軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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  安倍首相がハワイ真珠湾の記念艦アリゾナを訪問しオバマ大統領とともに慰霊行事を行ったことは、日米関係を改善するうえで効果があったと評価すべきであろう。今年は中国海軍が力をつけ、その力を背景にした共産中国政権が、太平洋の西半分を自己勢力圏にしようと、アメリカと取引をした年であった。宇宙開発に遅れをとり核開発についてもアメリカに従属せざるを得ない立場にある日本は、共産中国にとってはアメリカの一州に過ぎない。自衛隊はいわばアメリカの州兵である。州兵は災害派遣に対処する能力は持っているが、共産中国と独力で戦う能力は持っていない。それでいてもし米中戦がはじまれば、軍事的に米軍に協力せざるを得ない立場にある。共産中国がみくびるのは当然である。このことは朝鮮戦争やベトナム戦争で日本が米軍の後方支援基地の役割を果たしたときのことを振り返ってみれば否定できない。
 ただ共産中国の現在の行動は、日露戦争後から日米戦争敗戦までの大日本帝国の行動によく似ている。当時の日本は、資本主義的な要求からくる衝動と共産主義が跋扈した世界情勢に動かされるままに、陸軍の力を背景にして満州に進出することとなった。その過程で第一次世界大戦でイギリスの要求に従って太平洋だけでなく地中海でも一定の役割を果たした日本海軍も、南方資源に手を伸ばし米英蘭と対立することとなった。ワシントン条約やロンドン条約の軍縮で対米、対英6割以上の見かけ上の力を持つようになった日本海軍の軍人におごりが生じたからともいえよう。もちろんその裏には政治経済上の要求が存在した。現在の共産中国と内情がよく似ていた。
 歴史は繰り返す。日本と比べて後発の共産中国政権が、日露戦争後の大日本帝国と同じような道をたどることになる可能性は大きいのではないか。今は艦隊だけでなく核兵器や宇宙兵器も軍事力に加わっているので、そのような総合力としての軍事行動が共産党独裁行動の背景になるのであろうが、最近中国は軍事組織を、全国実戦部隊を五大戦区という地域ごとに三軍統合された組織に改めた。沖縄や台湾を対象にしているのは南京に司令部を置く組織であり、尖閣列島を担当しているのはこの東部戦区と呼ばれるものを担当する司令部である。南シナ海は廣州に司令部を置き、海南島に主要海軍基地を置く南部戦区の範囲内である。
 尖閣列島の占領をもくろみ、さらに琉球列島全部を占領しようと共産中国軍が動き出したときに、自衛隊と沖縄の米軍が最初に相手にすることになるのが東部戦区の部隊である。そのときに共産中国のために行動しようと待機しているのが沖縄本島で基地反対運動を繰り広げている一派であろう。基地付近の住民の多くはかれらに道路などを占拠されて困惑しているとのことであるが、日本本土の人々が沖縄の新聞などをニュース源にしている限り聞こえてくるのは、反対派の声が住民の声だとする真実から遠いものばかりである。これが現地を自分の目で見て役所の担当者からも住民からも実際の声を聴いているだけでなく、半数近い若い人の層からも現に情報を得ている私の所見だ。つまり共産中国の琉球侵略の行動はすでに始まっているのにと、いいたいのだ。
 この状況は、日本陸軍が明治以来上海などに情報関係の特務機関をおき、蒋介石たちと裏取引していたのと変わらない。共産中国の行動は、日露戦争後から大正時代に日本の特務機関が蒋介石や孫文の行動を援助して清国を倒した辛亥革命などのときの態度に似ている。さらには日本陸軍が満州に清国の廃帝溥儀を連れてきて満州国皇帝に仕立てたのと同じようなことを、共産中国の息がかかった少数の基地反対派が行う可能性がある。再度言っておくが鳩山由紀夫元民主党総理は、完全にそのような共産中国の側に取り込まれてしまっている。しかし中国に利用するだけ利用されたのちは、廃帝溥儀になれるどころか、どこか国外に亡命するほかはなくなるのではないか。いっぽう翁長沖縄県知事の行動には、成り行きでそうなったと思われるものがないではないが、今後を注意深く見守っていたい。
 アメリカの属州的な日本の現在を、簡単に変えることはできないだろう。安倍首相のハワイ訪問は、これを変えるための布石の一つになる可能性はあるとしか言えないが、次期トランプ大統領との関係しだいでは、いくらか改善される可能性もないではなかろう。ただ国連を重視する日本のこれまでのやり方は悪くはなかろうが、出すべきものを出さず憲法改正反対の一点張りで自分だけ得をしようとする態度では、外に厳しいと思われるトランプ新大統領はもちろんのこと、世界の信頼を得ることは難しいのではないか。東京オリンピックでの小池知事対森元総理の無責任な財源談を見ていると、その感が一層強くなる。

転載元転載元: 軍事評論家熊谷直の社会評論

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