軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 NHKラジオの有識者の主張の番組を何気なく聞いていたところ、1960年の岸内閣の安保条約の改定が、「米軍が日本防衛の義務を負い、日本がそのための基地を提供する趣旨で行われたので、今回の安倍内閣の安保関係法の制定は、アメリカが負っている日本防衛の義務を日本に負担させるためのもの」と主張しているものと解釈できた。 おかしなことを言っていると思って聞いていると、共産主義政権が正しいという前提での主張であると分かった。これは一党独裁の中国的な政府の在り方が正しく、民主、自由、人権、平和という主義を掲げている日本国憲法を、共産党独裁的な一方的な解釈をすれば出てくる解釈だと分析判断したからである。
 つまりこのような主張をする人は、人民のための政治という共産党政権の考えが民主であり、そのために、それに沿わない個人の自由や人権が制限されるのはやむを得ないと考えるのである。そのため日本のメディアの多くが不当と考えている天安門事件での中国政府の取り締まりは、中国では正当だというのである。平和についても、共産党独裁を阻む他国の行動は不当なものであり、天安門での取り締まりはよくても、安保法制反対の日本の国会デモを取り締まるのはおかしいという考えが根本にあり、日本と中国では出発点が違うので、出てくる主張だと読めた。
 岸内閣の安保改定は、共産ソ連の支配下にあった北朝鮮軍が韓国での共産革命を成功させるために、朝鮮半島南に攻め込んできた朝鮮戦争が契機になっている。日本敗戦後の占領行政のため日本に駐在していた米軍がこのとき、韓国支援のために朝鮮半島に出払ってしまったので、北朝鮮系の工作分子が日本の各地で共産革命を行う恐れが強まった。そうさせないために、占領軍は日本政府に治安部隊を編成することを要求し、吉田茂首相がそれに応じて治安警察部隊というべき準軍隊組織の警察予備隊を編成したのである。この予備隊が昭和27年のサンフランシスコ講和条約(太平洋の第二次世界大戦の講和)締結後に海上部隊を加えて保安隊になり、さらに昭和29年(1954年)に陸海空の自衛隊に発展したのである。この講和条約のとき、まだ国内治安力が不完全であった日本は、国内の共産革命を防ぎ、北朝鮮や中国の武力による直接侵略やこれらの影響を受けている国内共産分子などによる治安の破壊(間接侵略)を防ぐため、アメリカの要請もあって最初の日米安保条約を締結した。このときは日本が治安の維持力さえ不完全であり、米軍が共産国家の直接、間接の侵略を防ぐために日本に駐留することを継続することとなり、日本はそのために必要な基地を提供することになった。
 つまり共産主義者による日本の革命を防ぐために最初の安保条約が結ばれたのであり、共産主義に近い左翼勢力がこれに反対するのは当然である。岸内閣はその後、自衛隊が力をつけてきて治安の破壊に対応することができるようになったので、米軍の責任から治安維持任務を外し、直接侵略のときは自衛隊と共同で対応してもらうとともに、日本の国難に関係がある場合は、シーレーンなどでも行動できるようにした。それがこれまでの法制に反映されている。
 このように自衛隊の能力に応じて日本側に行動の責任が付け替えられてきた歴史があり、今回の安保法制も現状を反映したものといえよう。ただむやみに範囲を広げることは独立国である日本にとって問題があるので、国会で慎重な審議が行われているのである。しかし共産党独裁国家の影響を受けた勢力の、そためにする論議は、国民はその本質を見極めて判断すべきであり、私も繰り返しブログで意見を述べてきたとおりである。
 

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