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自衛艦が中国艦から射撃レーダーの照射をうけたという事件にひとこと。防衛省は中国の脅威を国内だけでなく国際世論にも訴えることに方針変換をしたなというのが第一点。次に米元国務省の日本部長であったケビン・メア氏が日本の国会内で、この事件について個人的見解をのべたことについての解釈が第二点。
アメリカはアジアで中国と深く対立することは避けたいと思っているようだ。しかし経済を含むあらゆる面で、日本とも親密にしておきたい、そのため来日した要人たちが、対中国の安全保障上の問題について、日本政府に働きかけをしているのであろう。経済的には、日本のTPPへの参加により、自国の市場が拡大することにも期待感がある。
アメリカの働きかけの結果、海上自衛隊はこれまで公表することをしてこなかった自衛艦の行動と中国側の反応についても、防衛大臣の口から公表することに踏み切ったと思われる。中国艦によるレーダー照射ていどの事件は、過去にもあったはずである。冷戦時代にソ連爆撃機が、スクランブルした自衛隊の戦闘機に対して乗員が機関銃を向けてきたことは珍しくなかったらしい。これまでは日本国民に、反自衛隊感情が強かったために、そのような事実が公表されることは少なかっただけであろう。
中国海軍の現場指揮官としては、自国の海と主張しているガス田や尖閣諸島がある東シナ海中央の海洋に進出してきているにもかかわらず、その軍艦の周囲に、付きまとい監視している日本の自衛艦がわずらわしいであろう。部下の兵の士気を高めるために、訓練として日本艦に向けて射撃の準備的な命令を発することは考えられないではない。特に習近平共産党軍事委員会主席に激励されたばかりの指揮官たちは、積極的に行動することについてお墨付きをもらっていると考えていても不思議ではない。かれらは日本の自衛官のように、国際的に非難されることがないように常に気を配っているわけではないと思われ、愛国教育によって中国中心の中華思想でかたまっていると思われるので、照射ていどのことは、深い考えなしに実行しかねないと思われる。かつて潜水艦で、国際法を無視して宮古島付近の海を潜水したまま通過したとされている事件も起しているのが、中国海軍である。
さてメア氏の発言についてであるが、その現場には私も出席していた。私の受けた発言の印象は、表向き民主・人権を大切にし、いっぽうでアメリカの国益を第一にするアメリカの政治家的なものだと感じただけである。海軍の運用上の問題については、レーダー照射が通常の国際的に認められる限度を超えたものであるといえることを述べただけで、領土問題については、アメリカの中立的な立場を崩すつもりはないという米政府の態度について述べている。ただしアメリカは日米安保条約により、この地域で紛争が起こらないように自国の国益のために介入するというのが本音であり、日本も、そのようなアメリカをうまく利用することが必要であろう。
そのためには、普天間基地の沖縄本島内移設は避けて通れない。馬毛島等の米艦載機の離着陸訓練基地の確保も課題になる。日本政府と沖縄県の意見が相違していて、アメリカなら一ヶ月で決まることがなかなか決まらないのにメア氏は苛立っていた。最後は何かの事件を契機にして表向きの理由を付け、決着させるのがアメリカではないか。日中の海上での衝突事件が、その理由にならないように祈っている。その前に国際的な対中包囲の宣伝戦と沖縄県内での広報を繰り返す必要がある。事態を日本の安全保障策に有利に転換させるため、外務省が防衛省や財務省他経済関係省等とも連携した努力をすることが必要であろう。
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