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高リン血症治療剤

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リン

化学記号P

人間の体はあらゆるものをうまく自然調節して、生命活動を維持しています。
食べたものを消化しエネルギーに変えて活動の動力とし、不必要なものや
消化吸収した後の残渣は便や尿、汗や呼気で体外に排出します。
リンは蛋白質に多く含まれ、腸管から吸収され、腎から排出されます。
リンはカルシウムと結合して、骨の強さの元となります。
また、リン脂質を形成して細胞膜を作ったり、核酸の骨格を形成したり、
赤血球のヘモグロビン酸素遊離に関係して生体での酸・塩基平衡にもかかわっています。

さて、血液中のリンの濃度は一日のうちでもかなり大きく変動します。

リンの濃度が高すぎると、カルシウムと結合してリン酸カルシウムを作ります。
リン酸カルシウムが広範囲に沈着し、カルシウムが不足し、低カルシウム血症を引き起こします。
その結果、けいれんを起こしたり、腎臓の石灰化を起こしたり、
ひいては腎不全・高カリウム血症、高尿酸血症を起こすこともあります。
また、心臓や肺に石灰化を起こすと急性心ブロックの原因となることもあります。

腎臓の機能が落ち透析中の方は腎臓でのリンの排出ができないため
血液中のリンの濃度が高くなってしまいます。

そこでリンを吸着し体外へ出す薬が使われます。
以前はアルミニウム製剤が使用されていましたが、
排泄経路が腎であったために透析患者では排泄されず、
骨軟化型のアルミニウム骨症や進行性の認知症を示すアルミニウム脳症
起こすため1999年に使用禁止となりました。


この1999年、炭酸カルシウムが透析患者の高リン血症治療薬として認可され、
ここ10年では最も使われている薬です。

商品名カルタン

カルシウム製剤であるので、高カルシウム血症を起こし、血管の石灰化が進み、
動脈硬化の透析患者の特殊例として問題にもなりました。


また、カルシウムでもアルミニウムでもない合成ポリマーが発売されました。
これは消化管内で食物から遊離したリン酸イオンと結合し、
吸収されることなくそのまま糞便中に排泄され、リンの体内への吸収を抑制します。

商品名レナジェル・フォスブロック

とてもよい薬のようですが、消化器系の副作用が高頻度で見られ(特に便秘)、
もともと便秘症の方では腸閉塞や穿孔の恐れもあり、服薬を続けられない方も多くおられました。


今般、新しく認可された、

炭酸ランタン水和物

商品名ホスレノール

リン酸と結合して、極めて難溶性のリン酸ランタンを生成し、
そのまま消化管を通過して排泄されます。
また、水の服用を必要としないチュアブル錠(口中で噛み砕いて服用する)なので、
水分制限が必要とされる透析患者には朗報です。
アルミニウムやカルシウムによる副作用、便秘などの副作用の心配はないようです。
透析患者さんにとっては、ずっと服薬を続ける必要があるため、長期に今後の効果や
副作用を見ていかなければならないのは当然ですが、
高カルシウム血症のリスクが減るのはとても喜ばしいことだと思います。

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