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国会議員の選挙について最高裁が、選挙人の頭数に応じて地域別定数を定めるべきだと判断しているととれる内容を示したため、選挙区の定数の法改正が行われようとしているが、憲法47条は、「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙」に関する事項は法律で定めることにしているのであり、国会が法律を制定するにあたって地域の議員数を住民の頭数に厳密に比例すべきだとする意見に大きく縛られることは問題だと考える。あくまで憲法43条がいう「全国民を代表する選挙された議員」の内容で考えるべきであり、「全国民の代表」という内容に地域の特性や職業上の特性のようなもの、あるいは地域の広がりなど人口だけでは決まらない要素を含ませるほうが憲法解釈としては正しいのではあるまいか。北海道のような広大な地域と、東京のように人口が多いが低所得者も多く、また職業も多様な地域を、単純に同じように扱うことには問題がある。司法の判断は訴えられた範囲内で下されるものであり、現在のように頭数だけを取り上げて訴訟をしているかぎり、最高裁がその範囲外の要素についてまで含む判断をすることはできない。
アダムズ方式という人口比例を重視する方法で、衆議院議長の諮問機関である学者グループが、衆議院の7増13減の選挙区各ブロックの議員定数増原案を示しているが、そのように単純に決めてよいものだろうか。私はもし、人口にこだわるのであれば、人口密度の比例で決めるべきだと思っている。なぜなら人口密度が高い東京のような地域では、交通が便利でお互いの意思を疎通する機会が多いと思われるからであり、また富も集中していてメンバーが利用する金融機関も多いので、議員定数も、そうではない田舎に比べて割合としては少なくてもすむのではないかと思うからだ。その基準になるのがお互いの距離を二乗して示す面積あたりの人口、つまり人口密度の比較で考えるのがよいと思う。たとえば首都圏の人口密度は、日本の各県の標準といえる宮城県の1平方㎞300人ほどの約10倍であるが、狭い首都圏から宮城県の10倍の数の衆議院議員を出すのが合理的だとは、だれも思わないであろう。そこで最少議員定数一人を別枠にするという考えが出てきて、それを歴史的な事情で修正してきたのが現在の定数なのではないか。単純に人口比例を基礎にすると言ってはならないと思う。私個人としては、数理的にみて、人口密度の平方根( 正確には距離の二乗の逆数といえる面積当たり人口、人口密度から導く)を基にすればよいと思う。つまり人口密度が10倍ならその平方根で比較して東京近辺はルート10=3.14で 宮城県が1 だとするのである。
さらにもう一つ付け加えておくと、参議院議員に農業県であるとか工業県であるとかの事情を考えてものをいうことができる人物を地域代表として選び、さらに弁護士、医師、その他の自由業が多い都会地からそれぞれの状況を考えた職域代表を選出して国会に送り込んで活動させ、主として「全国民を代表する選挙された議員」の一部としての参議院議員に、地域・職域代表の役割を期待すべきではないか。衆参両院の役割分担がここで出てくる。
参考までに地方議会の定数について見ておきたい。憲法の地方自治の規定と地方自治法を根拠にして、人口数百人の村でも選挙で選ばれた数人の村会議員を置いている。この考え方は、議員の選挙というものが単純な人口比例ではないということを示していると考えられる。もちろん小さな農村に100人もの議員を置くことは常識外であろうし、二人ということも議会構成上の問題がある。最低と最大の範囲内で適正な員数が選ばれているのが地方議会の議員であろう。私は研究者としての軍事評論家であり、国会はもちろん、地方議会にもかかわったことはない。純粋に法理的にこのような意見を述べている。
憲法改正は、このように司法の在り方や議会の議員の選挙の在り方にもかかわりがあり、9条だけの問題ではない。その他の条項にも改正すべき問題点は多い。それにもかかわらず一切の改正を拒否している人は国民のためを思って発言しているのではなく、自身のために発言しているのではないかと疑われる。国民の9条アレルギーを利用しているのではないのかの見極めが必要であろう。安倍政権も安保関連問題だけを改正の目玉にすべきではあるまい。
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固定数+人口比例数=定数
経済の固定費と変動費があるようにすればよい。即ち県毎に割り当てえる議員数とその県の人口数に比例する議員数とする。
2016/1/16(土) 午後 3:52 [ blo***** ]