ドライアイとは涙液の量的不足または質的異常が原因で、様々な自覚症状とともに種々の角結膜上皮障害をきたす状態を総称したものです。パソコンやコンタクトレンズ装着の普及や冷暖房による室内の乾燥等に伴う現代病といえる病気です。
オフィスワーカーの男性で10%、女性では20%に症状があるといわれています。
もちろん病気によって症状が出現することもあります。
この場合角膜乾燥症と呼び、医学的に涙液の分泌低下の程度がドライアイより強く、
明確な角結膜の他覚所見が認められるものを指す場合が多いようです。
ドライアイの症状の出る可能性のある病気には
シェーングレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡
などがあります。
「シェーグレン症候群」は原因不明の特有な乾燥症状、
すなわち乾性角結膜炎と口腔乾燥症を示し、涙腺や唾液腺組織に特有な病理組織学的所見があり、
しばしば自己免疫疾患(膠原病など)に合併するものを指します。
「スティーブンス・ジョンソン症候群」(皮膚粘膜眼症候群:SJS)は、
重症型多形滲出性紅斑(erythema exsudativum multiforme major:EEMM)と同義語とされており、
高熱とともに口唇、口腔、眼結膜、外陰部に高度の発赤、びらん、出血などの粘膜病変が、
さらに全身の皮膚に紅斑、水疱、びらんが認められる重篤な全身性疾患です。
その多くは薬剤が原因で発症する最重症型薬疹の一つと考えられますが、
一部はウイルスや肺炎マイコプラズマ感染に伴って発症します。
「眼類天疱瘡」は角膜の混濁を伴う結膜の進行性痕瘢性疾患で、
ときに角膜パンヌス等による高度の視力障害に至るといわれています。
原因としては、薬剤の副作用や自己免疫(結膜の基底膜に対する自己免疫性反応)、
遺伝等の可能性が考えられています。
涙について詳しく見てみましょう
涙液(るいえき)は眼表面、すなわち結膜および角膜表面を潤す液体で、
主涙腺(しゅるいせん)からの漿液性(しょうえきせい)分泌物のほか、
結膜の副涙腺・杯(さかずき)細胞、眼瞼(がんけん:まぶた)の脂肪腺などからの分泌物など
から構成されています。
涙液層の厚さはほぼ7μm(1μm=0.001mm)で、
最表面から 脂肪層・漿液層・ムチン層の3層構造をとり、
ムチン層は涙を眼球の表面に広げる働き、
脂肪層は涙の蒸発を防ぐ働き、漿液層はビタミンやたんぱく質等の栄養分を含んでいます。
また免疫グロブリン、リゾチーム、成長因子なども含まれます。
涙液の働きは、
[1]角結膜表面の乾燥を防ぐ、
[2]角膜の表面を光学的に滑らかにする、
[3]角結膜上皮に栄養を供給する、
[4]角結膜表面の脱落上皮、代謝物や異物などを洗い流す、
[5]リゾチ-ムや分泌型IgA、補体、β-リジンなどによる眼表面の感染防御機能をもつ、
などがあります。ドライアイになるとこれらの働きがうまくできず、
目が疲れる、 充血する、 目が痛む、 目が開けづらい、 光がまぶしい、 物が見づらい、 重たい、 ごろごろするなどの「慢性の目の不快感」という症状が出てきます。
主な原因としては
[1]男性ホルモンの影響や抗コリン作用のある薬剤などの影響による水分の減少
[2]マイボーム腺の機能低下による油分の減少
[3]パソコン、エアコン、コンタクトレンズなどの環境が原因の涙の蒸発
があります。
ドライアイの治療法
[1]薬物療法は点眼薬が中心です。
「人工涙液」は塩化ナトリウムが主成分で本来の涙の成分とは違います。が、水分補給には有効です。
ドライアイや 眼球乾燥症候群に適応のある薬剤はヒアルロン酸ナトリウム0.1%含有点眼液があります。商品名:ヒアレイン点眼0.1%
[2]涙点プラグ
目頭にある涙の出口「涙点」にシリコンや合成樹脂製のプラグを差し込み涙の排出を抑えることにより
乾燥を防ぎます。涙がほとんど出ない重症のドライアイに効果的です。
[3]自己血清点眼
重症ドライアイに使用します。血清は現在涙液に一番近い成分で、涙液に似た栄養成分も含むため
傷の修復を早める効果があります。感染を防ぐため自分の血液を遠心分離し血清を希釈して用います。
商品としては開発されていないので、設備のある病院でその場で血液から作ります。
冷凍保存で3ヶ月有効なので、最大、三ヶ月に一度受診して作ってもらうことになります。
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