軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 空母艦載機岩国移転後の馬毛島での離陸着陸訓練場設置の日米合意に、沖縄県民はどう反応するだろうか。以前に現地を遠望したことがあるが、馬毛島は南北6キロぐらいの島の中央が盛り上がり、髪型「琉球まげ」そっくりであった。島の名の由来はそこから来ているのではないか。種子島の西12キロメートルにあるので、種子島での騒音被害は、比較的小さいと思われる。もっとも風向きによっては、艦載機が種子島の上空を抜けることはありうる。そのため地元での今後の交渉がどう進展するかが、飛行場設置の鍵になるであろう。
 ここに緊急用の滑走路が設置されれば、台湾方面や尖閣方面での紛争発生時に、戦闘機が岩国からここを経由して沖縄本島に向かうこともできる。米軍の基地再編成でまもなく、厚木から岩国に空母艦載機が移動することになっているが、離着陸訓練場が近くに必要になる。空母が横須賀に帰港し艦の整備をしたり乗員が休養しているときに、パイロットが狭い甲板から発進したり着艦したりする訓練を継続していないと、技量が低下してしまい使い物にならなくなるからである。瀬戸内海の島に訓練場をつくる案もあったが、騒音問題で地元の同意を得ることができなかった。馬毛島はもともと無人の会社所有地なので、地元の反対はそれほど強くはならないと思われる。
 このような進展と東日本大震災のために、普天間基地問題の沖縄地元の要望に沿う解決はますます難しくなったといえよう。補給物資集積との関係で、海兵隊の航空基地が沖縄本島内にあることは、米軍の運用上絶対に譲れないところである。米議会で普天間を嘉手納基地に統合したらという案がむしかえされているが、県外移設案ではないことに注意すべきである。せいぜい嘉手納の戦闘機の訓練の一部を、馬毛島や琉球列島南の宮古島に近い下地島にうつすのが最初の処置であり、あいた時間帯に海兵隊用補給のための輸送機が着陸することになるのではないか。そうしていくらか嘉手納飛行場の飛行密度が小さくなったにしても、もしヘリコプター訓練を嘉手納で行うと、周辺の騒音や危険度は低くならない。ヘリコプターは低空で飛行するうえに、固定翼機とヘリコプターの衝突の危険性が増すからだ。それだけでなく、これまで基地の見返りとして投下されてきた沖縄への政府支出も減ることは目に見えている。震災復興のほうで予算が食われるので、沖縄は我慢をしてくれということになるだろう。政府としては予算減少のよい口実ができたことになる。
 民主党は政権を担って初めて、沖縄から基地をなくすことが世界情勢と日米関係からみて不可能であることがわかったようである。これまでは沖縄の状況や日米関係がまったくわかっていなかった。沖縄の人々は沖縄返還交渉の裏に、基地の存続という条件があったことを知ってはいたが表立った認めることはしてこなかった。知事としてはそのことを認識したうえで、政府から予算を引き出すことに努めるしかない。県民の反応と政府の反応を天秤にかけながら、したたかに交渉するほかはあるまい。沖縄とのかかわりが長く、その歴史についての著書もあってその歴史と現実ををある程度は知っているつもりの私は、沖縄がおかれた地位に同情しつつもじっと見守るしかない。

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