軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 国会では安保関係の議論が盛んだが、一般の人には分かりにくいだろう。いくらかでも分かりやすい事例を挙げて説明してみたい。
 ① 自衛隊は地球の裏側まで進出するのか     周辺事態対処とどう違うのかというと、PKOによる道路つくりや給水支援などはこれまでも遠くでやってきているが、武力行使を正面に押し出していない行動であれば、地球の裏でもできる。イラクでの民間給水支援はそれに近い行動といえる。しかしイラクでは、ゲリラ部隊が柵外から自衛隊の駐屯地をミサイル攻撃する事態も起こった。この場合ただ宿舎内に閉じこもっているだけでは、命中弾により犠牲者が出る恐れがある。ミサイルの射程外に相手を追い払うぐらいの行動は自衛とみなすべきだろう。派遣をするときに、自隊防衛用の装甲車を持参するかどうかといった装備品については国会で審議されてから派遣されているのだから、その審議内容をイラクの場合以外にも適用できるように法改正するのに問題はないのではないか。攻撃されている現場での判断はその場の指揮官に任せなければ、対応が間に合わない。対応の命令は寸秒を争うからだ。
 
 海外への派遣ではなく、例えば北朝鮮の弾道ミサイルが東京都心めがけて発射されたときは、反撃してそのミサイルを撃ち落とす判断は現場の指揮官に任せられていなければ間に合わない。国会の審議事項ではないし総理大臣の判断によるとすることにも問題がある。ふつうはそのような事態になる前に緊迫した外交のやり取りや相手の領空侵犯の繰り返しなどがあるので、自衛隊に防衛準備態勢の強化が防衛大臣から命令されているだろう。その場合も、防衛大臣や総理大臣が、総司令部に詰め切りというわけにはいかない。限られた範囲で高級の司令官・指揮官に権限が委譲されていなければ即座に対応することはできない。そのような基本的な態勢や運用法についての法整備をしておこうというのが、防衛法制の現在の審議と考えてよいのではないか。
 ② 集団的自衛権     「集団自衛権」のように的があるのとないのでは意味が違う。的がないのは国連憲章による連合軍行動であり、第二次大戦同様の連合軍に加わって、後方支援に限らず戦闘行動をするのとほぼ同じと考えてよかろう。それとは別に日本が周辺国などからの侵略に対して自衛を全うするためには、米軍の協力が必要だというのが、戦争・戦闘の現場を知っている自衛官である。的があれば、日米安保による行動の場合のように、両国が相談して日米防衛協力の指針(ガイドライン)を決めて行う集団的自衛権の範囲でということになる。これは平時・戦時を問わずに内容を決めることができ、両国の分担(補給、輸送、衛生など後方支援と作戦分担)や装備の内容も考えて決める。尖閣対応を保安庁が行っているグレーゾーンの対応内容や行動地域についても当然、協議の対象になる。もっとも保安庁は独立性が強く、縦割り行政で防衛省との連絡に難しい点があるが。これは警察も同じだ。
 日本は国連軍に負けたのであり、ポツダム宣言受諾の結果にある程度縛られていることはやむを得ない。その状態から脱するためには、今後100年もかかるのではないか。日本防衛を米軍に頼るところがあるのは、現在の状況ではやむを得ないところがある。ナチスの影響が残っているドイツは日本よりも問題を抱えている。そのためコソボ爆撃など米欧の軍事的一員として攻撃軍を出すこともしている。日本は単純に辺野古はダメと言っていたのでは、琉球列島は中国のものになってしまうだろう。鳩山元総理のようにそれでもよいという人は、別だとしても。

転載元転載元: 軍事評論家熊谷直の社会評論

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