軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 北朝鮮の暴発に近い行動とこれに対する国際的な圧力の問題は、事態の推移を見守るしかないのでしばらく置いておこう。海賊対処法成立で、ソマリア方面で行動中の自衛艦の行動が容易になったことは結構なことである。同じように海上臨検法の議論も進みつつあるが、周辺事態対処法との関係で、自衛隊が臨検にどのような役割を果たすのかを明らかにしておかねば、北の本格的な暴発時に、日本が国家としての組織的な行動がとれないことだけは、指摘しておきたい。
 そのこととは別の問題として、日本はこれまで、外交や軍事面でアメリカに追随してきただけでなく、経済や文化面でも戦後にアメリカナイズされてきたことが問題であることは、これまでたびたび指摘してきた。ソ連崩壊前に日本の経済が好況であったときは、トヨダのかんばん方式による生産の効率化や終身雇用の下で安定した発展をしていた日本的な経営は、アメリカでも見習うべきこととされていた。
 しかし不動産バブル景気の崩壊後の日本は、アメリカの実業界などから非難の対象になり、アメリカ的な経営や金融に右へならえをするように強制されてきた。そのなかで行われたのが小泉改革であるが、これは結局アメリカ方式の採用であったと言えよう。竹中大臣などアメリカ式を学んだ学者が改革のリーダーシップをとっていることについて、私は機会があるたびに警告を発していた。だからといって、談合話し合いだけを貴しとしていたわけではない。日本よりも地物広大で人と人との距離が遠く、国内でも東西で何時間もの時差があるアメリカで発達した方式を、そのまま日本に持ってくることに危惧を抱いていたからである。たとえば人と人との関係が濃厚な日本の田舎では、郵便配達人が、お年寄りの面倒を見て連絡役を務めることもある。郵便物を軒下に置くならまだしも、庭の入口の付近に放置することもあるアメリカの習慣を日本に持ってくるなど、とんでもないことである。
 そのようなことも含めて、郵政改革を検討すべきであったが、経営的な利益至上主義が先走りしてしまった。かといって、郵便貯金や簡易保険の資金によりかかっていた一部の政治家や官僚を放置していてよいということにはならない。道路族議員についても同じことが言える。
 そのほかアメリカナイズの典型として普及してきたのが、服装であろう。服装は昔から下克上で、日本でもヨーロッパでも庶民の服装が貴族の服装にとってかわってきた。今はスーツといわれている背広は、明治期に日本に入ってきたときは、中級の服装であった。ヨーロッパではもともと、庶民の日常衣であったのである。植民地の開拓者的で、あらたまったことを嫌う傾向があるアメリカ人のカジュアルな服装が年とともに日本に入ってくることは自然であろうが、それを金もうけのための宣伝により、一気に日本中に広めてしまうアメリカ的商業主義を積極的に取り入れる必要はあるまい。
 アメリカでは同性愛が盛んのようであるが、生物的な自然の意味で子孫を残すための結婚とは、無関係の行為であることは明らかである。それを同性結婚として法律上、男女の結婚と同じものと認める必要はあるまいが、これもそのうち、日本に波及する恐れがある。これは宗教観とは無関係の問題であろうが、それをあえて宗教観の問題にしてしまい、男女同権問題とすり替えてしまい、同性結婚を法的に認めようとする考えには賛成できない。
 大学の設置問題についても、アメリカ的な考えが入ってきて、学問の自由とからめて、新設を容易にする施策が行われた。その結果生まれた株式会社制の大学が経済危機の中で閉鎖されている。その影響を受けるのは学生たちである。また大学院が乱立し卒業生の就職問題が生まれているが、これもアメリカ的な施策のためである。なお法科大学院制度は完全に失敗であった。アメリカでは日本の司法書士程度の法的能力をもっている人たちが弁護士になっているようだが、そのような面での改革とからめて法科大学院卒業者を原則として弁護士として行動できるようにしない限り、この制度を作ることが無意味であることは、最初からわかっていた。
 あらゆるものを無制限に自由化したり、アメリカの風土の中で意味があるアメリカ的な制度を導入したりすることには、もっと慎重であるべきであろう。アメリカ人も、自分たちの制度が最も好ましいとして他国に広めようとする、余計なおせっかい心を捨ててもらいたい。もっともその背後には、アメリカ的な国益至上主義があるのだろうが。
 
 
 

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企業の人事部で採用担当をしています。コミュニケーション能力が低く、偏差値とプライドの高い大学生は、企業の採用面接で簡単に見抜かれ、就活で内定が取れずに、消極的選択の結果、大学院進学を選びます。法科大学院も例外ではありません。
このような若者は社会学的に一つのカテゴリー(適応類型)を形成しています。企業の採用面接を嫌います。企業に、自身の人格の査定をされたくないからです。まことに過剰な人権意識といわざるをえません。
このようなプライドの高い若者の層が、高学歴フリーターや高学歴ニートをつくりだしています。彼らはプライドが邪魔して、無資格の日雇土木作業員にもなれません。なったとしても、対人関係作法の異なるヤンキー出身の雇用主や同僚からいじめられ、職場不適応を起します。
大学院をでてあっという間に20代後半、一般企業正社員入社は絶望。教員・公務員への就職は競争ですので無理・・・高学歴ニートはお先真っ暗です。根拠のないプライドを捨てられるかどうかが、働けるかどうかの最後のポイントです。

2009/7/26(日) 午後 1:04 [ 人事部員 ]


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