軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 中国で日本大使の車につけられていた日章旗が、故意に奪われ廃棄された事件で、中国政府は犯人を五日間の拘留処分にしたと日本側に伝えてきた。日本で言うと軽犯罪法上の罪であり、他人に付きまとって進路を妨害し、表示物を取り除いたとされたのであろう。
 逆の立場の事件が、 昭和33年に、日本人右翼の青年により行なわれている。当時国連では、台湾の国民党政府(中華民国)が代表権を持っていたのであり、中国共産党政権は正式の政府とは認められていなかった。その政権の五星紅旗が、長崎で日中友好協会の手で行われた行事の会場に掲げられていた。これに対して台湾の国民党政府は日本にクレームをつけていた。そこで日本人右翼の青年がこの旗を引きずり降ろしたのであるが、この事件に対して適用されたのが軽犯罪法であった。日本の刑法には、国交に関する罪として外国国旗除去損壊についての刑が定められており、2年以下の懲役または罰金にすることができる。しかし軽犯罪法では、風呂場ののぞきや立小便と同じで、拘留か科料が科されるだけである。当時の日本にとって五星紅旗は、法律上は装飾品にすぎず、刑法の適用外であった。
 しかし今回の事件で中国政府は、このときのお返し程度の感覚もあって、軽い処分したのではあるまいか。日本の憲法には国旗についての定めがないが、現共産党政権が定めた中国の憲法には、五星紅旗を国旗とする定めがある。国際法上、外国の国旗は自国の国旗同様に尊重すべきものになっているので、日中の国交がある現在は、中国にとって日本の国旗は単なる物品ではなく、日本の大使以上に尊重されるべきものであろう。それも大使の公用車につけられていた日章旗なので、なおさらである。長崎事件の場合とは状況が違う。
 この事件についての日本国民の反応は弱い。中国人よりも訳知りになっているからともいえようが、戦後これまで、外国旗も含めて国旗が国を象徴するものである大切さを教えてこなかった教育の影響が大きいといえよう。よくアメリカなど外国の国旗を、パンツにデザインしているものを見かける。外国の国旗を尻にしくことは、その国を侮辱していることになるのだが、今の日本人には失礼という感覚がなくなっているのではないか。反省が必要だ。
 四角四面にいうとこれまで述べたようなことになるが、中国政府も国内事情があり、犯人を拘留をしただけでも外交上はよしとせねばならないのが、当面の日本の立場なのであろう。外交には裏がある。日本の青年が、長崎事件と同じように軽率に行動することがないことを祈っている。

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教え受けました

長崎の事件
この記述で
ボンヤリおもいだしましたー
ただ事後処理は
ここで教えいただき
知りませんでした

ありがとうございました

なにかのとき
記事転載許可
ヨロシクデス

2012/9/5(水) 午後 3:09 [ sekiya ]


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