軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 毎年8月15日になると日本では平和の掛け声のもとに、いろいろの行事が行われてきた。その中の一つに総理大臣や閣僚の靖国神社参拝がある。今年は平成25年末に、第二次安倍内閣の総理大臣として総理大臣の参拝は終わっているので、そのときに私も提案していたように、今回は安倍総理大臣の参拝は行われず玉串料を奉奠するにとどめている。
 もともと靖国神社は皇室関係の特別の神社であり、幕末以来、皇室のために命をささげた人を祭って来たのだから、第二次世界大戦で戦った人の霊だけを対象にしているわけではないといえる。8月15日に首相が参拝する慣習が存在していたわけではない。日露戦争後でさえ戦死者に対するそのような習慣は確立されていなかった。
 また社格も別格官幣社であって、明治神宮や古来からの春日神社のような皇室関係の神社が官幣大社であるのに比べて低い地位に置かれている。東照宮や楠正成の湊川神社のような天皇の臣下であった人を祀っている神社と同じ扱いである。
 安倍首相は武道館での式典前に千鳥が淵戦没者墓苑に参拝したが、これもやめて、式典で天皇陛下の拝礼に続いて総理大臣もここで拝礼するだけに統一するのが、今後の妥当な方向ではあるまいか。戦没者墓苑には身元不明者の遺骨などが納められているので、靖国神社とは性格が違うことも考えに入れておく必要があろう。靖国神社は招魂社が起源であり、祭祀の都度、対象者の霊を天上から招き下ろして、その霊を慰める儀式をする。霊全部ではなく、例えばある霊の子孫がその行事を行うときは、その関係霊だけを降臨させることもできる。もし儀式のときに戦犯指定者は除外するというのであれば、理論的にはそうすることも可能である。私自身は東條総理などのA級戦犯は、戦勝国の都合で作られた占領政策上の産物であり、現在は日本の立場上やむを得ず目をつぶるにしても、将来はルーズベルト、トルーマンやチャーチル、特にスターリンと同じ地位で戦争責任を再検討すべきだと思っている。もちろん中国の関係者も同じだ。
 靖国神社に東條元総理などが祀られているから参拝しないとか、戦犯を崇拝するのはけしからぬとかいうのは、理屈に合わない。中国共産党政権の主張は、日本の風俗習慣を知らない無知による、意図的な主張であり、日本人でありながらそのような中国人的な主張をしている人は、日本の心を失っているというべきであろう。
 「海ゆかば水漬く屍、山ゆかば草生す屍」という死生観が、日本人の本来のものであった。私の父は戦病死扱いで一応、靖国神社の祭祀の対象になっている。しかし私の子供でさえ、昔私が連れていったときを除き、特にそのためにお参りするということはしていない。私が死んだときは郷里の墓と、現住地に新しく分骨する墓の両方にお参りするように言ってはあるが、多分郷里のほうは、二世代後には無縁墓になる可能性がある。多くの人がそうではないか。若いころから自衛官として戦死の可能性について考えてきたが、死後については、残された者の生活に配慮をするにしても、自身の死にはあまりとらわれないこと、特に戦没者の政治的な利用はまっぴらというのが、私の考えである。

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