軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

全体表示

[ リスト ]

 共産中国では、初めての理系の女性ノーベル賞受賞者が出たということで、国民一般は喜んでいるようです。これは今回発表された日本の大村智教授と同じ生理分野で成果を分け合った形であり、単純に考えると喜ばしいということになります。しかし共産党政権は、すべてを自分の管理下に置きたいという性向からそれほどの関心を示していない。過去の中国人の平和賞や文学賞受賞は、反政権的な内容が賞されたのであり、西欧の内政干渉として受け止められているからです。今回のものも日中を並べているところに政治的な意図を見ているのかもしれません。
 中国人は理数的に劣っているわけではなく、アメリカ国籍を取得した留学者や他国生まれの中国系の人の理数系受賞者は沢山います。人口が多いのですから、研究費面やその他の研究環境面がよければ、研究成果を評価される人が増えて当然でしょう。その意味では、宇宙開発や軍備面を除き、共産党支配の現状が続くかぎり、真の意味でのノーベル賞受賞者が出ない状態も続くということになるのではないでしょうか。
 共産中国の研究環境は、第二次大戦中の軍部が力を持っていた日本と似ていると言えます。それでも大戦前の日本は、帝国大学にそれなりの研究環境があったので、戦後間もない時期に、湯川秀樹京大教授にノーベル物理学賞(紙の上の素粒子研究)が与えられるという国民に夢を与える快挙になりました。中国はこれから、いつ共産党支配が終わるのかが、国民に夢を与える機会を左右することになるでしょう。個人の精神の自由がなければ、いくら経済的に国が潤っても多くの人々は、自分には関係ないよと言うだけでしょう。その点で今の日本は、恵まれているといえるのではないでしょうか。ネット上の中国人が日本を羨むのもむべなるかな。爆買いして物質的なものだけを追求する人もいるでしょうが、平凡安穏な幸福を追求する人が多いのが日本の特徴で、過去の水田稲作の共同生活の中で歴史的に培われてきた性向といえるのではないでしょうか。他の民族からの侵略を受けることがなかった島国という環境も幸いしており、グローバル化で昔のままの生活を維持することは難しいにしても、最小限の独立のための軍備をもち、国際的にもあるていどの軍事的協力ができる体制を維持することは、これからの日本に必要なことではないでしょうか。
 
 

転載元転載元: 軍事評論家熊谷直の社会評論

「軍事評論家熊谷直の社会評論」書庫の記事一覧


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事