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オリンピックのロゴマーク問題で世間が騒ぎだしました。面白いのは広告やデザイン関係者の反応が、マーク創作者佐野氏の擁護論に回っていることです。デザインだけでなく絵画や音楽にしても、先人が開拓したものを一部は模倣しながら新しい分野を築きあげていくのだから問題はないという意見があり、 私もそう思うのですが、問題は著作権や意匠権という、いわば収入権というべきものを、他人が努力せずに手に入れる形になることがだめだという点にあるのでしょう。コピーすることに罪悪感を持たない他人のものは俺のものという共産主義の国は、古代人のような別の感覚でことを処理しているのでしょうが、現代の日本は違います。
いわゆるTPP交渉(環太平洋経済圏)で、アメリカが知的財産権保護を重要な議題にしてきましたが、日本ではこれまで著作者の死後50年と定められていた著作物有効期限が、アメリカの主張で死後70年に延長されることになりました。これは時代の変化を無視した改正です。
多くの著作物をもつ私は、これまで常に著作権の問題を頭に置きながら物を書いてきましたが、死後70年ということになると著作後100年ぐらいは、人々が著作物を利用することが制限されることになります。明治時代の文豪の全集などでも、昭和2年に亡くなった芥川龍之介の晩年の作品が、ようやく著作権から解放されたことになるのです。これは少し長すぎるのではないでしょうか。何人もいる孫やひ孫の代の人が、遥か昔の先祖の著作で収入を得るのは納得できないものがあります。出版しようとすると、何十人というひ孫の著作権保有者を探し出すことから始めなければなりません。
ただ私のように売れない物書きの著作は版を重ねても数回であり、実務的には50年であろうと70年であろうと構わないといえるでしょう。なお私が物書きの熊谷直としてではなく、実名で発表している研究書であれば引用源を示しておくことで、他人の著作の利用上の制限はないのと同じになります。
意匠権は意匠登録してから20年(昔は15年)、商標権は10年のように、別の規定がありますが、今回のロゴマークのようなものはオリンピックが終わって数年たてば、ほとんど収入源としての意味はなくなると思われます。そのようなものまで長期間にわたり保護しようというのは、回転が速い現在の社会の状態に合わないと思われ、その感覚が極端なのが広告業界や意匠関係者の感覚なのではないでしょうか。インターネットの世界では、他人が撮影した写真の転送があたりまえのようになっていて、リベンジポルノの被害が珍しくなくなっています。いっぽうで私生活を極端に他人の目から隠し、近所付き合いをしない人たちもいます。
社会が利益や収入だけで動くのではなく、お互いが損得なく仲良く付き合い、戦争反対という主張を掲げて他人といがみ合っている現状から抜け出すことがオリンピック精神だと思いますが、そのオリンピックの運営組織は損得やいがみ合いなしに、縦割り組織の官僚主義ではなく、話し合いをしながら着実に準備を進めるようお願いしたいと思います。
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