軍事評論家熊谷直の社会評論

アジアを中心にした社会・軍事の情勢やニュースの分析

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 政府は日本の潜水艦をオーストラリアに売り込むことに失敗したと報道されている。しかし多くの日本人は、日豪間でそのような交渉があったことを知らないだろう。もともとは親日的な前オーストラリア首相から、技術的に優れている日本の潜水艦を買いたいという申し入れがあったことから始まった話だが、中国は、日豪がそのような軍事的な結びつきを強めることになることを警戒している。
 そこで中国はフランスに働きかけ、経済上の交渉ということにして、フランスが潜水艦を仏豪の共同開発にするように仕向けたのであろう。もともとフランスは、世界中に兵器を売りまくっているのであり、中国とも多くの取引があった。オーストラリアで昨年12月に、自由党内の党首選でアボット氏が敗れ、中国寄りのターンブル氏が首相になったことで中国はこのように仕向ける工作がやりやすくなったはずである。昨年インドネシアの新幹線建設問題で日本がほぼ請負に成功しつつあった場面で中国は、この新幹線建設に強引に割り込み、大幅安値の価格交渉で中国が日本を蹴落としたことは、よく知られている。しかし結果的にインドネシアは安物買いの銭失いになり、新幹線の建設は停滞している。中国が自前の建設計画が白紙に近い状態で割り込んで、インドネシアの事情や技術力を見極めることなく日本に損害を与えることだけを目的にして行動したためと思われる。
 潜水艦は中国が請け負ったわけではないので、フランスが中国の働きかけに乗ったとしても中国が失うものはない。あるのは、日本が軍事的にオーストラリアとの関係を強めることを妨げることができたという防衛上の利点である。もともと世界の武器商人であるフランスにとっても、経済上の利益をえたうえにヨーロッパ寄りのオーストラリアと仲良くするのだから、失うものはない。中国はインドネシアやアフリカで、表だった強引なやり口で人々の信頼を裏切ったことを反省し、目に見えない形で世界を侵略する政策への切り替えを考え始めたということか。ただそれにしては、南シナ海や尖閣での力の顕示が過ぎるように見える。
 日本は潜水艦問題では、安倍内閣が経済界の要求から武器輸出の三原則の見直しを言い出したばかりであり、もともと武器輸出などは考えてもいなかった国内の安倍反対派が潜水艦輸出に乗り気であったとは思えない。防衛省も国家機密の性能を持つ新式「そうりゅう」型潜水艦のノウハウを外国に渡すことには乗り気ではなく、防衛大臣の立場にも難しいものがあったと思われる。いわばめでたく潜水艦輸出が行われずに済んだということであろう。
 政治や外交は裏で多くの動きがあって、国民には何が行われているのか分からない。秘密保護法で指定された秘密物件が、外交第一、総務第二、防衛第三という数にこのことが示されている。外国との交渉が裏交渉なしに新聞報道の通りに行われると、国民は大きな損失を受ける。知る権利などと言い立てているととんでもないことになる。公には知らないことが日本人のためであることが山ほどある。中国のように裏取引で、国民の重要な権利が制約されている国が隣国であることを考えると、日本人が占領下に、アメリカの都合のよいように決められた日本国憲法に、しがみついているお人よしの程度は、度を超していると思われてくる。中国は、その気になれば核兵器や長距離ミサイルをちらつかせて日本を滅亡させることに躊躇しない共産主義政府が支配している。
 日本国民はこのような隣国を相手にしているのであり、そのことを考えながら、日本国民が江戸から明治の時代に苦労をして、せっかく手に入れたバランスが取れた社会で生きていくための最低限の権利主張だけは大切にしなければなるまい。しかしたとえば、一億層活躍社会が、女性の社会進出重視だけに向けられると、中国の一人っ子政策のように、女性も貧しい農民も逆に虐げられることになるだろう。政治的な主張が先立ち経済的な発展だけが表に出てくるからだ。
 人間は何百万年という長い生物としての進化の歴史の中で、環境に適応する体格体質や脳の働きをもつようになってきている。そのため社会を急速に変化させると環境への適応ができなくなる。その意味では、GNPを食料など生きていくために必要なものを手に入れるだけの質量以上に、毎年増加させていく地球規模でみたあらゆる政策は、人類をやがて滅亡させることになるだろう。なかでもアメリカ流の短期収支や個人の栄達のみを重視する競争社会は最悪であり、中国のように共産主義者だけが恵まれていたり、アフリカや中東などの一部の社会のように支配階級だけが富を得て、国民はそのわけ前の一部をお恵みによって分け与えられるような方向は、人類破滅の方向とも思えてくる。個人の欲望充足はほどほどにして、種としての人類の共存共栄、さらには動植物や岩石まで含む環境の保全に目を向けるべきであろう。幸いにして老い先短い私自身は、地球滅亡の日を自分が体験する事はないと思うが。

転載元転載元: 軍事評論家熊谷直の社会評論

 政府は日本の潜水艦をオーストラリアに売り込むことに失敗したと報道されている。しかし多くの日本人は、日豪間でそのような交渉があったことを知らないだろう。もともとは親日的な前オーストラリア首相から、技術的に優れている日本の潜水艦を買いたいという申し入れがあったことから始まった話だが、中国は、日豪がそのような軍事的な結びつきを強めることになることを警戒している。
 そこで中国はフランスに働きかけ、経済上の交渉ということにして、フランスが潜水艦を仏豪の共同開発にするように仕向けたのであろう。もともとフランスは、世界中に兵器を売りまくっているのであり、中国とも多くの取引があった。オーストラリアで昨年12月に、自由党内の党首選でアボット氏が敗れ、中国寄りのターンブル氏が首相になったことで中国はこのように仕向ける工作がやりやすくなったはずである。昨年インドネシアの新幹線建設問題で日本がほぼ請負に成功しつつあった場面で中国は、この新幹線建設に強引に割り込み、大幅安値の価格交渉で中国が日本を蹴落としたことは、よく知られている。しかし結果的にインドネシアは安物買いの銭失いになり、新幹線の建設は停滞している。中国が自前の建設計画が白紙に近い状態で割り込んで、インドネシアの事情や技術力を見極めることなく日本に損害を与えることだけを目的にして行動したためと思われる。
 潜水艦は中国が請け負ったわけではないので、フランスが中国の働きかけに乗ったとしても中国が失うものはない。あるのは、日本が軍事的にオーストラリアとの関係を強めることを妨げることができたという防衛上の利点である。もともと世界の武器商人であるフランスにとっても、経済上の利益をえたうえにヨーロッパ寄りのオーストラリアと仲良くするのだから、失うものはない。中国はインドネシアやアフリカで、表だった強引なやり口で人々の信頼を裏切ったことを反省し、目に見えない形で世界を侵略する政策への切り替えを考え始めたということか。ただそれにしては、南シナ海や尖閣での力の顕示が過ぎるように見える。
 日本は潜水艦問題では、安倍内閣が経済界の要求から武器輸出の三原則の見直しを言い出したばかりであり、もともと武器輸出などは考えてもいなかった国内の安倍反対派が潜水艦輸出に乗り気であったとは思えない。防衛省も国家機密の性能を持つ新式「そうりゅう」型潜水艦のノウハウを外国に渡すことには乗り気ではなく、防衛大臣の立場にも難しいものがあったと思われる。いわばめでたく潜水艦輸出が行われずに済んだということであろう。
 政治や外交は裏で多くの動きがあって、国民には何が行われているのか分からない。秘密保護法で指定された秘密物件が、外交第一、総務第二、防衛第三という数にこのことが示されている。外国との交渉が裏交渉なしに新聞報道の通りに行われると、国民は大きな損失を受ける。知る権利などと言い立てているととんでもないことになる。公には知らないことが日本人のためであることが山ほどある。中国のように裏取引で、国民の重要な権利が制約されている国が隣国であることを考えると、日本人が占領下に、アメリカの都合のよいように決められた日本国憲法に、しがみついているお人よしの程度は、度を超していると思われてくる。中国は、その気になれば核兵器や長距離ミサイルをちらつかせて日本を滅亡させることに躊躇しない共産主義政府が支配している。
 日本国民はこのような隣国を相手にしているのであり、そのことを考えながら、日本国民が江戸から明治の時代に苦労をして、せっかく手に入れたバランスが取れた社会で生きていくための最低限の権利主張だけは大切にしなければなるまい。しかしたとえば、一億層活躍社会が、女性の社会進出重視だけに向けられると、中国の一人っ子政策のように、女性も貧しい農民も逆に虐げられることになるだろう。政治的な主張が先立ち経済的な発展だけが表に出てくるからだ。
 人間は何百万年という長い生物としての進化の歴史の中で、環境に適応する体格体質や脳の働きをもつようになってきている。そのため社会を急速に変化させると環境への適応ができなくなる。その意味では、GNPを食料など生きていくために必要なものを手に入れるだけの質量以上に、毎年増加させていく地球規模でみたあらゆる政策は、人類をやがて滅亡させることになるだろう。なかでもアメリカ流の短期収支や個人の栄達のみを重視する競争社会は最悪であり、中国のように共産主義者だけが恵まれていたり、アフリカや中東などの一部の社会のように支配階級だけが富を得て、国民はそのわけ前の一部をお恵みによって分け与えられるような方向は、人類破滅の方向とも思えてくる。個人の欲望充足はほどほどにして、種としての人類の共存共栄、さらには動植物や岩石まで含む環境の保全に目を向けるべきであろう。幸いにして老い先短い私自身は、地球滅亡の日を自分が体験する事はないと思うが。

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