軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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イメージ 1 沖縄からグァムへ移転するはずの8000人の海兵隊員の員数が、当面4700人になったとして沖縄関係者に動揺が広がっている。併せて沖縄中部の瑞慶覧(ズケラン)にある海兵隊司令部関係の機能を、岩国に移転するのはどうかという米側からの打診があったらしい。
 岩国の基地は、海上自衛隊の飛行艇や電子偵察機などの特殊な航空機の部隊と米海兵隊の戦闘機部隊が駐留する日米共同の基地である。すでにここには厚木の米海軍機も移転してくる予定になっているが、沖合いの埋め立てをしていて滑走路が新設されているので、移転後の航空機の運用に大きな支障はない。ただタッチアンドゴーと呼ばれている離着陸の反復訓練が騒音源になるので、それをどこで行うかが問題になっている。これまで臨時に、はるか南の硫黄島で部分的に行われていたが、それでは、せっかく前線から日本に休養のために帰ってきたパイロットや整備員たちに負担を強いることになる。訓練中は日本に来ている家族の下に帰ることができず、娯楽施設もないので、前線にいるのと同じことになるからだ。本州から片道燃料ぎりぎりの位置にある硫黄島は、飛行機でも簡単に往復できる場所ではない。そこで種子ヶ島近くのマゲ島など、比較的近い場所にタッチアンドゴーの訓練場所を確保したいのだが、これも地元の反対で場所の選定が容易ではない。
 そこに普天間の基地移転問題が重なっているので、米軍も困っているのだろう。とりあえず海兵隊の航空部隊司令部を岩国に移転し、最終的には瑞慶覧を沖縄に返還すれば、沖縄の人々をいくらかでも納得させることができるのではないかと考えているのではなかろうか。これまで何度も書いてきたが、海兵隊は緊急時に真っ先に前線に投入される部隊であり、最小限のものは中国・台湾や朝鮮半島に近いところに置いておきたい。普天間を沖縄に明け渡すためには、辺野古といわれているキャンプ・シュワーブへの移転が戦略的には最良である。
 沖縄県民の総意といわれている普天間の県外・国外移転は、アメリカの戦略からみるかぎり当面は難しい。そのことを考えずに反対していても、先行きが見えてこない。反対運動のために、移転が日米政府間で交渉されるようになってから10数年がむなしく過ぎてきた。計画通りだと、8、9年前に移転が終わり、普天間は安全な県民憩いの地になり観光地としても発展していたはずである。普天間は那覇と名護の中間にあるのだから、名護の観光産業の発展にも足がかりを与えることになったと思われる。
 シュワーブへの普天間基地移転は基地新設ではなく、すでにあった基地を沖合いに拡張するだけであった。何十年か先には、埋め立てられて面積が増えた土地が、子孫の県民のものとして還ってくる。沖縄の他の地域では、海面埋め立てが、普天間の失われた10年の間に進行し、観光産業にも役立っている。意地になってシュワーブ移転に反対していると、名護市民が失うものが多くなってくるのではないか。普天間基地の現状は、このままだと固定され、あと、少なくとも10年は続くだろう。
 東北の人たちは津波や原発の災害、沖縄にはない雪害に、苦しんでいるが、そのなかで復興に向けて歩んでいる。沖縄の人たちもいつまでも大東亜戦争のトラウマを引きずっているのではなく、前向きに生きていくべきだろう。また名護市民が数百年前の北山王朝時代の対抗心から南・中王朝の県政に、ないものねだりをしているのであれば、現代的に考えを改めるべきだろう。(写真は名護の今帰仁城)

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