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Sweet Patio
C95ありがとうございました♡

書庫卑劣 Rendez-vous 1

卑劣で甘く優しくて番外中編
恋人になったばかりの絢人と将孝のお話です


卑劣で甘く優しくて本編一話目は
http://blogs.yahoo.co.jp/kuma20kuma/64672608.html?type=folderlist
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「でも……」

どうにか視線を戻すと、絢人は将孝を見た。

「男と女だって、いちいちそんなこと周りに言わないだろう?つき合っていたとしても、むしろ、隠すヤツのほうが」 

自分だけのことなら、周囲の目など気にしない。
だけど、自分だけのことでないから。
それゆえ、一般的であろうことを、絢人は口にするが。

「そうかもしれませんけど」

さえぎるように、将孝は絢人の目をじっと覗き込んだ。

「他人は他人、俺は俺です。俺はあなたとのことを、世のなかのすべての人に、聞かれなくても伝えたいくらいなんです。俺と先輩はれっきとした恋人なんだって」

「だから、そういうことをすると」

「それと、俺はあなたに、いつでも、どこにいても、好きと言って欲しい」

何の躊躇もなく迫られ、またもや絢人は頬を朱に染める。

年下の男にそんなことを強請られるのがひどく気恥ずかしくて。
心が溶けてこぼれそうになるほど甘酸っぱくて。
一方で、困ることばかり言う彼が……焦れったくて。

「……いやだ」

反抗すれば、将孝は息が混じり合うほど近くに顔を寄せた。

「どこでなら言ってくれますか?」

「どこって……」

「教えてくれないと、今ここであなたにキスしますよ?」

絢人は首許まで真っ赤になった。
逃げ場はなかった。
そして、それをイヤと思えないから、不謹慎にも心が騒いで―――……。

とはいえ、ここはエレベーターのなか。
いつ扉が開いてもおかしくない公共の場所なのだ。
絢人は息を吸うと、将孝へ強い視線を向けた。

「そんなこと言うなら、お前なんか、知らない。金輪際、お前のことを考えないし、お前とは話も、でかけることもしないからな」

もはやそれをできそうにないことは、十分すぎるほど分かっていた。
けれど、将孝の立場を気にしてしまうから、心と裏腹を、やっとの思いで言う。
すると、これまで余裕を崩さなかった将孝が、あわてるような顔をした。

「それはダメです」

「だって、お前は勝手なことばかり」

口を尖らせれば、彼は絢人の頬を、なだめるようにゆるっと撫でた。

「……―――すみません」

優しい声であった。
肌へふれる彼の掌の感触も心地よくて……。
たちまち、絢人は心の襞が甘くたわむのを、感じずにいられない。

好きだから。
彼も同じ気持ちを向けてくれると思うから……。

「キスだって……、本当は、したくないわけじゃない」

ポソッと呟けば、将孝があからさまに顔を輝かせた。

「しましょう、今ここで」

そう言ってがしっと頬を挟む男へ、今度は絢人があわてる番であった。

「今はいやだ」

「なら、いつならいいんです?」

囁きは熱っぽくて。
淫靡な期待をふんだんに孕んでいて。

「こういう場所でなく、ふたりきりなら……」

長い睫毛を震わせ、絢人は蜜のように潤む目で、愛しい男を見る。

将孝が雷に打たれるように硬直した。
手をすべらせると、絢人の細い指にふれ、恭しく握りしめる。

「すぐ家に帰りましょう」

「まだ一時間しか経ってないのに?」

腕時計の針は、正午をさしていた。
その時、「ポーン」と音がして、エレベーターの扉が開いた。
目に飛び込むのは店舗一階の華やかな喧騒。
自然と、絢人は顔を綻ばせた。

「もうすこし……遊びたいな」

絢人だって、初めてのデートを楽しみたいのだ。
色々うやむやな気もするが……それは徐々に超えていけばいい。
淡く微笑む絢人に将孝は眩しそうに目を細め、そして言った。

「だったら、そろそろメシにしませんか?実は竹芝のクルーズ船に、席の予約をしていて……」

この日を心待ちにしていた将孝に、絢人を楽しませる準備はぬかりない。
絢人は驚くように目を見開いた。
照れるように視線を落とすと、すぐ将孝を見て、コクン……と従順に頷いた。



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最後までお目にしてくださり
(*^^)/。・:*:・°★,。・:*:・°☆ありがとうございます
Sweet Rendez-vous、一応最終話になります
色々うやむやでありますが・・・
このあたりはこれから連載予定の卑劣・続編に
つながると思いますので(たぶん)
よろしければ其方もぜひお目にしてくださいませね♡

ちなみに、Sweet Rendez-vousのおまけ・・・というか
プチRバージョンも書きたいと思い、近日中にUPできれば、と

お目にしてくださいますみなさまに
すこしでも甘いBLをお届けできていますことを

※追記
このお話の続編中編
Sexual Rendez-vous(ほぼ全編R18)完結済
http://blogs.yahoo.co.jp/kuma20kuma/65569093.html?type=folderlist

卑劣・続編
卑劣で甘く優しくて〜only for you~ 連載中
http://blogs.yahoo.co.jp/kuma20kuma/65742091.html?type=folderlist

どうぞお目にしてくださいね(´∀`*)

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「先輩だって、店員といちゃいちゃしていましたよね、正直、あれはダメだろうと、俺は思いました」

「……は?」

意味が分からず、絢人はうろたえずにいられない。

「誰が、誰とだと?」

将孝は軽く嘆息して、絢人の顔を覗き込んだ。

「先輩と、さっきの店の店員が、です、肩をさわらせたり、見つめ合ったり」

「あ、あれは服を合わせていただけだろう?そんなこと」

「でも、俺にはそう見えたんです、はやくきり上げたかったですよ、実際そうしましたけど」

「そんな理由で着もしない服を買ったのか?というか、それをプレゼントって」

言い返せば、将孝はデレッと頬を綻ばせた。

「ニットはすごく似合っていましたからね、透け感があるから、先輩の肌が見えそうになって。パンツも、かなりスリムなヤツだから、先輩が着たら似合うと思うし、ヒップの形もこう……」

猥褻感さえ滲む、スケベな視線であった。
絢人が目を吊り上げれば、あわてるように咳払いする。

「先輩がよく行くだけあって、あの店はたしかにいい服が揃っていましたから、プレゼントにはいいと思ったんです。まあ、それはいいんですが……」

そう言うと、将孝は表情を引きしめる。
エレベーターの階数表示版は、すぐ下の階の数字が点滅していた。
わずかに将孝はそちらを見るが、絢人を離そうとはしない。

「先輩は―――……」

深呼吸すると、言った。

「俺たちの関係を隠そうとするじゃないですか、あれも、どうかと思うんです」

「それは……当然だろ?お前は倉城会長の孫なんだから、こういう関係を世間に知られると、色々やっかいだろうが」

さっき言ったことを、絢人は再度口にするが。

「そんなこと、俺は気にしませんよ」

どこか不遜な調子で、将孝は口の端を上げた。

「言いたいヤツには言わせておけばいいんです。誰だってプライベートやプライバシーはある。それを詮索したり嫌がらせをしたりするヤツがいるなら、出るとこ出たらいいんです。同じ目にあわせてやってもいい。俺は、俺と先輩のことをとやかくいうヤツがいたら、徹底的に潰しますから」

「潰すって……」

絢人は目を見張った。
驚かずにいられなかった。
普段、将孝はじれったくなるほど穏やかな男なのに。
否、時としてとんでもない行動にでることを、経験として知っているが。
そして、そういうこともすべて、愛おしいと思うけれども。

「その考えは……乱暴じゃないか?」

心配を感じて絢人が質問すれば、将孝はふ……と肩の力を緩めた。

「あくまで仮定ですよ。そういう手もあるという、ひとつの方法です。つまり、先輩が心配をすることは、何もないってことです」

「……」

「先輩の言いたいことは、分かりますよ?いや、俺のことを考えてくれる気持ちは、とてもありがたいし、本当に、夢じゃないかと思うくらい、嬉しい。だけど、俺としては……」

将孝が言いかけた時、「ポーン」と軽快な音がして、エレベーター扉が左右に開いた。
二〇人は乗れそうな長方形の箱は、誰も乗っていなかった。
肩を抱かれるまま絢人がなかへはいれば、将孝が昇降ボタンの「一」を押し、扉が閉まって、ゆっくり動きだす。

無重力を感じた刹那、絢人はエレベーターの壁に押しつけられた。
将孝は絢人を奥の壁際へ縫いつけると、細い顎を優しく掴みあげた。

「先輩、俺はね、俺はあなたが好きなんです」

既知だが、唐突に告げられ、絢人は激しくうろたえた。

「……いきなり何を」

「先輩も、そうだと言ってくれましたよね、だから、俺は先輩とのことを、隠したくない」

至近で見つめてくる彼の目は、真剣であった。
絢人は息苦しくなるような甘い困惑を感じて、視線を反らさずにいられない。

ずるい―――……と、思った。
そんなことを言われたら……何も言い返せなくなってしまう。




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「何であんなに買う必要あるんだ」

唇を尖らせる絢人を見て、将孝は目を細めた。

「ペアルック、しましょうね」

「絶対いやだ」

即答すれば、将孝が愉快そうに喉を震わせる。
売り場フロアからつづくエレベーターホールは、絢人と将孝以外誰もいなかった。
エレベーターの階数表示版は地階の数字が点滅し、点滅はゆっくり移動を開始する。
彼は息を吸うと、にこにこと絢人を眺めた。

「コートが欲しかったんで」

「それだけじゃないだろう?セーターとかパンツとか」

「いけませんか?」

「いけなくはないけど、どう見てもお前が着る服じゃないよな、わけ……わからない」

ちらっと視線を上げれば、楽しそうに見つめてくる年下の彼。

「そんなの決まっていますよ」

絢人を見る将孝の目は、優しく笑っていた。
優しく、心までつつみ込むようにまっすぐ……。

それだけで、絢人は腹立ちが甘だるい戸惑いに変化するのを感じて、落ち着かなくなっていく。

セーターとパンツを、彼がくれようとすることは分かっていた。
これまでも、似たことがないわけではなかった。
くれるのならもらってやると、当然のように思っていたし、いらなければいらないと、きっぱり拒否していた。
将孝から何かしてもらうこと、我が儘を通すことは、慣れているが。

今は意識してしまうから……。 
年下の男の、ともすれば勝手な真似を、どう対応すればいいか分からなくなる。

彼のすべてを―――……好きだから。

そんな懊悩を感じれば、将孝は絢人の薄い肩へ、おもむろに手を置いた。

「恋人へプレゼントして、何が悪いんです?」

穏やかだが、有無を言わせないような声であった。

「それは……」

言い返すことができずに、絢人は視線を彷徨わせる。
恋人と……、言葉で断言されることが恥ずかしくて、彼を見ることができない。

じわ……と、きめ細かな白い頬が、淡い朱色に染まっていた。
将孝は息を呑むと、ぐいっと細い身体を引き寄せた。

「あっ……」

「恋人なんだから、いいですよね?」

「ちょっと……、あの……」 

肩を抱く手の感触が、力強かった。
咄嗟に絢人は身じろぎするが、まるで抵抗にならない。

カットソー越しの温もりが甘酸っぱくて。
胸をしめつけられそうになって……。

だけど。

「プレゼントを……もらう理由がない」

呼気をかすかに喘がせながらも、絢人は言った。

「だいたい、お前はさっきから余計なことを言ったりしたり、そんなことばかりするくせに、いきなりプレゼントなんて……」

ペアルックは応じたくないが、彼の気持ちは嬉しいと、純粋に……思う。
とはいえ、それをすんなり認めるのは、シャクであった。
年上としてのプライドもある。
何より、人の困ることばかりする彼が小憎らしく、仕返しのひとつもしないと気が済まないから、絢人は彼を、ささやかにつっぱねる。

すると、将孝は肩を抱く手の力を、さらに強めた。

「なら、俺も言わせてもらいますが」

声のトーンを落とすと、じっと絢人を見た。




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「よろしければ、試着しませんか?」

「い、いや、今日は俺の服でなく……」

いまだ落ち着きを取り戻せないままであった。
買うつもりもないため、あわてて絢人は辞退するが。
無防備に惑う様子がやけにあどけないことを、本人気づかない。

将孝が眉をさらに跳ね上げた。
オールバックは頬をたっぷり緩め、ほとんど猫撫で声で言った。

「いやいや、そう仰らず。購入するしないは今決めなくて構いませんから……このパンツも一緒にぜひ」

最初にだしたチェックのパンツを手にすると、絢人の肩を撫で、店の奥のフィッティングルームへ促す。

その時。

「試着は、結構です」

どこか凄みのあるバリトンが、ショップの空気を震わせた。
将孝であった。
彼は絢人とオールバックの間へずいっと割入ると、オールバックへにっこり微笑んだ。

「このニットを色違いで二着づつと、そのパンツと、あとコートも……全部つつんで俺の家へ送ってください」

そう言うと、チノクロスパンツの脇ポケットから札入れをだし、風格のある黒っぽいカードを提示する。

オールバックが、驚くように目を見開いた。

それは借入限度がなく、多くの特典があるクレジットカードだ。
資産や社会的地位諸々を持つ、いわゆるセレブと呼ばれる人のみ使用できる魔法のようなカード。
絢人も、将孝の立場を考えれば不思議はないと思いつつ、実際それを持つことに驚くが。

そんなことよりも、今は彼の行動をうろたえずにいられない。

「買う必要、ないだろう」

ほとんど混乱しながら、絢人は将孝を窘める。
けれど、将孝に躊躇う様子は、まるでなかった。

「必要だから、買うんです」

「コートはそうかもしれないけど、セーター二着づつとか、いつ着るんだ、パンツだって……」

ペアルックは断固御免であった。
チェックのパンツにいたっては、あきらかに将孝のサイズと異なっている。
もちろん、それを購入しようとする理由を、気づかないほど鈍くはないが……。

将孝の行動が、オールバックへの威嚇が多少混ざることは気づかず、絢人は詰め寄る。
すると、彼はおどけるように肩をすくめて……。 

「し―――……」

口許にひとさし指を立て、将孝が絢人の面前に顔をつきだした。
咄嗟に絢人が絶句すれば、彼はにぃっと人の悪い笑みを浮かべた。

「すこし黙ってください」

「なっ……」

「手続きしちまうんで」

そう言って会計へ向かう後ろ姿へ、絢人は無言の抗議をせずにいられない。

後輩のくせに―――……。 

「ありがとうございました」

深々と辞儀をするオールバックに見送られて店をでた時、絢人は憮然としていた。
将孝はいつもの穏やかな表情に戻っていたが、それも何か腹立たしい。 

「お前……」

フロアの通路を歩きながら、絢人は横に並ぶ男へ尖った視線を向ける。
将孝は絢人の背をかすめる程度に抱くと、前方へ顎をしゃくった。

「とりあえず、外へでましょう」

通路の先にはエレベーターホールが見えていた。
将孝は絢人をさりげなく促し、そちらへ進んでいく。
いつもとかわらぬ、ソツがなく丁寧な動作であった。
悪い気はしないが、絢人としては、文句を言わずにいられない気分である。

本気で怒るわけではないけれども……。

だから、将孝がエレベーターの呼びだしボタンを押すと、拗ねた口調で言った。



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「先輩、どうですか?」

唐突な質問であった。
意図が分からず、絢人は怪訝を感じずにいられない。

「お前、コートを探しているんじゃないのか?」

「コートも買いますよ、けど、これはロゴがハッキリして、ちょうどいいと思うんです」

「ちょうどいいって……何が?」

将孝はとても嬉しそうに目を細めた。

「ペアルックです」

「ペ……」

瞬間、絢人は思考が真っ白になった。
誰と誰のペアかは、聞くまでもなかった。
そしてそれは抗議もできないほど、衝撃を受けることなのだ。

ペアルック。
お揃い。

そんな恥ずかしい真似、できるか―――――。

喉まででかかれば、横からオールバックが口を挟んだ。

「これは着心地いいと思いますよ、薄手なので、今の時期も着られますし、サイズも豊富ですから、どなたかとお揃いで着ていただくのもぜんぜん。小柄の女性でも大丈夫です」

営業スマイルを浮かべる彼は、見事誤解をしていた。

しかし。

「いや、女性でなく」

悪びれずに訂正すると、将孝はニットを広げだす。
繊細なラメが織り込まれる、上質な白のニットであった。
身ごろ部分が細く、Sサイズくらいだろうか。

「これくらいかな」

そういうと、困惑はなはだしい絢人の上体へ、いとも当然のごとくニットを合わせるのだ。

「……ッ、……ッ」

言葉を、絢人は口にすることができなかった。
将孝は絢人を遠慮の欠片もなくジロジロ見ると、うっとり微笑んだ。

「いいですよ、色もサイズも……先輩にピッタリだ」

透き通るほど肌の白い絢人に、星の瞬きのようなラメの光沢は、よく映えていた。
とはいえ、今の絢人にとり、それはどうでもよいことであった。

「だから……、お前は一体何を……」

かろうじて、抗議の声をあげるが。
横に立つオールバックは、状況が飲み込めないというように、呆気にとられていた。
けれど、絢人と将孝を交互に見くらべ、次に絢人をマジマジ眺めると、何か納得するように咳払いした。

「ありえます、ええ、ありえますね。それに、これも汐見さんには大変お似合いで……もちろん、ウチの服は男性同士のペアルックもお洒落に着こなしていただけますからね。ぜひ彼と―――お揃いでいかがでしょうか」

「それは……」

すっかりバレていた。
オールバックの店員はそれをあっさり受けいれるようだが、絢人は顔から火を噴く思いを、味あわずにいられない。
傍らの将孝を睨むと、彼は悪戯っぽくにやっと笑い、その顔も、気恥ずかしさを倍増させるようだ。

遊ばれているような気がして……。

年下の男に。

そのことを詰る気分になれば、オールバックがガラス什器から色違いの黒のニットを取りだし、絢人の華奢な首許へ試すように合わせた。

「これもなかなかですね。白もいいですが黒も……また違うよさがある」

ラメ混じりの黒ニットは、夜を彷彿させる艶があった。
絢人の白磁器のような肌を、あでやかに引きたたせる。

オールバックが嘆息し、目を眩しそうに眇めた。
絢人の薄い肩へふれ、やや馴れ馴れしい仕草で、ニットの袖や身ごろを絢人の上体へふれ合せる。

わずかに、将孝が眉を跳ね上げた。
オールバックは絢人を、楽しそうに見た。




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