を務めたのであるが、インド大陸や東南アジアでは同じようなケースが多い。インドのネール首相の娘インディラは親の七光りのおかげとは言いながら首相としての辣腕を振るい、好戦的でもあってやはり暗殺された。ほかにインドネシアのスカルの大統領の娘のメガワティ、フィリピンの暗殺された議員の未亡人コラソン・アキノ大統領、同じ現職大統領のアロヨ、スリランカのバンダラナイケと各国に同じような人物がいる。それにミャンマーの民主化同盟議長であったスーチーも、国家指導者への就任を妨げられたものの、実質的には、大戦前後の独立運動の指導者であった父のアウン・サン将軍の後継者といえよう。
 中国台湾、朝鮮半島、さらに日本には女性の大統領、首相は現れていないが、これは共産主義が関係する地域の特殊な事情の影響があったからであり、また日本には独立前後の功労者の娘の権威に依存せねばならない風土が存在しなかったからであろう。しかし日本では女性議員の議長が出てきている状況であり、まもなく女性首相の誕生もありうる。それだけ民主主義、男女平等意識が定着してきた状況にあるからだ。東南アジアに比べて社会的に成熟してきているためであろう。そのような国で我々が平和な生活を送ることができるということは、ありがたいことである。

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ブット女史暗殺はお説のとおり、日本で報道されているより、世界に大きな影響を与えるでしょう。
田中真紀子だけは幾ら2世女性でも御免です。
今回の事件、日本のインド洋給油、テロ対策支援が中断していただけに、それに対する反発も出てきそうです。

2007/12/28(金) 午後 7:41 [ japaneseweapons ]

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