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この交響曲第6番は、ベートーヴェン自身により「田園」という副題がつけられた。
さらに、各楽章に次のような表題がつけられた。
第1楽章:田舎に着いたときの心地よい感情の目覚め
第2楽章:小川のほとりの情景
第3楽章:田舎の人々の楽しい集い
第4楽章:雷雨、嵐
第5楽章:牧歌。嵐の後の喜びと感謝
また、「田舎での生活の思い出。絵画的描写というよりは感情の表現」とも述べている。
構成的にはベートヴェン唯一の5楽章形式であり、第3楽章以降の3つの楽章は休止無しで続けて演奏される。
第1楽章の最初の主題の、‘休符+フレーズ+フェルマーター`の形は5番と全く同じパターンである。
演奏に関しては9曲の中では1番難しいのではないだろうか。小川のせせらぎ、小鳥のさえずり、そして嵐と稲妻、驟雨などの描写的技法に代表される技巧的なオーケストレーションはタダ鳴らしていても音楽に成らないだろう。
上記のベートーヴェンの言葉を本音と捉えるか、心覚えと見るかによって解釈が変わってくる。
私はこの曲をライナー・シカゴで覚え、エーリッヒ・クライバー/コンセルトヘボウで育った。今から思えばいい演奏に恵まれていた。
さて、今の時点でのお気に入りの演奏だが、基本的なテンポは遅めの方が好きである。
正規盤の中からいくつか。
※フルトヴェングラー/ウイーンフィル (1952.11) スタジオ録音 (モノラル)
※フルトヴェングラー/ベルリンフィル (1954.5.15) ライブ録音 (モノラル)
またフルトヴェングラーかと言われそうだが、いい物はいいのです。フルトヴェングラーファンの間でも、この6番をあまり評価しない人がいる。あまりに感情的に走り、テンポを動かしすぎるからだろうが、私はベートーヴェンの言う感情の表現をこれほどまでに、普通では思いもつかないような美学で描き出した演奏はないと思う。確かに第5楽章は嵐が去って、よほど嬉しかったのか狂喜乱舞しまくっているが。
どの演奏もいいが、1952年のスタジオ盤とライブからは最晩年の味わい深い1954年盤を。特に後者の第1楽章の美しさは全身が振えること間違いない。
※クレンペラー/フィルハーモニア管 (1957.10) スタジオ録音 (ステレオ)
感情を表に出すことなく、純音楽として音楽を追及した演奏。間違いなく異端な演奏だが聴けば聞くほど味わいが出てくる演奏。
誰にでもお勧めできる演奏としても、少し上げてみると、
※テンシュテット/ロンドンフィル (1986) スタジオ録音 (ステレオ)
意外にいい、この演奏。意外というのはテンシュテットならもっと自由奔放な爆演かと思いきや、まともな?演奏ということ。
※ワルター/ウイーンフィル
※モントウ/ウイーンフィル
※インセルシュテット/ウイーンフィル
※ベーム/ウイーンフィル
※バーンスタイン/ウイーンフィル
※アバド/ウイーンフィル
※ラトル/ウイーンフィル
やけくそ気味のウイーンフィル攻撃である。
めろめろな歌が好きなら ワルター。
きっちりした感情表現が好きなら モントウ。
静かな田園風景が好きなら インセルシュテット。
美しさを備えた感情が好きなら ベーム。
人間味溢れる表現が大好きなら バーンスタイン。
真面目な田舎の人たちが好きなら アバド。
ピリッとした都会風が好きなら ラトル。
よくわからないって?聴けば分かります。(多分)
最後に、私はあまり好きではない古学奏法系の演奏。この6番は意外に合うのではないかと思う。
※ノリントン/シュットガルト放送 (2002.9.5) ライブ収録 (ステレオ)
意外な音を聴くことが出来る。自然の描写が鋭い。
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