軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 宜野湾市長選挙の関連で沖縄防衛局長が、部内で訓示をしたことが国会で取り上げられているが、現地を知らない人々の泥試合としか言いようがない。藤村官房長官が最初は、野党側の風説的な軽率質問といえるような質問をそのまま鵜呑みにして局長を厳罰にするような発言をしていたが、少なくとも形式的には違法とは言えないらしい事実が判明してきたので、微妙に発言を変えている。逆に宜野湾市労働組合が、組合寄りの候補者で現在の仲井真知事と前回の知事選で選挙を戦った人が市長選候補者になったので、その推薦をして名前を積極的に組合員に宣伝していることを、問題にする動きも出てきている。
 この程度のことは過去のどの選挙でもあったことであり、背景団体の暗黙の推薦や水面下での活動がなければ当選しなかった国会議員は多いだろう。教職員組合が教師仲間に働きかけをするのであれば、自分たちの地位改善という名目があることになるが、その枠を越えて、教室で授業に名を借りて生徒に伝え、その親に働きかけをするなどという過去の事例と比べて、防衛局長が、特定候補者の名前を挙げることなく、公務員として選挙権を正しく行使しなさいと訓示するのが悪いことなのか。市役所の放送担当者が、選挙委員会からの要望により市の一斉放送で、明日の市長選には必ず行ってくださいと放送するのは、職務のうちであろう。たまたま防衛上微妙な状態にあるので、公務員の管理者としての立場で部下に、選挙に行きなさいという指導をすることはやめなさいというのでは、筋が通るまい。
 沖縄には、本土復帰後に本土から左翼系の活動家が多数侵入し、本来の沖縄の人の意思とはいえない自衛隊反対運動が繰り広げられた。アメリカが沖縄統治権を日本政府に返還したのは、米軍による占領状態が継続しているなかで現地の人による反米、反基地闘争がひどくなってきたので、防衛責任の一部を日本(自衛隊)に肩代わりさせ、日本政府に住民対策を任せれば、アメリカは余計なことにわずらわせられることなく世界をにらんだアメリカの軍事戦略を、実行できるからというのが、本音であった。
 現地の人は、日本に復帰すれば、いまいましい占領地行政から抜け出せるとして、多くの人が制約付きであっても復帰に賛成した。しかし本土から入ってきた左翼系の人々が自衛隊を米軍と同一視し、また沖縄戦で追いつめられて住民をないがしろにした一部の日本軍兵士たちと、やってきた自衛官を同じものとして宣伝した。そのため学校では左翼系教師たちによって反自衛隊闘争が進められ、その影響がいまでも現地に残っている。自衛官の子供はそのような教師により学校で無視され迫害されて、その影響で現地の子供からいじめられる事態も起こった。やむをえず子供を本土の実家に預けたり、本人だけの単身赴任にしたりという自衛官が多数いたことを見聞きしている。
 そのような過去の事実があるので、米軍と住民とのトラブルや防音工事、基地問題などを担当している沖縄防衛施設局は、あらゆることを慎重に進めている。現地採用の職員も多いので、そのつてで基地問題の解決に努めることもある。ただ局長など本土、特に中央からやってくる幹部職員には、本土と同じ官僚感覚で仕事を進めようとする者もいるので、現地の反発を買う場合があることは事実といえよう。これまでの沖縄政策を見ていると、中央の政治家・官僚は、現地の人々やその置かれている事情を知らないようだ。各省から、外国に外交官として派遣されたり、派遣留学生として省の命令により外国の大学に行くものは、出発前に研修をしている。沖縄は日本の一部なのでそのような研修は行われないが、やはり現地とのかかわりをもつ前に、その特殊な事情を知るために、ある期間、何らかの事前準備をすることが必要だろう。これは防衛大臣ほかの関係大臣についてもいえることではないか。鳩山由紀夫元首相のように、何もわからないままに沖縄に混乱だけをもたらした人の勉強不足の責任は、追求しても追及したりないが、これからの政治家は、これを教訓にしてもらいたい。

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