軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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  前防衛大臣森本氏が「普天間移設は辺野古ではなくてもよかったが政治的には辺野古でなくてはならない」と発言したとして、沖縄の報道機関は鬼の首を取ったような調子でニュースにしている。裏の意味を考えずに沖縄の左翼的な立場からの解釈をするとこうなる。ニュースが伝えるように国内政治的にみて、国内的には沖縄以外に基地をもって行きようがないのは確かだ。
 次にアメリカの立場からアジア情勢をみると、白紙的には奄美大島から沖縄本島、台湾、フィリピン、北部インドネシアにいたる列島線のどこかに、海兵隊を組織として移転させても目的を達成できる。しかし中国にとって脅威になるのは、沖縄本島、台湾の太平洋側、フィリピンのルソン島のどこかに海兵隊の組織がある場合だ。この場合は中国が自分たちの領域拡大の障害になると感じるはずなので、どこに移転してもよいというものではない。フィリピンは、かつてはアジアの重要な米海・空軍の基地になっていたが、ルソン島の火山の噴火やフィリピン政府の政治的なつごうで主要米軍基地を比国内から移動させてしまった。そのとたんに中国は南沙諸島など、フィリピンが領有権を主張している島々に進出を始めて、現在は多くを中国が実効支配している。沖縄から米軍を追放すると、同じことが琉球列島で起こる可能性がある。もし台湾が共産党政権の支配下になるともっと危険だ。
 韓国は戦術ミサイルや戦闘機の有効距離の関係で、米軍にとって駐留の価値が薄れ、現在残っている空軍や陸軍の部隊も半島の南部に移動してしまった。しかし北朝鮮が境界線を越えて進出してきた場合に反撃できる態勢はそのままになっている。その後方基地としての佐世保や岩国、沖縄の基地機能をなくすことはできない。場合によっては福岡空港も、板付基地として復活するだろう。沖縄の基地は海兵隊用の補給物資を蓄積している基地として大切であり、オスプレイのような戦術的な中・近距離輸送機が基地にするには適している。ここから物資を搭載して前線に向かうこともできるからだ。その代わりになるのは岩国基地しかないが、台湾有事の場合は距離が遠くなるのと、物資の集積場所に難点がある。
 森本氏はそのような背景を省略して発言したので、揚げ足を取られたということであろう。沖縄の人も森本氏の言として地元の新聞などが報じていることをそのまま信じている人は3分の1もいないのではないか。尖閣問題で中国が世界に発信しているような共産党系の宣伝上手にのせられ、沖縄の人が自分たちの利益が損なわれたと感じたときに悔やんでもはじまらない。自民党政権になって、政府の土木関係の補助金や辺野古(キャンプシュワーブ沖)の埋め立て工事に期待している沖縄の人は多いようだ。民主党政権時代には震災復興資金の一部を名目をつけて沖縄の工事に回すということもしたようだが、これからは大手を振って工事の資金を使うことができる。それを一番知っているのが、知事や名護市長であろう。しかし沖縄は、その後のことも考えておかないと、基地移転と跡地利用の工事以外に、工事の名目が使えない時期に差し掛かっている。沖縄はこれまでの基地見返り援助のおかげで、すでに東京以上に箱モノや施設を完備している。内地の人々も、反対だけではない沖縄の実情を知りつつある。「かわいそう」だけでお金がもらえる時期ではなくなっている。最後のチャンスだと思って、キャンプシュワーブ沖への基地移転関連の経費で、県内産業とその輸出組織の育成にも努めるべきだろう。
 付け加えておくと森本氏は、難しい防衛問題に真剣に取り組み、少なくとも鳩山・小沢コンビがもたらした安全保障上の危機を、それ以上悪化させることなく、いくらかは回復させてくれたと思っている。防衛省の防大出身後輩たちが協力してくれたからであろう。与那国島への陸自監視部隊の派遣は、現地には一部の反対派がいたにもかかわらず、方向付けをしてくれた。日本国民として感謝する。
 

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