軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 JR北海道が特急列車の事故の多さに音を上げて、時刻表で大幅な速度低下をすることを発表した。東京電力も原発の事故対応に追いついていけず、政府に頼ることになった。JALが内部改革ができずに倒産し、個人株主に損失を押し付ける形で経営を立て直したのも、つい先ごろのことである。おかげで純粋の民間航空であるANAが経営上の悪影響を受けている。
 国営企業や公務員の仕事ぶりが、利益第一の働き蜂になっている民間企業の従業員に比べて非効率だといわれるのはその通りだと思う。しかし日本の民間企業にアメリカ的な経営を持ち込み、短期間の業績向上による株主への配当増加という方式をとり、働き蜂の使い捨てになっている民間の現状を好ましいと思っている人は、恵まれた一部の人たち(高給取りの大企業正社員やアメリカ式の経営者)だけであろう。恵まれない働き蜂が公務員の状態をうらやましく思うのは、自分たちに比べて給料が高く安定した生活が保障されているからであろうが、政府の発表によると、欧米先進国に比べて日本の公務員が多すぎるというわけではないらしい。人口当たりでそれらの国の4割から6割でしかない。もっとも統計のとり方に問題があり集金のように日雇い的な公務をしていたり、独立行政法人に衣替えした大学の組織などの職員は計算外のようである。それにしても外国と比べて多すぎるということではないようだ。
 公務員になるにはそれ相応の試験を受けなければならないので、学校時代の劣等児は公務員の生活をうらやましく思うだけで、仕方がないという諦めもあろう。しかし中以上のレベルの人たちは、公務員、それも管理職以上のものが定年後に天下りで、少なくともそれまでと同程度の収入を得て、地位も比較的高いのにイラつくということがあるのではないか。天下りを最初から拒否していた私は、その点について比較的公平な立場で物を見ることができると思っている。
 そこで最初に掲げた天下り経営者が多い国営企業に近い会社で問題が起こるのはなぜであろうかを考えてみる。もともとの民間会社は利益一点張りであってもそれほど問題視されない。政府が民間企業の効率性(人物金の収益に直結し、少なくとも間接的に収益向上に奉仕するもの)に学べと主張しているのは、そのような風土のなかで育てられた組織の運用原理が民間にあるからだろう。しかしいっぽうで、安全性のような当面の収益の足を引っ張るものは二の次になる。そこで原発事故のような結果になる。
 天下り経営者は収益という思考に慣れていない。命令すれば安全も考慮して組織が動いてくれるものと思っている。しかし民間企業に就職したからにはそこの収益要求にもこたえなければならない。そのため職員のストライキで人が動いてくれないことになるような事態は避けようとする。収益があがれば職員の給料も上がるので問題は起こらない。それがうまく機能していないのが中国の国営企業であろう。収益の相当部分が共産党幹部である上層部の懐に入る。下層の役人も汚職に励む。日本はそこまでひどくないにしても、天下りの元役人が少なくとも役人時代と同じ金額を手にしている。企業を理解し積極的に組織を発展させようとする元役人もいるが、そうではなく現状に満足している人も多い。積極的な人は試行錯誤しながら、国家という上からの目線で将来を判断することもできるので、収益一点張りの生え抜きよりは好ましい結果をもたらすこともあるが、なにしろ定年後という高齢者で,そのようなことができる人はかぎられている。
 民間の収益を基にした組織運営にも、官僚の法律を基準にした行動原理にも、あるいは戦場という非日常的な場での行動原理による軍隊の組織運営にも、それぞれの特色がある。そのことを理解している人が国の舵取りをして、日本を繁栄に導いてくれることを期待したい。人物金の面で言うと、民間的に当面の節約だけをいいたてて安全、これには国家の安全を含むが、これをないがしろにすると国が滅びることになりかねない。官僚的に、法令をつくってからというのでは時間がかかるし、必要なときに法令の枠を超える判断はできない。非常事態の戦場では、国家の存続と法令の枠を比較して国民の利益になるように判断し行動せねばならないが、平時にそのようなことだけで組織を動かすわけには行かない。組織の運用は難しい。嫡出子の最高裁判断で民法の改正が問題になっているが、これもあらゆる事態を考慮して慎重にやって欲しい。非嫡出子の差別には問題があるにしても、アメリカのように生物的には結婚ではない同性同士の共同生活を結婚扱いするようなになることには問題がある。別の観点からの施策をすればすむことを、むりにひとつの枠に収めることをしないようにして欲しい。

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何か極端な二者択一論で大局的かつ横断的にモノを見る人が少なくなった、特に指導者に関してはそうでしょうか。

公務員については民間ではできない非効率な部分を担わせる意味では存在は必要です。そもそも軍事なんて非効率の最たるもので、これは傭兵とかは別として組織として民間企業でやる事は出来ないです。

JR北海道の決断、これはどうなのでしょうか。ある意味上昇志向の反対でしょうが、方向性を考えるいい機会になるかもしれませんね。

傑作

2013/9/6(金) 午後 0:41 千葉日台


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