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ロシアのメドベージェフ大統領が北海道の北方4島を視察したことが日本で問題になっている。ここはソ連が占領したままになっており、ロシアはその状態を引き継いでいることになっている。メドベージェフはその立場から言うと、大統領として視察をするのに何も問題がないことになる。戦争中に占領地を国王が訪問することは世界の歴史の中ではあったことであり、今回の視察もそのように解釈すれば、そのことが占領地を領有する意思を示したことにはならないだろう。そこは、外交手段で日本が確認しておくべきことであろう。
日本とソ連は講和条約を結んでいない。ソ連は1951年(昭和26年)のサンフランシスコ講和条約の会議に出席はしたものの調印はしなかった。そのため1956年に、領土問題を棚あげにした日ソ共同宣言が調印されて、日ソの国交が回復し、ソ連が国連で日本の加盟に反対しなくなったので日本の国連加盟が実現した。とうじは択捉島・国後島にソ連の対日・対米鉄のカーテンの第一線部隊である戦闘機部隊や地上戦闘部隊が配置されており、ソ連としては、そこを日本に引き渡すわけにはいかなかった。歯舞諸島にはそのような部隊の配置がなかったので、ソ連側は歯舞と色丹の引き渡しで決着しようとしたのだが、日本はその他の島も含めて、いわゆる北方4島の返還を求めてきた。なお現在は北方4島にロシア軍の大きな部隊配備はなくなっている。
日本の降伏後、日本列島に占領軍が進駐してきたとき、ソ連は北海道の北半分の占領をアメリカに要求して容れられなかった。おかげで北海道の本島そのものにソ連軍が入ることはなかったが、日本のポツダム宣言受諾直後にソ連軍が占領した北方4島は、現在でもソ連軍に占領された時のままの状態が続いているといえる。
これは北朝鮮とよく似た状態にあるともいえる。北朝鮮にはソ連共産党政権の傀儡といえる金日成共産党政権が誕生し、そのまま現在にいたっている。北朝鮮に言わせると、韓国は米国の傀儡政権であった南朝鮮の李承晩政府の後裔であって、現在は北朝鮮と朝鮮戦争の休戦状態が継続しているので、戦争を再開することもありうると主張できる。朝鮮戦争勃発時に38度線で南北に分けられていた朝鮮半島は、現在は北朝鮮も韓国もそれぞれ38度線の反対側に占領地を持っており、それが現状になり施政権をそれぞれが持っている。北方4島のロシアによる占領状態は、それと同じような性格のものといえるのではないか。このままの状態が続くと、あと100年後にはこれが既成事実化するとも考えられる。なぜなら旧島民といわれる人たちはまもなくいなくなり、ひ孫の世代になると忘れられた存在になると考えられるので、彼らに対する人情的な配慮の必要性がなくなるからである。問題になるのは現にそこで生活しているロシアの人々のことになる。そう考えると、今のうちに獲得できるものは獲得し、決着しなかった領土権は権利だけは国際的に保留にしておき、最終決着を子孫にゆだねるのが望ましいのかもしれない。
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