軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 中国の閲兵行事が終わり、習近平態勢の誇示は一段落ついた。元国家主席で89歳という高齢の江沢民の軍事面での影響力は無くなったというのが多くの日本識者の見方である。対GDPで10パーセントを軍事に投入しGDPそのものが日本の2割増になっているといわれる中国に対して、いくらか増える方向にある日本の防衛予算が対GDPで約1パーセントという水準は、今後も大きく変わることはあるまいし、大きく変える必要はないと思われる。その理由を述べよう。
 習主席は海軍の増強に力を入れているが、天安門前の閲兵式には目に見える形でそれが誇示されてはいない。練習用空母遼寧に搭載される殲15戦闘機が編隊飛行したことが目についたぐらいである。しかし東風21など遠距離から米空母を攻撃できるミサイルなどを展示して、シナ海に米海軍力を侵入させないという意志表示をしたことは明らかである。これは同時に、安保法制を国会審議し、米軍と共同して中国にあたろうとしている日本を牽制していることも疑いない。
 メディアは、習主席がこの機会に発表した30万人の兵力(陸海空)削減を、軍縮として取り上げているが、もともと歩兵中心の人民解放軍は350万人以上の兵力を持っていたのであり、30年ぐらい前から少しずつ減員し10年前には230万人体制になっていた。ただし国境警備隊の100万人や民兵1000万人はこの計算外である。その230万人のうち計約80万人の海軍、空軍の員数は減らすことなく、陸軍兵をミサイル部隊や海軍航空・海兵隊に転用することで近代化を図り、それでも転用できなかったのが、30万人ということになるのではないか。近代化の結果、浮いた員数を徴兵しないことにすれば、産業基盤を充実することに役立つことは言うまでもないし、内外への宣伝にもなる。
 ただ軍事の近代化といっても、もともと技術的にも産業的にも日本に比べて数十年の遅れがある中国が、質的に日本と足並みをそろえるのは容易ではない。日米戦のときに、一見して日本海軍の空母や零戦が個別の性能や訓練練度でアメリカに引けを取らないと思われていたにもかかわらず、初戦の時期が過ぎて大量生産が始まると飛行機が設計通りの性能が出なかったり、空母の火災への対策ができていなかったりして、日本側が大損害を出し、その後の兵器補充やパイロット養成ができなかったことを思い出してみればわかることだ。 
 中国の空母遼寧は、現在でも実戦では使えない段階で足踏みしている。閲兵式のとき習主席が乗った乗用車は国産最高級のものという触れ込みであったが、とてもそのようには見えない。たしかに優先されている軍事費をつぎ込めば、一見・一点豪華主義の兵器は出てくるかもしれない。それが日本を引き離した早い時期に人工衛星の打ち上げに成功した理由であろう。しかし無理をすればどこかにしわ寄せがくる。事故を起こした列車を死亡した乗客ともどもに現場に埋めてしまうという日本では考えられない中国新幹線の大事故は、運用体制がついていかなかったために起こったといえるのではないか。インドネシアが安全性も含めて日本のものと中国のものを比較してみて、有利な条件を出してきた中国製の新幹線建設に同意しなかったのは、その観点から理解できる。閲兵に姿を現した新式のミサイルは、真の意味で使い物になるのは、予想されているよりも遅い時期になるだろう。
 もっともその状態が永久に続くわけではない。少しずつ間合いが縮められることは覚悟をしておかねばならず、日本も今のうちに対応準備を進めておくべきだろう。そのうちに中国の共産党独裁の体制が崩壊すれば日本にとっては当面は好ましい。しかし混乱が起こることは確実で、最終的に望ましいのかどうかは何ともいえない。口先だけの自由・人権・平和主義は不幸をもたらす。西欧の力に負けた清国の崩壊(辛亥革命)は漢民族にとって好ましい方向であったかもしれないが、結果としてロシアの満州への進出と米英の排ロシアの思惑が衝突し、日本のこれへの対応がからんで、日本にも朝鮮半島にも不幸をもたらした。歴史は繰り返す。先を見通して行動するように若い人に望みたい。憲法違反・戦争協力法制というような単純な口車に乗せられて、18歳から与えられる選挙権を不幸な方向で行使することがないように。

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