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うさぎとカメ

仕事を始めてからまもなく、うさぎとカメの競争は始まっていました。



そんな事とは知らず、わたしはゆずれない正しさにこだわって仕事をしていました。



バタバタしているわりには、みんなより仕事が遅い。



わたしはカメのレッテルをつけられたとは知らず、



どうしてもスマートに仕事がすすめられないことに悩まされ続けました。



ほとんどの人が、同じような価値観で動いていることの方が不思議なくらいでした。



速ければ速い方がいい。見た目と速さ!



そしてわたしは、いつしか仕事の速さに疑問を持つようになりました。



しかし、うさぎとカメの追いかけっこは続いたのです。



マネージャーに聞いた事がありました。



迅速さと内容とどっちを優先させるのかと…………



もちろん、「両方」という答えが返ってきましたが、



わたしはこころの中で、なんて無茶苦茶なことを言うのだろうと思いました。



時間内にできることは限られるのです。



手を抜くなんてことも考えもしませんでした。



そんなわたしを、職場のうさぎ達は、



「遅い!」



という指摘を、わたしにくりかえしくりかえし言い続けたのです。



そんな間違った状況の中で、わたしは頑張り続けました。



ところが、スーパーウーマンに見えていたこのうさぎ達は、うさぎ達で問題を抱えているようでした。



ひとの弱点を指摘するということは、



心理的に、自分より相手を下に見ることでしか、



自分の価値を感じられないのです。


 
つまり、自分に自信がないのです。



とはいっても、わたしもみんなとなんら変わらない自信なき人間でした。



しかも、ターゲットにされたのは、そんなうさぎ達よりも、もっともっと弱かったからです。



夫や子どもたちに指摘をしたとしても、他の人に、



堂々と人の弱点を指摘するなんてこと、わたしにはできませんでした。



自分がカメならば、カメなりの態度を取ることもできたでしょうが、



そのことを理解したのはもっと後になってからでした。



あいにく、遅いカメのわたしが、うさぎになろうとしたために、



葛藤の迷宮に身を置き、苦労することになったのです。



カメである自分を認められず、うさぎになろうと頑張り苦しんだわけです。



カメであるわたしは、間違った状況の中ででも、とにかく走り続けました。





つづく


ありがとうございました。























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