軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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  中国がアメリカとの対立だけでなく世界を相手にして、アメリカにとって代わろうとする意志を示しつつある。アジアインフラ投資銀行設立に向けてイギリスをはじめとする欧州各国まで巻き込んで行動していることが、日米にとっては警戒すべき事項になっているが、これは私が専門にしている軍事、とくに最近の海洋国家建設の動きとも連動していると見ることができる。中国は最近まで、地域的な130万人の地上軍を中心にする陸軍国であったが、習近平国家主席は海洋国家建設を口にしていて、すくなくとも琉球列島から台湾を経てインドネシアに至る列島線の内側を、中国の支配海域にしようと行動している。そのために海軍建設に必要な資金を手に入れることも含めて、自国を中心にした世界銀行的な組織を作ろうとしていると見ることができる。
 中国海軍の艦艇は約1000隻、100万トンを超えると思われるが、海上自衛隊の50万トン弱と比べてみると、民船を含む古い雑船主体なので、戦力という面では、まだ日本に及ばないと思われる。海岸線が日本より短く、地方の低生産性や日本より低い海運量なども考えて世界的な見方で計算してみると、自国防衛のために中国が必要としている海軍力は、海上自衛隊よりも少ない40万トン程度ではないかと思われる。現在の雑船を除き戦力を発揮できる艦艇のトン数がこれである。
 もちろんアメリカに比べると問題にならない小海戦力であり、中国の空母は練習用としての1隻をようやく運用し始めた段階であって、総体的な海軍力は米海軍の1割といってよかろう。しかしこのところアメリカの海軍力は停滞気味であり、中国が今のペースで海軍の増強を図っていけば、20年後には米海軍の3割ぐらいの戦力に達する可能性もある。しかし経済財政の状況や民生事情も絡んでいるので、私はせいぜい2割程度とみている。それが世界平和を維持するために必要な中国の限界でもあろう。技術的にも地上からミサイルを発射するのと艦上や潜没している潜水艦から発射するのは、克服せねばならない総体的な難しさがあるので自然にその程度で開発が停滞するからだ。空母からの発着艦も、そのための装置や訓練の上で難しいのでは同じだ。日本海軍は20年かけて、現在と比べてそれ程の技術を必要としなかった当時の空母の集団運用を可能にして、ハワイ攻略を実施したという事実がある。
 艦艇のトン数でいうと現在の中国海軍は、ハワイ攻略当時の日本海軍に相当するものであり、国力的には東京オリンピック終了から間もない時期の日本が必要としていた程度にすぎない。GNPなどで比較してみるとハワイ攻略当時の日本の国力は、アメリカの一割にも満たないものであった。そのため開戦後に大量の空母や航空機を製造するのは難しかったが、アメリカは開戦2年後には、正式空母だけで日本の数倍、速度や兵装で劣る軽空母は、10倍も保有していた。空母搭乗員も必要数を満たしていた。当時の日本の高学歴者は同世代青年男子の5パーセント程度であったが、アメリカはその8倍程度であったので、パイロット要員に不足することはなかった。あらゆる面で当時の日本的なレベルを大きく超えていない中国が、無理をするには限界がある。
 このような日本の体験と中国の現状を重ね合わせて考えると、中国の現在の国力は技術や資源、教育程度などあらゆる面で、平均的には昭和40年代の東京オリンピックから間もない日本の状態に相当するとみてよかろう。そのような中国は、かつての日本のように特別の事情があるとき、例えば国内要因から中国で、共産主義政権が破滅の状態になってきたときに、その一部の原因になっている力を対外的に日本に向け、武力行動をさせてストレス解放に利用することはあっても、内政上はむやみに冒険をすることは避けようとするだろう。
 ただ戦争は狂気の果てに行われることが多い。相手がすきを見せると、それに付け込んでということは歴史の上で珍しくない。韓国と日本の最近の関係に顕著にみられるとおりだ。イスラム過激派の現在の行動にもそれがみられる。秀吉の朝鮮征伐も、高齢で認知症が進んだ挙句の行動と解すると理解できる。平和平和と叫んでいれば避けられるというものではない。中東での争いは、中国の新疆方面に波及しかねない。外交と軍事は平和な生活を大切にしたい一般の人には縁遠い政治である。しかしそれではすまない。一般の人もまず安全保障政策を理解してから投票行動を考えるべきであろう。
 
 

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