軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 フィリピン大統領が国賓として来日されたが、羽田空港で自衛隊が礼砲21発を撃ったという報道に対して、弾がもったいないとか相手を威嚇しているのかといったインターネット上の反応があったのにびっくりしました。日本人の平和ボケがここまで進んでいるのかと情けなく思ったからです。これは国際的な儀礼であり、日本の天皇が外国に公式訪問されたときはもちろん、中将クラスの司令官級指揮官が招待されて外国訪問をするときでも、階級に応じて相手の国や軍隊から同じような扱いを受けます。昔、軍艦が海外訪問の主要な手段であったとき、相手国の元首に敬意を表し敵意がないことをすために礼砲(空砲)を発射し、これに対して相手の海岸砲が答礼として空砲を発射していた慣習によるものです。実弾か空砲かは、発射音の違いでわかります。自衛隊には、来日首脳に対する護衛の任務に就く意思表示をする儀式専門の儀仗隊があり、礼砲発射専門の部隊もあります。
 明治時代に日本側が答礼をしなかったために相手から苦情が来たので、東京湾から神戸に入ろうとしていた相手国の軍艦を追いかけて行き、国際的な儀礼の交換として、礼砲の義務を果たしたという話があります。そうしないとこれが儀礼問題から戦争の口実になることもあったからです。 忙しい今の時代には儀礼は簡略化されてはいるようですが、国際的な儀礼は重要であり、宮内庁がアメリカのケネディ駐日大使の着任後の天皇拝謁時に、馬車を差し向けたのもその儀礼のひとつです。羽田は空路の国際港であり、礼砲を撃ったとしてもおかしくありません。
 なお六月四日NHKラジオの「今日は何の日」の放送で、気象庁がアメリカ式の台風キャサリンのような呼び名を、台風8号のように番号に改めた日だと紹介していました。このこと自体は正しいとしても、日米戦争中は天気予報そのものが軍事上の秘密になっていて台風の報道はされなかったし、戦前は番号で呼ばれていたことが記憶にあります。古い慣例慣習を知る人が、若い人だけでなく報道原稿をチェックする立場の人にもいなくなって、世の中がその面からも変わってきていると感じる昨今です。NHKテレビでは、人気番組の「鶴瓶の家族に乾杯」で、土佐の南国市の名物として紹介されていた軍鶏(シャモ)や尾長鳥(長尾鳥)のうち、尾長鳥は鶴瓶師匠もスタッフのほとんども名前さえ知らないので、地元の人をがっかりさせていました。地方の活性化はメディアが大きな役割を果たすと思われますが、チャンネル数だけが増えて中身に多様性が失われ、関係者は忙しいだけで稼ぎが少ない番組は消えてゆくという傾向を政治が変える努力をすべきではないでしょうか。
 

転載元転載元: 軍事評論家熊谷直の社会評論

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