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ボストンの爆発事件についてはFBIなどの当局が捜査しており、特に述べることはない。アメリカはイスラム過激派とも中国や北朝鮮とも対立しており、テロだとすると人々の頭はすぐにそちらに行ってしまうだろうが、アメリカ国内にも、オバマ大統領と反対の立場にいる人々が存在することも考えてみるべきであろう。銃の所持規制問題でさえ、規制に反対する人たちがいわば金で議員の票を集めて規制する法律の成立を阻止したというのだから、アメリカの本質がそこに見えてくる。日本の政治も金で動く面が強くなってきているが、アメリカの悪い点を見習わないようにして欲しい。
海岸部の森林地帯や砂漠のような荒れた土地に入植し、そこを開拓しながら大西洋と太平洋をつないで、その外側にも安全圏を確保してきたアメリカは、第二次世界大戦で日本を押さえ込んだ後は、ソ連の勢力拡大を押さえ込み、今は、中国とイスラムの膨張とも向き合い、対立している。日本と歴史も風土も現状もちがっていることを考えずに、日本がアメリカ流のやり方をそのまま取り入れると、つまずくことは目に見えている。日本はアメリカの勢力圏に入ってしまっているので、経済、軍事、外交など、対外的な関係が生じる分野でアメリカの影響を受けずにあらゆることを進めることはできない相談になっている。しかしそれだけでなく、たとえば刑務所の運営を民間に委託することを検討したり、猪瀬都知事がニューヨークの地下鉄のように都バスを24時間運転にしたいといいだすなど、内政問題にアメリカのやり方をむやみに取り入れると、日本の風土や風俗習慣に合わないものが出てくることを十分に考える必要がある。ニューヨークの地下鉄は、夜間は強盗の巣窟であったのを取締りによりようやく今のような状態にしたのであって、日本でそのような施策を真似すると、地下鉄もバスもたちまち治安不在の危険な乗り物になってしまうのではないか。
日本では一票の価値の格差が大きな問題になっているが、もともとは中選挙区制で一選挙区で多数が当選し、そのなかでいろいろな政党の議員が選ばれていたのを、政党の都合で小選挙区にしてしまったことから問題が始まっている。そのときに外国の例が示されて、それを部分的に修正し比例代表という形が生まれた。その結果、憲法が頭数で一票の価値を同じにすることを決めているという理屈で、最高裁が、現在の小選挙区比例代表制が憲法に違反していると主張しているともとれる判断を示している。これはたんなる議員定数の0増5減では、憲法違反状態を修正したことにならないということにもなる可能性がある。
問題は完全に人口割で議員定数を決めるべきだとする考えにあるのではないか。それを突き詰めて考えると、たとえば人口が少なく各地に分散して居住しているアイヌのような人や、漁師のような水辺て゛しか生活できない上に総人口もそれほど多くない人の票は、一般の人に埋没してしまって国政に生かすことができないことになる。これは憲法の改正を必要とする問題である。人口割りだけではなく他の要素を入れていくためには中選挙区が適当だと思われるがどうだろうか。中選挙区は選挙に金がかかるというのが小選挙区にした理由のひとつにあげられていたが、金を使う必要がない政治と選挙たとえば、ネット選挙はその方向に沿う制度といえよう。なお道州制が、アメリカ的な観点と政府の統制しやすさの観点から進められようとしているが、これには選挙区の広さについての政治家の思惑も入っているのではないか。歴史的に形成されてきている地形地理を考えた圏域を無視すると、東日本大震災のようなときに、連絡や情報のやり取りが難しくなることも頭においておき、それと選挙区の広さについても関連して検討する必要があろう。アフリカや中東の対立は、イギリスやフランスなどが人為的に適当に国境線を引いたことから始まっている地域が多い。コンゴやスーダンのように人種や部族の違いを無視して線引きしたところがその例である。ユダヤという国を人為的につくったことも、そのひとつであろう。
いずれにしろ先進国と呼ばれている国々が人種や風土の違いを無視して定めた国境や、風俗習慣を無視して押し付けた制度、思想が争いの根本にあるのが世界の現状である。日本もそのような教訓を考えて、地理や風土、風俗習慣の違いを無視してむやみに外国の制度をそのまま取り入れようとしたり、国内にあった歴史的な地域の違いを無視して、上からの目線で選挙だけでなくあらゆる制度をつくりあげようとすると将来に禍根を残すことになることを充分に認識している必要がある。
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洞察力に富み、冷静で、広い世界的な視野に立った思慮深い論考にいつも学ばされます。
民族性や歴史の違い、週間や風土を無視して制度や施策を押しつることは、将来に禍根を残すことになる──というのは、その通りだと考えます。
たとえば線引きで書いたようなまっすぐな国境線の付近で絶えず悲惨な紛争や事件が起きてきたアフリカがそのひとつのよい例だと思います。
ナイスです!
2013/4/20(土) 午後 11:53 [ TABIBITO ]