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阿佐ヶ谷スパイダースpresents アンチクロックワイズ・アンダーランド
2010/02/14 13時開演 下北沢・本多劇場
上演時間:約2時間15分
作・演出:長塚圭史
CAST
葛河梨池(くずかわりいち)・・・作家:光石研
葛河悦世(くずかわえつよ)・・・作家夫人(人形作りが趣味):村岡希美
希緒・・・葛河家お手伝い:内田亜希子
女:馬渕英俚可
男:伊達暁
梶原・・・医師(悦世の人形作りの先生):加納幸和
野口・・・葛河担当の編集者:池田鉄洋
若山・・・刑事:山内圭哉
安倍・・・中山祐一朗
満智子・・・葛河の作品ファンで速記の仕事している:小島聖
(Workshop with 安藤聖、市川しんぺー、大堀こういち)
感想
「失われた時間を求めて」の上演から2年弱、その間1年間、イギリス留学されていた長塚氏。
その帰国第一作はASP公演。
そのASP公演に長塚さんが出演しないのはなぜか?と凄く気になっていましたが、
観終わった後、納得しました。
葛河=長塚さんの分身のような気がしますね。
幕前、音楽は一切なく、上演を待つ客席の人たちの声しかありませんでした。
静かにブザーだけでスタート。
ストーリー的には「失われた時間を求めて」の雰囲気があります。
サイコサスペンスって感じかな。
葛河という作家が今までの作風を変えようとして、チャレンジしたけど、
周囲から拒否反応され、さらに見ず知らずの人からもネットで新作のダメ出しをされている。
それから逃げ出したい、他人に自分の新たな作風を認めてもらいたい作家の気持ちと
他人から指摘されて困っている本心から逃げたい、自衛本能。
人間の奥底にある種の自分を護ろうとする凶暴破壊的な部分をえぐり出すような印象がありました。
「失われた時間を求めて」をこの劇見ながら、思い出しました。
「公園」、「時間」、「猫を探す」などキーワードっぽい謎かけみたいな・・・
作家が作品に入ったり、現実に戻ってきたり、
作品の内容が現実になったり、作家の混乱した頭の中を私たちが旅しているような錯覚になりました。
失われた時間を求めてとシンクロかな。
女(馬渕さん)を見ていて、「失われた時間を求めて」の女1を思い出していましたし、
男(伊達さん)もですね。
最後の病室のシーンで若山が本を葛河に渡すシーン。
あれは「失われた時間を求めて」で公園で本を読んでるシーンを思い出しました。
しかも作家が現実と虚構の世界を行き来する姿が時間の流れといっしょになって面白い。
役者一人ひとりが現実に居る人なのか、居ない人なのか、すごく難しい表現をされていました。
葛河梨池を演じた光石さんがほんと大変ですね。
ずっと長セリフばかり。現実と虚構の空間の微妙な綱渡りを演じられていて、それがまた面白い。
その奥さん役が村岡さん。ナイロン100℃ではいつもいつも物足りない出演時間ですが、
この舞台では怪しげな、裏のある女性を演じきってます。
正直、こういう何か裏のある怪しい女性役は村岡さんだなぁ。素敵。
長塚さんといえば、血みどろな部分が必ず(笑)あるんですが、
今回は警察で話している野口の証言
(満智子階段落ちから、野口との会話していた部分。野口が説明する脳が見える表現だけで十分エグい・・・笑)
希緒の人形死体(現実に死んでいたのかもしれないけど)・・・これは舞台上にある。
こういう影の濃いお芝居でしたが、笑える部分もシッカリあり、中山さんと山内さんの会話が良い意味でアクセントになっていました。
今日は東京千秋楽。
カーテンコール2回目で客席から長塚氏登場。舞台に山内さんの手につかまり登壇。
握手しつつ、客席の拍手に応えておられました。
******感想とは別に(笑)*******
実は、これを観る前にネットではこの舞台の評判がどうも芳しくないと聞いていたので、
どうなんだろう???とちょっと心配しつつ、観に行きましたが、
案ずることなかれ。長塚節というか、人間の弱い部分をえぐり出す感じが面白かったです。
とにかく、「失われた時間を求めて」を観た人の方がなんとなく、判りやすいのかもしれませんね。
確かにどこを着地点にするのか?というのが・・・難しいかな。
でも最後の何気ない夫婦の会話がそれまでのお話のスピードや印象をひっくり返すような感じでそれも面白かった。
アンケートでは再演するなら、何がいい?という質問がありました。
私は桜飛沫と悪魔の唄を選びました。
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